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ギタリストの爪の乾燥対策 その④(ニベアの結果報告)

2014年大晦日の右手爪。 ニベアを使い始めてから3ヵ月が経ちました。 爪が生え変わるのには、3ヵ月程度かかるといわれていますからね。 そろそろ真の効果がわかる頃かなと。 で、効果ですが。。。 「 11月までは完璧 」でした。 ササクレはできなくなったし、ワレもヒビもないし、二枚爪は治るし。 「 これは間違いなくニベア効果だ! 」と確信していました。 でも、12月になり、本格的に乾燥してくると状況は変わってきました。 (忘年会シーズンによる不摂生の影響かもしれませんが) ササクレができ、中指に少しだけヒビが入ってしまったんですよね。 考えてみると、以前爪が割れて困っていたのは「1~3月」だったなと。 つまり、 これからの3ヵ月をどう乗り切るのか。 これが、 自爪派ギタリストの課題 だと再認識しました。 ただ、ニベアの研究成果としてお伝えしたいこともあります。 それは、使い方のポイントです。 お風呂あがりや、手洗いの後など、爪の油分が取れてしまった時に、「 ニベアで油分を補給 」してあげるのが良いですね。 また、「 ニベアを塗った状態で爪を削る 」と、スムーズに削ることができ、爪へのダメージを減らすことができます。 興味のある方は、是非、お試しください。 ブログをはじめてからちょうど一年。 ソロ・ギターをはじめてからもちょうど一年。 アコギのおかげで、本当に楽しい一年を過ごすことができました。 当ブログにお付き合い頂き、ありがとうございました。 また来年もよろしくお願い致します。

鷲見さんの工房訪問 その③

壁一面に保管されたギターの型、型、型。 まず驚いたのは「 ギターの型の多さ 」でした。 きっと、たくさんのお客さんからの要望に応えているうちに、 これほどまでの種類の型が揃ったのでしょうね。 これは、顧客からの 鷲見ギターへの信頼の高さ を物語っているなと感じました。 そして、鷲見さんの尽きることのないギターへの探究心が そうさせているのだろうなとも思いました。 また「 素材の豊富さ 」にも驚かされましたね。 工房の近くで保管されているのですが、木に書かれた購入日のメモを見る限り、 丁寧にじっくりと自然乾燥させている ようでした。 なるほど、だから 鷲見ギターは新品でも音が良い んですね。 また、十分に乾燥させることで、木材も変形しにくくなるので、 トラブルが少なく、丈夫で長持ちするギター ができるのだなと。 まだまだ乾燥に時間がかかるようですが、 コア、アフリカンブラックウッド、マダガスカルローズ、ホンジュラスマホガニーなど、 書ききれないくらいの素晴らしい材を保有されていました。 特に、アフリカンブラックウッドには自信ありとのことでした。 というよりも、自慢のアフリカンブラックウッドを使って、 もっとたくさんギターを作ってみたいというご様子でした(笑) 何本か試奏させて頂いたギターもどれも素晴らしくて、 とても良い経験をさせて頂きました。 特に、奥様のために作られたという インディアンローズウッドのシングルオーは驚きの音色でした。 10年であそこまでのビンテージ感を出せるなんで、本当に凄いなと。 鷲見さん、いろいろとありがとうございました。またお邪魔させて下さい!

鷲見さんの工房訪問 その②

調整前の「S-00MC(2014年製」 知らなかったのですが、、、 木材と同様、 牛骨で作られているナットやサドルも、変化する んだそうです。 この「S-00MC」もサドルが抜きにくくなるくらい膨張していました。 そのため、弦高調整で高さを削るだけではなく、 少しだけ細身になるように調整していましたね。 こうすることで、ジャストすぎるものよりも 弦の振動をナチュラルにボディに伝えることができる とのことです。 サドルの高さを調整中 そしてナット側も丁寧に調整していきます。 ナットの角度は音質に影響を与えますが、 鷲見ギターの全てを知り尽くしている鷲見さんだけに、 長年の経験と勘に基づいて、最適な角度に削り出していきます。 自分の作ったギターのどこをどう変えると、 どういう音になるのか、イメージがあるんですね。 逆に、自分が作っていないギターはどうしたらいいか 全くわからないと言われていましたが(笑) サドルの細さも調整中 これだけの調整で、かなりの変化があったので驚きました。 まず、サドルを削り、トラスロッドを調整したので、 弦高が下がり、フィンガー向けのギターに生まれかわりました 。 しかし、サドルを削って弦高を下げると、弦のテンションが弱くなるので、 ボディの鳴りまで弱くなってしまうのではないかと心配していたのですが、 それは大きな間違いでした。 ナットの角度、トラスロッドでの調整 ナット側の角度を調整することで弦のテンションを保ち、 サドルを細身にすることで震度の伝達をスムーズにして、 なんと「 ボディの箱鳴りを増幅 」させてしまったのです。 これにより、プレーン弦の固さも取れて音は柔らかくなり、 バランスが向上しました。まさにリクエスト通りの調整です! ギターは、木工技術だけではなく、 そのギターの個性・特性を知り尽くしていないと、 適切なリペアはできないのだなと、改めて感心させられました。

鷲見さんの工房訪問 その①

上田駅前の真田幸村像。11月なのに只今の気温は9度(^_^;) 長野県にある鷲見工房にお邪魔してきました。 直前に、白馬村での地震もあり、影響を心配していたのですが、 上田周辺では被害はなかったようですね。安心しました。 ただ、あいにくの雨で、11月なのにお昼時になっても気温は9度。 雪にならなかっただけマシですが、それでもかなり寒かったです。 今回の目的は、友人が今年6月に購入した 鷲見工房の「S-00MC」の調整のためでした(詳細は コチラ )。 ハンドクラフトギターフェスに出展されていたギターということもあって、 汎用的なセッティングになっていたんですね。 そのため、フィンガー向きのセッティングに直してもらいたいことと、 半年経って問題が出ていないかを確認して頂きました。 鷲見さんの工房。工具や設備がとても充実していました。 鷲見さんとは、上田駅での待ち合わせ。 オススメの蕎麦屋、上田城を経由しつつ、鷲見さんの工房へと向かいました。 途中の車の中で、鷲見ギターの感想や、フィンガー向けにセッティングして欲しいこと、 音色をもう少し柔らかくして欲しいことをお伝えしました。 後で聞いた話ですが、ギターを見る前に、この時点で今どのような音なのか、 どう調整すべきなのか、鷲見さんの頭の中にはイメージができていたようです。 流石ですね! 調整方法はとてもシンプルで、 サドル、ナット、トラスロッドの調整だけだったのですが、 この当たり前とも思える調整だけで、どれだけ音が変わるのでしょうか。

1852年製の「Martin 2-27」の音色を味わう。

以前、ご紹介した、小倉博和さんの『GOLDEN TIME』が発売されました。 過去記事はコチラ ↓↓↓ 「 マーティン・ヴィンテージギター・ガイド 1 & 2 」 小倉さんと言うと、個人的には、佐橋佳幸さんとのギター・デュオ「山弦」での活躍が思い浮かぶのですが、桑田佳祐さんや、ミスチルの櫻井和寿さん、福山雅治さんといった大物からも認められている日本トップレベルのギタリストなんですよね。 この作品の最大のポイントは、使用されているギターです。 なんと、 1852年に マーティンⅠ世が 製作した「2-27」 が使われているのです。 1852年というと、あのペリー提督が率いる黒船が来航する1年前ですからね。歴史を感じさせられますよね。 またこのギターは、世界的に有名なコレクター、スコット・チナリー氏が所有していたものらしいのですね。 この作品は2枚組になっていて、1枚目には林立夫さんや井上鑑さんとのセッションが、2枚目にはネイキッドバージョンとして、小倉さんのギターとベースだけの演奏が収録されています。 そのため、音楽作品としても、貴重なビンテージギターの音源記録としても楽しめるようになっています。 ちなみに、ギターマガジン2014年11月号には「Green Sleeves」の別バージョンが収録されていますので、興味のある方はそちらも是非。 そしてさらに面白いのがこちらのYouTubeです。 YouTubeはコチラ ↓↓↓ 「 福山雅治のSUZUKI Talking FM 」 2014年11月23日に放送されたFM番組ですが、小倉さんの「2-27(1852年)」に加え、 なんと、、、 福山さん所有の「OM-45(1930年)」 を使ったセッションを聞くことができるのです。 ここでは、桜坂のインストバージョンを演奏しています。 YouTubeの音質がイマイチなのが残念ですが、それでも福山さんが弾き始めた瞬間に背筋がゾクゾクしてしまいました。 二人のビンテージギタートークも面白いですよ。 <関連記事> 1930年製の「Martin OM-45」の音色を味わう。 1970年製の「Martin 00-45S」の音色を味わう。 NHKの音楽番組「The Covers」に福山

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その③

「YAMAHA FG-150(1969年製)」 赤ラベルの音色は十分に魅力的だとは思います。 ただ「FG-180」の場合、合板の特性なのでしょうか。 低音を上手くコントロールできず、締まりのないモコモコと膨らんだ音になってしまうんです。 低音の膨らみを解消するには、ボディサイズを小さくすればいいというのが私の持論です。 となると「FG-180」よりも一回り小さい「FG-150」を試してみたくなりますよね。 というわけで入手してみました。 いくつかパーツは取り替えられていますが、十分にセッティングされた1969年製の「FG-150」です。 それでは、実際に弾いてみましょう。 予想通り、低音の量感が減っているので、中高音域が前面に出てきて、楽器としてのバランスがとても良いです。 それに、音の深みだったり、ヌケの良さといった、熟成したマホガニーらしさも感じられます。 ただ、 ボディサイズが小さいため、箱鳴りよりも弦鳴りが強く出るので、ヴィンテージ感は「FG-180」の方が上 ですね。 この中間のサイズが欲しかったな。 1970年代に入ると、たくさんの国産アコギが作られるようになりましたが、いろいろ調べてみると、マホガニーが使われたギターは廉価ものばかりなんですよね。 その大半がローズウッドの「D-28」や「D-35」をベースにしたものばかりですからね。 今になってみると、なぜヤマハが、国産第一号のアコギにわざわざマホガニーを選んだのか不思議に思います。 赤ラベルは、国産初のアコースティックギターとか、フォークギターの元祖とか、ジャパン・ヴィンテージとして評価されています。 でも、 個人的には、国産マホガニーの名器として評価したい と考えています。 過大評価されている部分もあるとは思いますが、コストパフォーマンスは抜群だと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その① マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その② マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その③

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その②

赤ラベルとしてはなかなかのセッティング この「FG-180」を弾いて驚きました。 というのも、 同じ年代の下手なマーティンよりも鳴ってしまった からです。 もちろん、そんな訳がないと思われる方も多いとは思います。 でも、良い音というのは個人の主観が入りますが、単純に鳴りという観点であれば客観的に判断することができますからね。 間違いありません。 そして 合板であるのにも関わらず、サウンドにはしっかりとマホガニーの質感が残っている んです。 しかもそれは、 紛れもないヴィンテージ・マホガニーの質感 です。 今まで弾いてきた赤ラベルとは何が違うのかなと考えてみました。 それは、 セッティングの違い だということに気が付きました。 この個体では、 十分なサドルの高さを残しつつも、弦高を下げることで、鳴りの良さと、高い演奏性を両立することができているのです。 具体的には、12フレット上で1弦側が2.1ミリ、6弦側が2.6ミリという素晴らしいセッティングですね。 これならば、現代的なフィンガースタイルでも十分に使うことができます。 もちろん、この赤ラベルはジャパン・ヴィンテージとして過大評価されている部分はあるとは思いますよ。 それでも、音にも深みやキレのようなものは間違いなく感じられますし、 合板でもヴィンテージ・サウンドに進化することを証明してくれています 。 個人的には、レスポンスが良く、クセのない素直な音がでるので、打田十紀夫さんが演奏されるようなラグタイムやカントリーブルースに合うと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その① マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その② マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その③

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その①

「YAMAHA FG-180(1968年製)」 第二回にして、早くも番外編的なギターを取り上げてみたいと思います。 マホガニーの合板が使われた、国産初のアコースティックギター「YAMAHA FGシリーズ」こと、 通称「赤ラベル」です 。 ジャパンビンテージ と言われ、人気の高い赤ラベル(FG-180、FG-150)ですが、私はとても懐疑的でした。 現在もテリーズテリーで活躍されている方々が作られた単板のギターと言われればわからなくもないです。 でも、 サイドバックだけではなく、トップにまで合板が使われたギターから、ビンテージサウンドが出るわけがないと思っていたんです 。 そもそもこの 赤ラベルには、構造的な欠陥がある と考えていました。 それは ネックの仕込み角度に起因する弦高の高さ です。 当時は、コードストローク中心のプレイスタイルだったこともあり、弦高が高くても問題はないと考えられていたのかもしれません。 それでも、現代の水準では高すぎると思うし、それが経年変化することでネックが起き、さらに弦高が上がってしまった個体が多いんですよね。 その対応策として、サドルを削って弦高を下げるわけです。 でも、それによって弦のテンションが下がり、音質に悪い影響が出てしまうんです。 よく見かける赤ラベルは、このような状態のものばかりで、どれを弾いてもイマイチに感じられて、赤ラベルのビンテージサウンドなんてありえないと考えていたんです。 このFG-180と出会うまでは。 <関連記事> マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その① マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その② マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その③

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④

Martin OOO-18GE(2006年製) ペグはゴトーのオープン、ナットとサドルは牛骨。 ナット幅は1930年代のマーティンの標準仕様であるワイドネックの44.5mmです。 トリプルオーサイズですので、ネックはショートスケール。 ネックシェイプは30年代仕様のModified Vですね。 オーセンティックも同じネックシェイプですが、ゴールデンエラは、若干、細身に作られているようで、とても握りやすく感じます。 ちなみに、オーセンティックとの違いですが、ロッドはTバーロッドではなく、アジャスタブルロッドが使われています。 高い品質と素晴らしい音色。 そして抜群のコストパフォーマンス! ということで人気のモデルではありますが、私的に注目して欲しいのは、、、 現代的な演奏にも適合できる弾きやすいネックシェイプ 細かい調整が可能なアジャスタブルロッドの採用 といった、実用性の高さなんですよね。 そして、アディロン・マホの組み合わせをもっともコストパフォーマンス高く、楽しめるモデルという位置づけも魅力だと思います。 まさに、プリウォーマーティンと現代技術が融合した、素晴らしいギターです。 ちなみにこの「000-18GE」ですが、、、 残念なことに、2013年に生産が完了してしまったそうです。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える ネック材としてのマホガニーを考える 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ) 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③

Martin OOO-18GE(2006年製) サイドバックですが、マーティン社のカタログでは「Genuine Mahogany」と記載されています。 直訳すると本物のマホガニーという意味ですね。 産地を明記しないのは、年々、規制が厳しくなる木材の輸出時の対策として、あえて産地をわかりにくくしているという説がありますね。 私がマホガニーを選ぶときは、木の密度を確認するのですが、材が枯渇している昨今において、ゴールデンエラシリーズは、なかなか良い材が使われていると思います。 ネックは「Select Hardwood」と記載されています。 サイドバックとは異なり、音への直接的な影響が少ないこともあってか、マーティン社は早々にマホガニーからその代替材に変更しています。 たしか、2005年頃のことだったと思います。 ただ、「Select Hardwood」と記載されていても、マホガニーネックのものは存在します。 ですので、こだわるのであれば、できるだけ初期ものを探された方が、マホガニーネックの確率が高いと考えています。 ただ、マホガニーであればよいというわけでもなく、品質の良い、密度の高い材の方が望ましいので、何にこだわるのか、ということになりますね。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える ネック材としてのマホガニーを考える 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ) 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」②

Martin OOO-18GE(2006年製) トップは、アディロンダックスプルースです。 この個体は、近年モノのアディロンにしては比較的珍しい、目の詰ったものが使われています。 一般的には、目の詰まったものは音が鳴り始めるのに時間がかかると言われています。 でも個人的には、基本的にアディロントップは激鳴りなので、多少、鳴りが悪くても気にしなくてもいいと考えています。 それよりも、音の太さや艶、そしてバランスなどなど、、、 その個体が持つ音色の個体差に着目して選んだ方がいいと思います。 ブレーシングは、ゴールデンエラスタイルのスキャロップドXブレーシングです。 マーティン社では、ギターの強度の問題や、演奏スタイルの変化から、トップの鳴りよりも、強度を重視する必要性に迫られ、1944年からノンスキャロップに移行してしまったんですよね。 それだけに、鳴りを優先したこのブレーシングの再現は嬉しいものがあります。 エボニーのブリッジや、牛骨のロングサドルも、戦前仕様を踏襲していて、本当に美しいギターだと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える ネック材としてのマホガニーを考える 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ) 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」①

Martin OOO-18GE(2006年製) 定番モノから、レアもの、変わりものなどなど。 私のお気に入りのマホガニーを紹介していきたいと思います。 第一弾ということもありますので、無難に定番の「Martin 000-18GE」にしたいと思います。 このゴールデンエラシリーズですが、マーティンの黄金期(ゴールデンエラ)と呼ばれる1930年代の再現を目指したモデルです。 オーセンティックシリーズが出るまでは、マーティンのマホガニーのラインナップでは最上位に位置付けられていました。 それだけに品質、音ともに素晴らしいものがあり、オーセンティックが出た今でも、コストパフォーマンスの高いギターとして、根強い人気を誇ります。 一応、1937年製の000-18をモデルにしているようですが、後に発売されたオーセンティックシリーズなどと比較すると、復刻の度合いは若干弱いです。 あえて言うなら、重箱の隅をつつくような復刻の再現性にこだわるよりも、、、 現代的なセッティングのしやすさであったり、生産性やコストパフォーマンスを高めるための標準化・規格化を狙ったモデルという位置づけですかね。 そういった中で、最大のポイントといえるは、トップにアディロンダックスプルースが使われていることでしょう。 マーティンでは戦前から、アディロンをトップ材として使用していたのですが、材の枯渇に伴い、1946年以降はシトカスプルースが使われるようになりました。 それが、1999年に発売されたゴールデンエラシリーズ「D-18GE」から、通常のラインナップとしてアディロントップを入手できるようになったのです。 それまでは、ヴィンテージを購入することでしか、アディロントップのアコギを手に入れることができなかったわけですからね。 発売当初は売り切れ続出で、試奏することすらできない状況だったそうです。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える

打田十紀夫&ミッシェル・オーモンのライブに行ってきました。

モリダイラ楽器のM’s Spaceにて行われた打田十紀夫氏とミッシェル・オーモン氏のライブに行ってきました。ミッシェル氏はフランス人のギタリストで、2010年以来の2回目の来日だそうです。まずは打田氏が演奏し、その後、ミッシェル氏、二人のセッションという構成でした。 開演前のステージの様子 ヨーロッパ系のソロギターを見るのは初めてだったので、どんな演奏をするのか、とても興味深かったのですが、思っていたよりもオーソドックスなスタイルでした。ヨーロッパ系ということでイメージしていたクラシカルな感じでもなく、ちょっと気取ってボサノバを演奏するわけでもなく、色々な音楽の要素が混ざり合っているような感じでした。そういえば、パリってアメリカと並ぶ「人種のるつぼ」と言われているんですよね。そういった影響もあるのかもしれません。 なかなかつかみどころがない演奏に感じられたのですが、ふと、これって澤野工房さんでリリースされているようなヨーロピアンジャズに通じるものがあるのではないかと思いました。黒人的なフィーリングは皆無で、適度なポップさと、とても洗練された楽曲と、ちょっとお洒落な演奏が魅力なんですよね。このちょっとお洒落な感覚というのも、フランス人らしさなのかなと。 左:打田氏のシグネーチャーモデル「SC-123U」、右:ミッシェル氏のLAG ミッシェル氏が使用していたのはLAGというメーカーのギターです。日本ではあまり見かけませんが、1978年に設立されたフランスでは大手の楽器メーカーだそうです。ローズウッド系で、太くて芯のはっきりした音色で、個人的には、ソロギターよりも、リードに合うギターだと感じました。二人のセッションでは、打田氏をバックに、素晴らしいリードプレイを聞かせてくれました。

ギタリストの爪の乾燥対策 その③(ニベアの使用状況)

ニベアを塗り始めて一カ月の爪の状態 「 その① 」「 その② 」の続編です。 かれこれ一カ月くらいですが、 朝昼晩と日に三度、ニベアを塗っていますので、 現在の爪の状況を報告したいと思います。 ちなみに、ニベアの効果を確認するため、 しばらくの間、爪の補強液は使わないことにしています。 最初は自分でも冗談半分だったのですが、使ってみてびっくり。 三日目くらいから効果を感じました 。 もちろん、今まで乾燥対策をしたことがなかったので、 何を使っても変化はあったのかもしれませんが、 爪に艶が出て、柔軟性・弾力性がでてきた ように感じています。 さらに使い続けると、 なかなか治らなかった 二枚詰も3週間くらいで完治 しましたし、 最近は 爪のシワも目立たなくなった ような気がしています。 本当の効果がわかるのは、爪が生え変わる3か月後なのかもしれませんが、 今のところ良い感じですね。

ショートスケールのアコギについて考える その③

ロングスケールのD-18GE(2004年)とショートスケールのOOO-18GE(2006年) 今回はショートスケールのデメリットについて、考えてみたいと思います。 ※過去記事はこちら ↓↓↓ 「 ショートスケールのアコギについて考える その① 」 「 ショートスケールのアコギについて考える その② 」 私が尊敬する中川イサト師匠、岸部眞明氏などなど。 ギターインストの世界では、変則チューニングを使われる方が多いですよね。 ギターは、チューニングを変えることで、演奏しやすくしたり、独創的な響きを作り出すことができる楽器ですので、その特性を活用しているわけですね。 でも、私にはそれが厳しかったりします。 なぜならば、これがショートスケールのデメリットだからです。 変則チューニングは、スタンダードチューニングから音階を落とした設定が基本になります。 というのも、ギターはスタンダードチューニングを前提に設計されているので、音階を上げるとテンションがきつくなって弦が切れたり、ギターに負荷がかかってしまうからです。 そのため、弦を緩めた時に、演奏できるだけのテンションを保てるのかが、変則チューニングでは重要になります。 変則チューニングにした場合、弦のテンションが強いロングスケールであれば問題はありませんが、ショートスケールだとテンションを保てない場合があります。 テンションを保てないと、弦の鳴りが弱くなりますし、チューニングも不安定になります。 定番のダドガド(DADGAD)やオープンG(DGDGBD)くらいであれば影響はないと思いますが、それ以上、チューニングを落とす場合は、厳しい場合もあります。 たった13ミリのスケールの違いで、響きや演奏性まで変わってくるからアコギは面白いのですが、、逆にそれだけシビアな世界ということでもあります。 個人的には、ショートスケールはメリットが多いと思っていますが、当然のことながらデメリットもあるわけで、アコギを選ぶ際には、その点に注意して頂きたいと思います。

ショートスケールのアコギについて考える その②

比較のため、友人から借りた「Martin OM-18GE(2003年)」です。 前回に引き続き、ショートスケールのアコギについて考えたいと思います。 ↓↓↓ 「 ショートスケールのアコギについて考える その① 」 今回は検証のために、下記の3本を弾き比べました。 ドレッドノート「D-18GE(2004年)」 OM「OM-18GE(2003年)」 トリプルオー「000-18GE(2006年)」 比較にあたって、可能な限り条件を揃えるために、製造された年代が近くて、トップにアディロンダックスプルース、サイドバックにマホガニーが使われたマーティンのゴールデンエラシリーズで揃えてみました。 ちなみに、ドレッドノートとOMはロングスケール、トリプルオーはショートスケールです。また、ボディサイズはドレッドが大きく、OMとトリプルオーは同じ大きさです。 1.ロングスケールのドレッドノートとOMの比較 ドレッドには力強さがあり、低音がとても豊かで、ストロークにまとまりがあります。 OMは、ドレッドよりも低音の量感が減って、スッキリとした印象を受けます。 それによって、音の粒立ちが明確になり、キレが出て、レスポンスも向上していますね。 この違いは、同じロングスケールでの比較なので、ボディサイズによるものだと考えられます。 2.ロングスケールのOMとショートスケールのトリプルオーの比較 OMは音に張りがあり、低音が前面に出てくる印象ですね。 トリプルオーは、OMと比べると低音が弱い印象はありますが、その分、音が太くて柔らかく、バランスも良く感じられます。 この違いは、同じボディサイズでの比較なので、スケールの違いによるものですね。 3.ロングスケールのドレッドノートとショートスケールのトリプルオーの比較 スケールの異なるものでの比較ですので、ご参考程度に。 ドレッドのまとまり感はストロークに向いていますが、このまとまり感や、強い低音によって、相対的にメロディラインが埋もれてしまいます。 一方、トリプルオーは、音の粒立ちがいい分、ストロークでは音にまとまりがでにくいですが、フィンガーピッキングでは、メロディを際立たせたり、音をコントロールしやすいですね。 ※ まとめ この違い

アコースティックギターのケースについて考える。

とにかく重い。マーティンの純正ケース 普段、レッスンに通っているわけでもありません。 それに、ライブをやるわけでもないので、アコギを持ち運ぶことなんて滅多にないんですよね。 だから、ケースなんてどれでもいいと思っていたんです。 でもこれからは、アクティブに活動していきたいと考えています。 というわけで、軽くて丈夫なケースが欲しいなと思ったわけです。 で、いろいろ調べてみました。 軽くて丈夫なケースということでは、グラスファイバーやカーボンファイバーが主流なんですね。 公表されている重さは、メーカーによって計測する条件が違うかもしれませんが、グラスファイバーなら3~4kg、カーボンファイバーなら2~3kgといったあたりが目安のようです。 アコギをちゃんと守らなくてはいけないので、軽ければいいというわけでもありません。 かといって、丈夫なら重くてもいいってわけでもないので、バランスが難しいですね。 さらに、保管まで考えると、温度・湿度対策も必要になります。 それに、持ち運ぶことも考えるとデザインも重要ですよね。 というところで、メーカーごとに重さと価格(税抜)をまとめてみました。 グラスファイバー ・ Aranjuez (3.0kg / 34,000円) ・ HISCOX (3.6kg / 37,000円) ・ Grand Oply (3.5kg / 40,000円) カーボンファイバー ・ Aranjuez (2.3kg / 76,000円) ・ BAM (3.1kg / 80,000円) ・ Grand Oply (2.7kg / 86,000円) ・ Hoffee (6.3kg / 144,000円) ・ CALTON (6.7kg / 155,000円) ・ ACCORD (2.6kg / 220,000円) マーティンの純正ケースが約6kgなので、これらのケースがいかに軽いのかがわかります。 でも例外もあって、ホフィーとカールトンはカーボンファイバー製なのに6kg以上もあります。 これは、飛行機での移動などまで想定したプロ向けということなのでしょう。 用途を見極めて、自分にあったケースを選ぶ必要がありますね。

ギタリストの爪の乾燥対策 その②(ニベア活用編)

携帯用と自宅用のマイ・ニベア(笑) 最近、爪の乾燥対策について考えていました。 調べてみると、いろいろな製品があるんですよね。 でも、高ければ良いってわけでもないし、 購入者のレビューを見ても評価がバラバラだったりするので難しいなと。 それに、もっと安くていい製品があるのではないかと。 そこで私が目を付けたのが「 ニベア(青缶) 」でした。 私自身、昔ながらのハンドクリームってイメージしかなかったのですが、 実は最近、ニベアが再評価されているんですよね。 きっかけは、、、 「 クレーム ドゥ・ラ・メール 」という超高級クリームと成分がほとんど同じ だということが判明したからなんです。 3万円を超えるクリームと成分が変わらないのであれば、 迷うことなくニベアを使いますよね。 ネットで調べてみると、 万能性が高いと言われているだけのことはあって、 いろいろな裏ワザが考案されています。 アコギスト的には、 爪の保湿に使えるのか がポイントになりますが、 これも 当然のことながら守備範囲 のようです。 理屈的には、市販されているネイル専用のオイルも、 爪への油分の補給が 主な目的 なので、ニベアに含まれる油分でも 大丈夫なはずです。 これ以外にも、フェイスケアやヘアケアとして、 さらにはシェービングクリーム、木や革製品のツヤだしにまで活用できるようです。 ニベア、凄すぎます! そして、 とにかく安いので、 ガンガン使える ことも人気の理由みたいですね。 早速、購入してきたので、しばらく使ってみて、レポートしたいと思います。

ギタリストの爪の乾燥対策 その①

写真ではわかりにくいかもしれませんが、、、 右手薬指が「 二枚爪 」になってしまいました。 かれこれ一か月以上、この状態が続いています。 で、たまたま、ネイルに詳しい人と話す機会があったので、 いろいろ教えてもらいましたという話です。 自分では、ピッキングの衝撃で割れてしまったと思っていたのですが、 「 根本原因は乾燥 」みたいですね。 そういえば最近、ササクレも増えてきたなと思っていたんですが、 これも乾燥が一因のようです。 油断していましたが、夏場でもエアコン等で乾燥しやすい状態だったんですね。 爪は、皮膚が角質化したもので、死んだ細胞と言われたりもするそうですが、 しっかり保湿すれば、柔軟性や弾力性を維持できる のだそうです。 乾燥してしまうから、もろくなって割れやすくなってしまう のですね。 それだけに、 爪の保湿というのは、アコギストには必須 なわけです。 以前紹介した爪の補強液「 ピュアケラチンセラム 」を使うようになってからは、 爪が割れたことはなかったのですが、 それだけでは乾燥対策としては不十分なようです。 そもそもこの製品は、爪の主要成分であるケラチンセラムを補給して、 爪を修復するのが目的なわけですし。 これから乾燥しやすい季節になりますので、自爪派の私としては、 乾燥対策をもっと研究する必要がありますね。

坂田さんの工房訪問 その⑤

Sakata Guitars D-28Mの記載を発見! 工房でちょっと話題になったのですが、押尾コータローさんの「10th Anniversary BEST」で坂田ギターが使われているそうですね。しかもそれは、名曲「風の詩」でだそうです。家に帰ってから調べてみると、ブックレットにもスコアにも記載がありましたね。 以前から、透明感のある美しい音色だなと思っていたんですが、まさか、坂田ギターが使われていたとは。使われたのは、 トップにムーンスプルースが使われた「D-28M」だそうです。激鳴りする坂田ギターを完璧コントロールして、これほどまでに抑制された音色を出せるなんて、押尾さんのテクニックって本当に凄いなと思いました。 ちなみに、ムーンスプルースですが、ヨーロピアンスプルースを特定の季節と月齢のタイミングで伐採し、自然乾燥させたものだそうです。これは「植物が持つ水分は、月の満ち欠けの影響を受ける」という考え方に基づいているようです。つまり、キーワードは「乾燥」で、もっとも木材を乾燥させやすいタイミングで伐採して、さらに時間をかけて自然乾燥させるわけですね。音への影響は諸説あるようですが、興味深い話ですよね。

坂田さんの工房訪問 その④

私の好みだったブラジリアンローズウッド(ハカランダ) 今回は注文していませんが、ブラジリアンローズウッド(ハカランダ)もタップトーンさせて頂きました。 こちらは、トップ材のスプルースよりも、さらに個体差が大きくて驚きました。まるで金属やガラスのように高音が響くものや、まるで神社の鐘のようにゴーンと太く鳴り響くもの、そして音の広がり方にも違いがありました。そして、長い年月、湖の底に沈んでいたといわれるハカランダは、少し緑がかっていて、独特な深みのある響きをしていました。製作の過程で緑がかった部分は削られてしまうのだそうですが。 でも、これだけの個体差があると、当然ハズレのハカランダもあるわけで、ハカランダとローズウッドの違いを信じない人がいても仕方ないのかなとも思いました。事実、少し前までの私が、そうでしたし。また、アディロンは音が暴れやすいので、まとまりのいいハカランダに合わせるのが良いのではないかなど、トップとサイドバックの組み合わせについても議論を重ねました。 その他にも、ハカランダの入手経路や、どのルシアーがどういった材を持っているかといった話で盛り上がったりもしました。当然、ここに書ける内容ではありませんが(笑)。ちなみに、私のオーダーは、キューバンマホガニーのサイドバックだったのですが、それはまたの機会にでも。でも、タップトーンをしながら、完成したギターの音を想像するのは、本当に楽しいですね。とても貴重な体験をさせて頂きました。

坂田さんの工房訪問 その③

私の選んだアディロンダックスプルースです。 楽しみにしていた木材選び。はじめてのタップトーンに挑戦してきました。 最初は、素人の私に違いがわかるのか、心配していたのですが、実際に叩いてみると意外とわかるものなんですね。それだけ、個体差があるということなのでしょう。やり方は簡単です。指の腹で叩いて低音の響きを確認し、爪で叩いて高音の響きを確認します。 まずは、トップ材です。もちろん私が選んだのは、マホガニーと相性のいい「アディロンダックスプルース」です。木目を見て、音の良さそうなものを選んでは、ひたすら叩くの繰り返しです。密度が濃くて高音の響きの良いものや、太くて腰のある中低音が特徴のものなど、木の板を叩くだけでも、はっきり違いがわかったので驚きました。 今回のテーマは、「ソロギター向けのマホガニー」なので、高音の響きが美しく、抜けの良さそうなものを選びました。また、アディロンの木目は、中央が狭く、サイドに行くほど広がっていくものが良いとされていますが、その音の違いもタップトーンで体感することができました。これはいい勉強になりましたね。 ちなみに、30年間、自然乾燥させたというシトカスプルースも試させて頂いたのですが、これまた抜けのよい素晴らしい響きでした。何が凄いって、サステインが凄いんです。木の板を叩いただけなのに、ずっと鳴り続けるんです。木材の乾燥が、どれだけ音に影響を与えるのかってことですよね。

坂田さんの工房訪問 その②

製作中のSakata Guitar。見えないところも美しくがポリシー。 坂田ギターに関しては、製作本数も少なく、情報もあまり出回っていません。まさに、知る人ぞ知るギターなのですが、それだけでは、あまりにも勿体ないということで、簡単に特長を紹介しておきたいと思います。ギブソンスタイルも取り扱っていますが、ここでは私の得意なマーティンスタイルについて。 プリウォーマーティンを理想形としながらも、新しいアイディアを取り入れ、コリングスのような堅牢性や実用性を高めているところが特徴です。音的には、マーティンとコリングスの中間に位置付けられて、マーティンが持つ柔らかさと、コリングスが持つ粒立ちの良い芯のある音を両立させています。そして、とにかくバランスが良く、フィンガーでもストロークでも問題なく使えます。 ネックとボディのジョイントには、マーティンのダブテイルではなく、コリングスと同じボルトジョイントが使われています。ボルトジョイントは音が硬くなると言われていますが、新品にも関わらず、マーティンのような柔らかい音が出せてしまうところが、坂田ギターの凄いところだと思います。マーティンサウンドの肝でありながら、構造上の弱点と言われているジョイント部分の課題を克服しているとも言えますね。 ネックは、アジャスタブルロッドに加え、カーボンで補強しています。これもコリングスとアイディアは同じです。軽くて、反りにも強い。日本ではあまりアジャスタブルの人気はないのですが、ジム・メリルでさえも、音質にはロッドの種類よりもネック材の密度の方が影響すると言い、アジャスタブルを採用していますからね。私は実用的なものが好きなので、音さえ良ければ調整可能なアジャスタブルの方がいいと思います。調整の重要さも坂田さんは力説されていました。 そして、外観も「シンプルで美しいものが良い」という考え方にも共感できます。装飾やデザインに力を入れるのではなく、とにかく音で勝負をしたいという考え方なんですよね。それが、これだけ良質の材料を揃えることに繋がっているんでしょう。木材のストックもいろいろ見せて頂きましたが、どれもこだわりのある素晴らしい材だと思いました。使いたくない材を正直に言ってくれるところも好きでした(笑)

坂田さんの工房訪問 その①

坂田さんの工房です。 思い立ったが吉日。というわけで、山梨にあるSakata Guitarsの工房にお邪魔してきました。 坂田さんは本当に気さくな方で、会話も魅力的で面白く、到着してからぶっ通しで6時間もギター談義してしまいました(笑)。音のイメージ合わせは、私の坂田ギターへの感想や、コリングスやマーティンについて議論していく中で、だんだん、深まっていったと思います。特に面白かったのが、コリングスに関する議論でした。 コリングスは素晴らしいギターなのだけれど、音に硬さを感じる人が多い。ビル・コリングスは10年弾き込んでくれれば変わるというけれども、10年弾いてもまだ硬い(笑)。そして、ヴァーニッシュ・フィニッシュという切り札を出し、柔らかい音を実現したが、それは自分たちのギターに対する課題を認めたことになるのではないのか。 簡単にまとめるとこんな感じですね。ここで私が「坂田ギターの音は、ヴァーニッシュ・フィニッシュのコリングスに近いと感じています」とお伝えしてみました。この感覚は、坂田さんご自身も感じられていたようでした。加えて、ワニスを使わなくても、ラッカーで薄く仕上げるだけで、同じような鳴りを出すことができるようになったと言われていました。重要なのは塗装の方法や種類よりも、厚さではないかと。 また、楽器にも「音楽性」を求めるという坂田さんの考え方が自分にはしっくりきました。私自身、いろいろなアコギを弾いてきていますが、音はいいけど、このギターで何を演奏するの?っていうものが多い気がします。坂田さんは、自然と歌いたくなる音や、自然とメロディが浮かんでくるような音を目標にしていると。坂田さんを日本のグレーベンと例える人もいますが、わかる気がしましたね。 そして「とにかく、鳴りが良くて、レスポンスの良いギターであれば、あとはプレイヤーがコントロールすればいい」という考え方がいいですね。耳の痛い話ではありますが、最終的な音を出すのは演奏者ですからね。そのために坂田さんは、最良のギターを作るだけだと。坂田さん自身がシンガーソングライターということもあって、プレイヤーならではの視点が、ギター製作に反映されているのかもしれません。

ソロギターに合うマホガニーを考える。

Sakata Guitars OO-28B 坂田ギターをオーダーするにあたり、テーマを考えてみました。それは「ソロギターに合うマホガニー」です。 一般的にソロギターでは、ローズウッド系のアコギが使われることが多いですね。それは、マホガニーに比べて、低音から高音までのダイナミックレンジが優れているからだと考えています。では、ダイナミックレンジの劣るマホガニーで、ソロギターを演奏する場合には、どのようなアコギが向いているのでしょうか。マホガニーの特性から考えてみたいと思います。 マホガニーの最大の魅力は、美しい高音域にあると考えています。そのため、美しいプレーン弦やハイポジションでの響きをどこまで引き出せるのかがポイントになります。これには、トップ材を変えたり、ブレーシングでも調整できますが、単純にボディサイズを小さくするだけでも、低音の量感を抑えることができるので、相対的に高音域の存在感を高めることができますよね。 続いて、マホガニーの欠点について考えてみます。マホガニーは、軽くて柔らかい素材ですから、どうしても、低音域のダイナミックレンジが落ちてしまい、音に柔らかさや甘さが出てしまいます。そのため、張りのある低音や、深く沈み込むような質感は期待できません。そういった低音を求めるのであれば、マホガニーではなく、重くて硬いローズ系の素材を選ぶべきです。 低音の量感であれば、ボディサイズを大きくすることで増幅できますが、しまりのない低音を増幅するのは、あまり好みではありません。ですので、逆にボディサイズを小さくすることで、量感を押さえ、キレのある低音にした方が、マホガニーの特性を活かせるのではないかと考えました。そう、私にとって、ソロギターに合うマホガニーのキーワードは「スモールボディ」なのです。 さまざまなボディサイズの試奏を行った結果、私はダブルオーが好みだという結論に達しました。ダブルオーは、音の透明度の高さや、レスポンスの速さ、そして6本の弦のバランスの良さが特徴で、通好みのギターと言われたりもします。そして何よりも、お気に入りの「00-28B」の兄弟のようなマホガニーが欲しいと思ったんですよね。

国内ルシアーが作るハンドメイドギターついて考える。

Sakata Guitars 00-28B (Brazilian rosewood) とあるクラシックギター専門店にて。 店員さんとギター談義をしている中で、 海外ルシアーものと、国内ルシアーものの違い について話題になりました。  店員さん曰く、昔はギターをどうやって作っているのかさえ、わからなかったと。 だから分解して調べて、似たものまでは作れるようにはなった。 でも、 肝心な部分でノウハウが足りていなかったから 、音までは近づけることができなかったと。 今では、簡単に詳細な情報が手に入るようになり、技術力も上がった 。 だから、国内ルシアーでも素晴らしいアコギが作れるようになりましたよと。 クラシックギターの話ではありますが、きっとアコギも一緒なんだろうなと思いました。 特に、私の好きなマーティンに限定した場合、マーティンの基本的な設計というのは、既に広く知られているわけです。 となると、それを自分の理想の音に近づけるために、どのような素材を選ぶのか、どのようにチューニングするのか、そして、どのルシアーを選ぶのかが重要になってきます。 マーティン系のルシアーでは、ジム・メリルやジュリアス・ボージャスが有名です。 でも、二人とも海外のルシアーですので、コミュニケーションを取るのは難しいですよね。 そして二人には、マーティンの黄金期と言われる1930年代のギターを再現するといった明確なポリシーがあります。 そのため、私が音や形を注文する余地はなく、もう決まった音、形があるわけです。  その点、 日本人のルシアーですと、直接話をしたり、演奏を聴いてもらったりして、音のイメージを共有したり、細かい仕様まで注文することができます 。 さらには、 直接、工房までお邪魔すれば、木材を自分で選ぶこともできます 。 これは絶対に面白いはずだと思ったわけです。 というわけで、思い切って注文してみようと。  注文にあたって、いろいろなルシアーを研究しているうちに、驚愕の事実を知りました。 なんと、先日衝動買いしたSakata Guitarsさんでは、「 幻のキューバンマホガニー 」を取り扱っていたのです。 ↓↓↓ 「 赤い黄金マホガニー 」 マホ好きの私としては、これ

岸部眞明さんのライブに行ってきました。

岸部眞明さんのインストアライブ@恵比寿ドルフィンギターズに行ってきました。 いわゆるソロギターと言われるジャンルにも、いろいろなスタイルがありますが、岸部さんの場合は、演奏も良いのですが、それよりも圧倒的な楽曲の質の高さが凄い! 今日演奏したものでは「昭和ロマン」、「花」、「雨降る窓辺で」など、歌心溢れまくりです(笑) 当日は、それらに加え、ビートルズのカバーや、次回作に収録予定という新曲を織り交ぜた約2時間の構成でした。 日本的でちょっとレトロな旋律や、オープンチューニングによる独創的な響きなど、随所に岸部さんらしさが感じられ、とても楽しめました。 そして、岸部さんと言えば「Water Road」ですよね。 群馬県在住のルシアー「増田明夫」さんの作品で、トップはジャーマンスプールース、サイドバックにはマダガスカルローズウッドが使われています。 私はハカランダのものを試奏したことがありますが、普通にストロークするだけだと、癖の少ない上質なアコギという印象なんですよね。 それが、オープンチューニングに変え、指で爪弾くと、音が化けるんです。 単音の魅力で聞かせるギターというよりは、6本の弦の絶妙なバランスで聞かせるギターですかね。 フィンガースタイルには最適だと思いました。

ショートスケールのアコギについて考える その①

ショートスケールの「000-18GE(2006年)」 以前からアコギについて、考えていたことがありました。 それは、、、 「 ショートスケールのアコギが、ソロギターに向いているのではないか 」ということです。 私の演奏が下手なせいもあるのですが、、、 ドレッドノートやOMといったロングスケール(645mm)のアコギでソロギターを演奏すると、どうしても低音が強く出過ぎてしまい、 メロディラインが埋もれてしまう んですよね。 特に、私の好きなマーティン系でロングスケールのものだと、構造上、どうしても低音が強く出てしまうんです。 でも、ショートスケール(632mm)のアコギに持ち替えると、同じ弾き方をしていても、音のバランスが変わってきます。 「 低音は抑えられ、自然とメロディラインが浮き出てくる 」のです。 倍音は減ってしまいますが、その分、 ひとつひとつの音がくっきり明確になります 。 これって「 メロディラインが重要なソロギターに向いているんじゃないか 」と思ったわけです。 もちろん、ショートスケールのアコギが、全てのソロギターに適しているわけではありません。 そして、変則チューニングが必要な場合に、弦のテンションが足りなくなることもあるかもしれません。 でも、楽曲や演奏方法によっては、このショートスケールの強みを活用できるのではないかと思うわけです。 まあ、演奏技術さえあれば、ドレッドノートでも上手くコントロールして、何でも弾きこなせるのでしょうが。 ショートスケールでのソロギターについては、今後も研究していきたいなと思っています。

ハンドクラフトギターフェス 2014に行ってきました(後編)。

SUMI工房 S-00MC 「 ハンドクラフトギターフェス2014に行ってきました。 」の続編です。 試奏をして、とても気になっていたアコギがありました。 それは、SUMI工房さんの「S-00MC」、「S-00LM(ラージサウンドホール)」と、Sakata Guitarsさんの「CW-28B」です。 でも、フェスの会場は盛り上がっていますからね。 残念ながら、アコギの音色をしっかり確認できるような環境ではないんです。 ということもあって、いつか静かな環境で試奏してみたいなと思っていたんですよね。 ある日、友人と楽器屋巡りをしていた時のことです。 本当に偶然なのですが、そのお気に入りのアコギ達と再び出会ってしまったのです。 それは「S-00MC」、「CW-28B」です。 「S-00LM」も他店に入荷されたようなのですが、すぐに売れてしまったそうです。 やはり、いいアコギは足が早いですね。 というわけで、思いっきり試奏してきましたよというお話です。 まず、SUMI工房の「S-00MC」ですが、やはり素晴らしいアコギでした。 トップの赤蝦夷松とサイドバックのホンジュラスマホガニーの相性が良く、マホガニーらしい温かい音色が秀逸でした。 また、ダブルオーサイズということもあって、レスポンスが良く、自分の思い通りにギターが反応してくれます。 派手さはありませんが、素材と設計と作りの良さが揃った素晴らしいアコギだと思いました。 そして自分的に衝撃だったのが、Sakata Guitarsの「CW-28B」でした。 深く沈みこむ低音に、濁りのない美しい高音に思わず絶句。 以前から評判は聞いていましたが、マスターグレードのアディロン・トップと、プレミアムグレードのハカランダ・サイドバックを使って作られた坂田ギターが、これほどまで凄いとは。 今まで、ビンテージも含め、ハカランダのアコギは何本も弾いたことがありましたが、新品の状態でこれだけの音が出るものははじめてでした。 とその時、、、 店員さんが、まだ店頭に出していなかったハカランダの「00-28B」を私にそーっと手渡したんですよね。 というわけで、友人宅にはSUMI工房の「S-00MC」が、、、 そして私の家にはSak

ネック材としてのマホガニーを考える。

ネックはプレイヤーにとって最も重要な演奏性に関わる部分です。そのため、最高のフィーリングを作り出すために、細かな調整ができるよう、製作者にとって加工しやすい素材である必要がありました。それに加えネック材には、軽さ、弾力性、剛性といった特性が求められるため、それらの特性を備えるマホガニーは、最良のネック材として扱われてきたのです。 それが2005年頃のことでした。Martin社のネックの表記が「Genuine Mahogany」から「Select Hardwood」に変更されてしまったのです。エントリークラスのモデルだけならばまだしも、Style 40系やAuthentic Seriesといった上位モデルでさえも変更されてしまったので、正直、驚かされました。もしかすると、それ以前にもマホガニー以外の素材が使われていた可能性もありますが。 ちょうどよい年代のアコギがありますので、比較してみましょう。画像左が「D-18GE(2004年製)」、右が表記が変更された後に販売された「000-18GE(2006年製)」です。木目から判断して、両方ともマホガニーネックですね。ただ、トリプルオーは、塗装が厚く、写真だとわかりにくいかもしれませんが、実物ではうっすらとマホガニー特有の黒い導管が確認できます。そのため「Select Hardwood」だからと言って、マホガニーが使われなくなったというわけではないのです。 これは人から聞いた話ですが、Martinでは「Select Hardwood」として、マホガニーや、その代替材として期待されているサペリ、クラシックギターなどでも使われているスパニッシュシダー(セドロ)を使用しているそうです。私がマホガニー以外で見たことがあるのは、スパニッシュシダーのネックで、明るめの色合いと木目から、それとなく判断できるものでした。一応、試奏はしてみましたが、音色の違いまでは感じられませんでした。 というのも、音だけの観点であれば、ネック材よりも、トップやサイドバックの個体差の方が影響は大きいですし、ネックに限定した場合でも、多くのルシアーが重要なのはネックの種類よりも密度だと言っていますからね。ですので「音」よりも「モノ」としてどこまでマホガニーにこだわるのかということになりますね。

アコギストの爪の形を考える。

実は最近、爪が割れていないんです。 それは、爪で弾くことになれてきたのか、爪の補修液の効果なのか、仕上げ用のガラスヤスリの効果なのかはわかりませんが。ただ、もしかすると、今の爪の形が良いのではないかと考えています。画像は私の最近の爪の形ですが、爪の先をフラットに仕上げているのがわかりますかね。 爪については、日々研究を重ねてはいるのですが、女性向けのネイルサイトで爪の形とその特徴を学習したので、私なりにまとめてみたいと思います。 ①ラウンド : サイドがストレートで、先端がやや平らな形 ②オーバル : ラウンドの角をさらに削って丸みをつけた形。細い分、若干強度は落ちる ③ポイント : オーバルの角をさらに削って尖らせた形。尖っている分、強度は弱い ④スクエア : 角がある四角い形。強度は高いが、角が尖っているため、日常生活でひっかかりやすい ⑤スクエアオフ : スクエアの角に少し丸みをつけた形。強度も高く、日常生活での影響も少ない。 爪を伸ばしはじめた頃、爪と弦の接点は小さい方が良いと考え、②オーバルや③ポイントのような形をイメージしていたんですよね。ギターのピックってティアドロップ型だったりするじゃないですか。なので、先が細い方が弾きやすいのかと。でも、それだとすぐに割れてしまって。 そこで最近は、①ラウンドや⑤スクエアオフの形を目指していたのです。すると確かにアコギを弾いているときもそうですが、日常生活でも割れにくくなったんです。弾きやすいかと言われるとまだちょっと違和感はあるのですが、しばらくはこの形で練習してみようと思っています。 これなら自爪だけでもいけるかもしれません!

ハンドクラフトギターフェス 2014に行ってきました(前編)。

現代の名工によるハンドクラフトギター&ウクレレの展示会。 今年で10周年を迎えたそうですね。 MartinやGibsonであれば、日本全国の楽器屋さんで試奏できますが、国産のルシアーものとなると、なかなか触れる機会がないですよね。 というわけで、思いっきり試奏してきましたよ(笑) 今回は、SUMI工房、エム・シオザキ弦楽器工房、Sakata Guitars、スギタケンジ、Collings、Furch(フォルヒ)の計18本を試奏してきました。 これだけの国産ハンドメイドギターをまとめて試せる機会はなかなかありませんからね。 本当に勉強になりました。 その中でも「SUMI工房」の作りの良さには驚かされました。 若いマホガニーであれだけの音がだせるとは。 また会場内では展示会の他にも、ライブが同時開催されていました。 私は打田十紀夫先生や、クラシックギターの掛布雅弥氏、そして松井祐貴氏の演奏を見てきました。 打田先生のライブでは、いつものシグネイチャーモデル「Morris SC-16U」、スライド用のリゾネーターに加え、ハンドクラフトフェスということもあり、ホンジュラスマホガニーのYokoyama Guitars、メイプルのシオザキギターの4本構えでした。 画像は塩崎ギターですが、ビンテージマーティンのような甘いトーンが心地良かったですね。 ライブに試奏にと一日遊べてたったの1,300円。 私的にはとても満足できたイベントでした。 ※続編はこちら「 ハンドクラフトギターフェズ 2014に行ってきました(後編)。 」

近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ)。

アディロントップの「D-18GE(2004年」、「OOO-18GE(2006年)」 最近、トップ材に希少材と言われる 「アディロンダック・スプルース」 を使用したアコギを頻繁に見かけるようになりました。 このアディロンですが、、、 その軽くて強い特性から、かつては飛行機の部材として使われていたそうです。 そのため、第二次大戦での戦況の拡大に伴い、乱伐され枯渇してしまったんですね。 その後、長い間、希少材とされてきましたが、植林による効果でしょうか。 アコギ材として一般に流通できるまで、環境が回復したようですね。 そのため、マーティンのアディロントップを手に入れるには、 「1946年以前のビンテージ」 を入手するしか方法がありませんでした。 それだけに、新品でもアディロンを入手できるようになったことは、ありがたい話ですよね。 若いアディロンには、ビンテージほどの味わい深さはないかもしれませんが、それでも十分にアディロンの魅力を堪能できると思います。 そんなアディロンの魅力を知る上で、オススメしたいのが、 この「 ゴールデン・エラ・シリーズ 」です。 マホガニーに限定した話をすると、、、 1999年のドレッドノートの「D-18GE」にはじまり、2003~2005年にはオーケストラモデルの「OM-18GE」、2006~2013年にはオーディトリアムの「OOO-18GE」が発売されています。 1995年にも「D-18 Golden Era」といったモデルが発売されましたが、これはGuitars Of The Monthとして製作されたもので、トップにシトカスプルースが使用された別モノです。 このゴールデン・エラ・シリーズですが、面白いもので、仕様上は黄金期の再現を目指しているのですが、 音作りは極めて現代的 なんですよね。 「 タイトで力強い低音に、アディロン・マホならではの主張のある中高音 」が特徴です。 また、アディロントップに加え、 フォワードシフテッドスキャロップドXブレイシング ですので、レスポンスが良く、軽く爪弾いただけでもめちゃくちゃ鳴ります。 ですので、フィンガースタイルには最適ですね。 ストロークでは、むしろ、鳴りすぎるくらいかもし

マホガニーに合うトップ材を考える。

アディロンダックスプルースの木目 アコギの音はトップ材で決まると言われます。 それだけに、、、 マホガニーの魅力を最大限に引き出すことのできる トップ材を選びたい ですね。 毎度のことですが、マーティンのStyle 18を例にして考えてみたいと思います。 Style 18は、サイドバックにマホガニー、トップにスプルースの組み合わせです。 トップ材には、1945年までがアディロンダックスプルース、それ以降はシトカスプルースが使われています。 音の傾向としては、、、 シトカはスッキリとした端正な音色 、 アディロンは太くて艶のある音色 が特徴になります。 ここで代表的なトップ材の比重をチェックしてみましょう。 アディロン(0.32~0.35) イングルマン(0.32~0.35) レッドシーダー(0.36~0.40) シトカ(0.41~0.45) ジャーマン(0.41~0.45) シトカに比べ、アディロンは軽いんですね。 この軽さが「 レスポンスや鳴りの良さ 」に繋がっているのでしょう。 つまり、、、 マホガニーの特徴のひとつであるレスポンスの良さを伸ばす組み合わせが「 アディロン・マホ 」なわけですね。 また、マホガニーの柔らかさの中に、アディロンの腰の強さや艶のある音色を加えることで、絶妙なサウンドが作られるわけです。 ちなみに、見方を変えると、、、 重い素材を鳴らすには、強い力が必要ですので、ハカランダやローズウッドのような音響特性の優れた素材の方が向いているわけですね。 そういえば、ジャーマンスプルースとマホガニーの組み合わせって見かけないですよね。 などと、アディロン好きな私ではありますが、シトカスプルースとの組み合わせも十分に魅力的だと考えています。 特に 「ビンテージの枯れたシトカの音色」 は堪らないものがあります。 ただ、シトカのビンテージも、決して安くはないですし、コンディションの良いものになかなか巡り合えないですからね。 とりあえず、音の良いマホガニーに触れてみたいのであれば、近年モノのアディロンをオススメしたいと思います。

チェコ製の仕上げ用ヤスリを購入しました

とあるクラシックギター奏者を参考にして、 私もきめの細かい ガラスヤスリ を購入してみました。 これはチェコ製のものらしいのですが、 実際に使ってみたところ、驚きの効果がありました。 軽く削っただけでも、「 爪の表面が滑らか 」に、 「 きめ細やかになったことがわかる程 」です。 スチール弦では微妙かもしれませんが、 ガット弦では、確かに音が変わるかもしれません。 また、表面がざらついた状態でスチール弦を弾くと、 爪がもろくなり、割れやすくなっていたように感じていましたが、 ギターを弾く前にこのガラスヤスリで整えてやれば、 爪の割れを回避できそうな気がします 。 こればかりは、しばらく使ってみないとわかりませんけどね。 日々のお手入れの大切さを痛感させられている今日この頃でした。

マーティン・ヴィンテージギター・ガイド

昨年、、、 Style 40系モデルを特集したムック本が発売されましたが、その続編がでましたね。 今回は、アコギのスタンダードとも言える「 Style 20系 」です。 個人的には、40系よりも種類が多く掲載されていましたし、頑張れば購入できそうな価格帯のものもあるので、今回の方が楽しめました。 特に、0-28、1-28、2-20といった、「 小さいモデルの特集 」がとても良かったです。小さいモデルのまとまった記事は少ないので、貴重ですよね。 このような小さなアコギは、「 パーラーギター 」などと呼ばれるのですが、ヨーロピアンテイスト溢れるレトロなデザインは、芸術の域に達していますね。本当に美しいです。 私も1800年代のものを何本か試奏したことがありますが、小さなボディから飛び出す「 可憐な響き 」が堪らないんですよね。 その中でも気になったのが、、、 誌面で紹介されていた1850年代の「2-27」だけで録音したという小倉博和さんの「Spring Comes」というアルバムです。 この「2-27」は、マーティンⅠ世によって作成された とのことですが、160年も昔に作られたMartinは、どんな音で鳴り、そして録音されているのでしょうか。 記事はコチラ ↓↓↓ 「 1852年製の「Martin 2-27」の音色を味わう 」 続編は、マホガニーのStyle 18になることを期待しています!