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マホガニー図鑑「Martin D-18(1953年製)」①

マホガニー図鑑第9弾は、1953年製のMartin D-18です。 この時期のD-18は、シトカスプルースが標準仕様なのですが、この個体はイレギュラーでアディロンダックスプルースが使われています。 いわゆる、最強のアディロンマホの組み合わせですね。 もちろん、シトカスプルーストップの個体でも驚くような音色の個体もありますし、鳴らないダメアディロンもありますが。 でもこう言ったイレギュラーがあったり、鳴りの良い個体を探したりすることが、ヴィンテージギターの醍醐味だったりもしますよね。 と言うわけで、一般的にヴィンテージと言われている1960年代頃までの仕様で、音に与える影響の大きいブレーシングの部分について整理してみたいと思います。 大きく3つに分けると、、、 ①~1938まで:フォワードシフト & スキャロップ ②~1944まで:リアシフト & スキャロップ ③1945以降~:リアシフト & ノンスキャロップ となります。 これにトップ材の違い(アディロンダックスプルース/シトカスプルース)と、ロッド材の違い(鉄製のTバーロッド/戦時中に使われたエボニーロッド/一番重いSQロッド)があるわけですね。 そういった中で、このアディロントップの50年代のD-18にこだわった理由があるんです。 それは、抜群のコストパフォーマンスです。 先ほどの整理を見てもらうとわかるのですが、ゴールデンエラ期真っ只中の①の値段は置いといて、、、 ②でさえも、1941年製までの同じTバーロッド仕様のものは300万以上してしまいます。 で、②と③の主な違いなのですが、、、 実は、違いはスキャロップの有無ということだけになります。 (あくまでも仕様上の話ですが) それだけで価格が1/4以下になるわけです。 そしてスキャロップブレーシングは現代でも、リイシューとして作られていますが、、、 ノンスキャロップとなるとカスタムオーダーをしなくてはなりません。 それを考えると、希少性もあり、とてもお得感があると思うんですよね。 ノンスキャロップならではの芯のある力強い音色、そしてヴィンテージマホガニーならではのレスポンスの良さと、芳醇な中高音域。 優しく爪弾けばとてつもない美音を奏で、力強く弾け

アコースティックギターのスタンダード『ドレッドノート』

英国の戦艦、HMS Dreadnoughtから名付けられたボディスタイル。 それがアコースティックギターのスタンダードと言って過言ではない『ドレッドノート』です。  日本でもこの戦艦の名前から「超弩級」などの言葉が作られるほど(弩がドレッドノートからきているそうです)、 当時は強い影響を与えていたようで、Wikipediaなどを読んでみても、かなり革新的な戦艦だったことがわかります。 ↓↓↓ Wikipediaはコチラ    そしてこのドレッドノートの誕生は、この戦艦の名前に負けないほど、アコースティックギターの歴史における革新的な出来事となったのでした。 そもそものはじまりは、1916年。 フランク・ヘンリー・マーティンがボストンの楽器販売会社ディットソンにOEMとして製作を依頼したことに遡ります。 単純に他の楽器にも負けない大きな音量が求められたのかもしれませんが、、、 当時の演奏スタイルの変化から、より歌伴に合うギターが求められるようになったことが、このボディシェイプを生み出した大きな要因ではないでしょうか。 より大きな音量を出すための広いトップの面積、幅が広く深さもあるボディサイズ。  そして豊かなダイナミックレンジと倍音を引き出すためのくびれの少ないボディシェイプ。 それまでのクラシックギターからの流れを汲むシェイプからみると、あきらかに新しい設計が試みられていますよね。  この ディットソン社は1920年代後半に廃業してしまうのですが、このデザインに可能性を見出したマーティン社によって、開発が続けられていきます。  そして1931年には12フレットジョイントのD-1、D-2という名称で製作され、さらには1934年になり、現在と同じ14フレットジョイントに変更された D-18、D-28が誕生したというわけです。  このドレッドノートが、開発されてから80年以上たった今でも、アコースティックギターのスタンダードとして使われ続けているとは、誰が予想できたことでしょうか。 それだけアコースティックギターとして、究極のデザインというわけですよね。 というわけで、次回はマホガニー図鑑「Martin D-18」です!