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伊藤賢一「ギター・リサイタル」に行ってきました(2016年)

Martin D-18 (1952年) とKen Oya Model-J (2008) 昨年に引き続き 、伊藤賢一@近江楽堂(新宿オペラシティ)に行ってきました。 ライブではなく「リサイタル」としているあたりにも、伊藤さんのコダワリが感じられますね。 会場は100人程度のキャパですが、昨年に引き続き満員御礼。 いかに、伊藤さんの音楽、 そしてアコースティックギターの生音を求めている人が多いかということがわかります。 今回は、いつものハウザー、大屋に加え、1952年製のMartin D-18が使われていました。 このリサイタルでは、毎回、ゲストが参加することになっているそうです。 今回のゲストは、クラシックギタリストの垂石雅俊さん。 伊藤さんの同窓生だそうです。 垂石さんは、埼玉で音楽教室「ギター&エアスト」を主宰されており、自身のCDも多数リリースするなど、ギタリスト業界の中では、かなり稼いでいる部類ではないかと(笑) もちろん、、、 全日本ギターコンクール、ギター音楽大賞アンサンブル部門での優勝、 ドイツに渡欧し、クラシックギターをアレクサンダー・セルゲイ・ラミレス氏、アコースティックギターをドン・ロス氏に師事するなど、 実績・実力も十分なギタリストです。 「伊藤君とは1ミリも趣味が合わない」など、 ゲスト出演とは思えないMCで会場を沸かしていましたが、会場は同窓生でなくてはだせない、やさしい雰囲気で包まれていました。 使用ギターは、ガットが「Kazuo Sato」、スティールはローデンでした。 肝心のリサイタルの内容ですが、、、 「はじめて手に入れたまともなギターがMartin D-18だった」 というMCから演奏された、少年時代をイメージした楽曲のメドレーが良かったです。 使用ギターはもちろん、1952年製のD-18。 マホガニーのやさしい音色と、会場の美しい残響音で、なんだかとても感傷的な気持ちになってしまいました。 また、伊藤さんの定番曲ソリチュードの二重奏が素晴らしかったですね。 いつもはソロでの演奏ですが、垂石さんが二重奏にアレンジしたのだそうです。 伊藤さんが大屋ギター、垂石さんが伊藤さんのD-18を使って演奏していたのですが、アレンジもさる

マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」④

ブレーシングは、もちろん、スキャロップブレーシング。 トップ材には鳴りにくいマホガニーが使われていますが、、、 スキャロップ仕様であること、 そして熟成されたプリウォーヴィンテージということもあって、下手なスプルーストップのギターよりも、良く鳴ります。 これなら、フィンガースタイルのソロギターでも十分に使えるなといった印象です。 特に高音域に関しては、突き抜けるような、それでいて柔らかで美しい音色を奏でてくれます。 もちろん、倍音は少ないのですが、この澄んだ高音域というのは、上質なオールマホでなくては出せない音色だと思います。 そして、ブリッジプレートにはメイプルではなく、ハカランダが使われていますね。 また個人的には、オールマホのギターではピッキングのタッチが重要だと考えています。 というのも、優しく弾くと、とても美しい音色を出すことができるし、 強く弾くと、オールマホ特有の帯域の狭さがでてきて、コンプレスがかかったような独特の泥臭さのような音になります。 この音色が、ブルースやラグタイムに合うとされている理由ですね。 つまり、よいオールマホは、弾き方次第で、多彩な表現力をもったギターと言えると思います。 ちなみに、マーティンではこの「Style 17」以外でも、オールマホのギターがあります。 それは「Style 15」ですね。 同じオールマホということもあり、見た目も似ているのですが、いくつか違いがあるので、まとめておきますね。 一番わかりやすいのは、ポジションマークですかね。 Style 17は、「5、7、9、12、14フレット」にありますが、Style 15は「5、7、9、12フレット」にあり、さらにはダブルドットがありません。 またフレット数も、Style 17は20フレットまであるのに対し、Style 15では19フレットまでしかありません。 ちなみに、1940~1943年までに作られた0-15では、べっ甲柄のヘッドプレートが使われていたりします。 マホガニーは個体差の大きい材ですので、是非、たくさん試奏して、よいオールマホのギターと巡り合ってほしいなと思います。 プリウォーやゴールデンエラと呼ばれる時期の中では、もっとも手に入れやすい価格帯のモデルですので

マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」③

ブリッジと指盤はハカランダです。 廉価版であるこの「Style 17」でも、ハカランダが使われていることからも、当時はハカランダが潤沢に存在した時代であったことが想像できます(端材の有効活用なのかもしれませんが)。 ハカランダの場合、エボニーに比べて軽やかな音になりますので、この軽やかさというのが、当時の職人が狙っていた音作りなのかもしれませんね。 ナット幅は、1938年以前ですので、44.5ミリ。 1939年以降の42ミリ幅のものと比べ、ナット幅が広いことで、その分ネックの質量が増えますので、サステインや響き方にも影響を与えていると考えられます。 また、特徴的な部分としては、ナットにエボニーが使われていることがあげられます。 音作りとしてウッディーな感じを出したかったのか、もしくはこれまた端材の有効活用だったのか。 その辺の事情はわかりませんが、このエボニーナットが0-17らしい「ほっこり 」したオールマホサウンドのポイントと言えます。 ※牛骨の方が現代的な音色を出せるとは思いますが。 ネックはモディファイVの形状で、いわゆる、昨今のオーセンティックと同じですね。 また、1941年以前ですので、ネックのロッドには鉄製のTバーが使われています。 1942年以降のエボニーロッドと弾き比べると、鉄製のTバーの方が質量がある分、重量感があり、高音域に艶と質感を加えてくれているように感じます。 逆にエボニーロッドの場合には、マホガニーの軽やかな感じが増してくるので、ラグタイムのような軽快な楽曲で使っていきたい音色ですね。 ■オールマホ関連記事 私がマホガニーに惹かれたもう一つの理由『オールマホのすゝめ』 『続・オールマホのすゝめ』オールマホを選ぶ理由。 ■オールマホ図鑑 マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」① マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」② マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」③ マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」④ マホガニー図鑑「Martin 2-17(1927年製)」