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6月, 2016の投稿を表示しています

マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」②

トップ材は、もちろん、マホガニーです。 一般的にトップ材として使われることの多いスプルースと比べると、振動幅は小さく感じられます。 その影響もあってか、周波数の帯域的にはかなり狭い印象を受けます。 特に低音は弱いですね。 ただ、あえて「鳴りにくい」トップ材を使うことで、まとまりの良い、濃厚なマホガニーらしい中音域を出していると考えることもできます。 個人的にはこの濃厚さ(帯域の狭さ)こそが、オールマホガニーのギターの魅力だと考えています。 特に、よく弾きこまれたヴィンテージともなると、スプルースのギターや、新しいオールマホのギターでは決して表現できない素晴らしい音色を奏でるようになります。 またプリウォーには、キューバンマホガニーが使われているという都市伝説も囁かれていたりもするのですが、木目を見る限り、この個体に関しては、そうではないと思われます。 これ以外でも、それなりの本数のマホガニーが使われたギターを弾いたことがありますが、やはり、ほとんどがキューバンマホガニーではない、もしくは判断できないものでした。 この辺はプロの方にきいても、なかなか判断が難しいようですが、その大半がホンジュラスマホガニーなのだろうと私は考えています。 少なくとも、キューバンマホガニーではなくても、しっかり弾きこまれ、熟成されたマホガニーのギターは、とんでもない美音を出す、そのことだけは間違いありません。 ■オールマホ関連記事 私がマホガニーに惹かれたもう一つの理由『オールマホのすゝめ』 『続・オールマホのすゝめ』オールマホを選ぶ理由。 ■オールマホ図鑑 マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」① マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」② マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」③ マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」④ マホガニー図鑑「Martin 2-17(1927年製)」

マホガニー図鑑「Martin 0-17 1935年製」①

Martin 0-17 1935年製 マホガニー図鑑の第6弾は「Martin 0-17(1935年製)」です。 「1935年製!」ということもあり、、、 まさに、マーティンの黄金期と呼ばれているゴールデンエラの真っ只中にあたります。 世界中のミュージシャンやコレクターが血眼になって探している年代のギターです。 そんな中でも、このオールマホガニーのプリウォーに関しては、、、 個性的な音やルックスに加え、なんとか手の届く範囲の価格帯ということもあって、かなりの人が狙っている人気のモデルだったりもします。 そもそもオールマホとは何なのか、ということですが、、、 アコースティックギターのトップ材には「スプルース」が使われることが多いのですが、そこにサイドバックやネック材として使われることの多い「マホガニー」を使っていることが特徴になります。 マーティンだと「0-15」や「0-17」、ギブソンだと「L-0」や「LG-0」といったモデルですね。 一般的にはブルースやラグタイムといった楽曲に合うとされています。 温かくて、優しいマホガニーらしい音色が特徴です。 このオールマホですが、マーティンでは、1921年頃から製造が開始されています。 最初に販売されたのは「2-17」という小振りなサイズのギターでした。 この頃には、既にダブルオーやトリプルオーといったボディサイズが主流になっていましたので、この「2」というボディサイズはかなり小振りなものです。 「1」や「2」といったボディサイズはどちらかというと19世紀に作られていたサイズですね。 くわえて、音の遠達性の劣るマホガニーですからね。 音量はかなり小さめで、自宅で軽く爪弾くような使われ方をしていたものと考えられます。 実際には、スチューデントモデルとして安価で売り出されていたそうです。 この決してハイスペックではない、廉価版のギターと言っても過言ではないこのオールマホのギターが、80年以上の月日を経て、どのような進化を遂げたのでしょうか。 ■オールマホ関連記事 私がマホガニーに惹かれたもう一つの理由『オールマホのすゝめ』 『続・オールマホのすゝめ』オールマホを選ぶ理由。 ■オールマホ図鑑 マホガニー図鑑「Martin 0-17 193

私がマホガニーに惹かれたもう一つの理由『オールマホのすゝめ』

友人のオールマホ『Gibson L-0(1928年製)』 私がマホガニーに惹かれたきっかけは、マーティンのゴールデンエラシリーズでした。 まさに「開眼」というやつで、アディロンダックスプルースとマホガニーの組み合わせに可能性を感じてしまったんですよね。 ↓↓↓ マホガニーのすゝめ その後、同じアディロン・マホの組み合わせであるオーセンティックシリーズや、 ギブソンのレジェンドシリーズ、 さらには貴重なヴィンテージのギターを試奏していくうちに、 その思いは確信に変わっていきます。 アディロントップならではの艶、コシ、音の太さは、音響特性に劣るマホガニーの短所を補い、長所を引き出す組み合わせなのだなと。 その一方で、純粋にマホガニーの甘さや優しさといった個性を「もっと濃く」味わえる組み合わせはないのかなと、考えるようになっていきました。 それは「オールマホガニー」のギターでした。 もともと、ブルースやラグタイムといった音楽が好きだったこともあり、いつか、渋いオールマホのギターを手に入れたいと思っていたんですよね。 ということもあって、昔からオールマホのギターを見つけるたびに、試奏をするようにしていました。 でも、なかなか良いものに巡り合えなくて。 ところが、ある日、凄いオールマホと出会ってしまったのです。 それまで、オールマホのギターといえば、とにかく軽い音というイメージでした。 悪く言うと、チープでスカスカな音ですね。 これが一般的なオールマホに対する認識ですし、そもそも廉価版という位置づけのギターなので、これがオールマホが目指した音作りなのでしょう。 でも、私が出会ってしまった個体からは、全く違う音色が飛び出したのです。 艶やかで、濃密で、気品すら感じさせる美しい音色。 少しダークで陰りがあり、でも、ウッディーで温かい質感もある。 ダイナミックレンジは狭いですが、その狭い帯域の中での圧倒的な存在感。 「なんだこれは!」となったわけです。 マホガニーの種類が違うのか、作りによるものなのか、熟成のされ方が違うのか。 その理由はわかりません。 でも、音だけは確実に違うのです。 ある意味、アディロンマホ以上の衝撃を感じてしまったのです。 次回は、そんなオール