スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(Martin)が付いた投稿を表示しています

ソラマチで開催された「Guitar Canvas」にてMr.Jimmy(桜井)さんの演奏を観る。

  東京スカイツリーの近くにある Lattest Sports にて開催された「 Guitar Canvas 」に行ってきました。 このイベント、毎月第一金曜日に開催されているそうで、今回は第六回目とのことでした。 いつもはエレキギター中心のイベントだそうですが、今回はアコースティックギター特集とのことでしたので参加してきました。 この日はスペシャルゲストとして、もはやワールドクラスの存在となったジミー桜井さんが参加されるので、とても楽しみにしていたんですよね。 ジミー桜井さんを知らない人のために補足しますと、レッド・ツェッペリンのトリビュートバンドとしてワールドワイドで活躍されています。 その活動はツェッペリンのジミー・ペイジ氏本人からも認められていて、単なるコピーといったレベルのものではなく、再現とか継承といった、もっと高い次元での表現活動をされています。 日本ではトリビュートバンドというと格下なイメージを持たれがちですが、米国ではひとつのジャンルとして認知されているようで、全米ツアーなどもやられていたりします。 ご参考に夕刊フジの記事をアップしときますね。 そしてさらには日本未公開ですが、その活動のドキュメンタリーが映画化されていたりもするんですよね。 ジミー桜井が語る、映画『 Mr. Jimmy /  ミスター・ジミー』の制作秘話と活動のこだわり ジミー・ペイジが認めた日本人ギタリストのドキュメンタリー 当日、桜井さんが使用したのは、このブログでもお馴染みの Harmony H1260 Sovereign です。「天国への階段」で使用したことで有名なギターですね。 この日は「 Rain Song 」と「 Stairway to Heaven 」の二曲を演奏してくれました。 いやー演奏が素晴らしいのは当たり前なのですが、演奏している時の所作というか佇まいが完全にジミー・ペイジなんですよね。 私も長年、レッド・ツェッペリンを追いかけている人間のひとりなので本当に感動してしまいます。 また興味深かったのが、レインソングの変則チューニングの話や、天国への階段に近づけるためのピッキングポジションなど、桜井さんの研究の一部を聞かせてもらえたことですね。 私の愛読書である「 世界で一番ジミー・ペイジになろうとした男 」にも様々な研究成果は記載されています...

1940年製の「Martin D-45」の音色を味わう。

  「 NHK MUSIC SPECIAL  福山雅治〜時を超えるギター」 みなさん、番組見られましたか? ちなみに昔、ブログでも書かせていただきましたが、私は福山さんのラジオを 20 年以上聞き続けている筋金入りのヘビーリスナーだったりします。(あえて、ファンとは言いません) 本当にラジオの福山さんは楽しくて(特に結婚前は)、自分の生活の一部として欠かせない存在でしたし、誠に勝手ながら自分のアニキのような存在だと思い、今でも慕っています。 そんな福山さんが購入したプリウォーの D-45(1940年製) をマーティン本社を訪問し、リペアしてもらうという企画で、アコギ好きには堪らない素晴らしい番組でした。 しかも、戦前にその D-45 が作られたであろう工房で弾き語りまでしてしまうのです。 普通の人間なら恐れ多くてできないことを福山さんならやってしまう、許されてしまうのが凄いところだと思います笑 流石に本人も、歴史あるマーティンの工房でそんなことするなんてと考えたとは思いますが、福山さん本人の意思に関わらず、やってくださいと頼まれてしまうのでしょうね。 そしてその役割を理解し、演じ切れてしまうのが福山さんが『福山雅治』たる所以なのでしょう。ただギタープレイを見る限り、いつもよりは思い切りがないように感じました。そんなところも好きです笑 内容はみなさんの目で見てほしいですが( 11 月 13 日 23:50 から再放送あり)、マーティンが好きな方なら、間違いなくロマンを掻き立てられるような内容でしたね。 しかし、以前ラジオでは、プリウォーの D-45 を買いませんか?というお誘いはあったけど、高すぎるからお断りしたみたいなことを言っていた記憶はあるのですが、、、ついに買ってしまったのですね。 福山さんが買えないわけはないのですが。 ただ、アコギ好きな人間から言わせてもらうと、今回の映像ではプリウォーの D-45 の音色の魅力は伝えきれていなかったように感じます。 また、福山さん自身の歌声もいつもより低音が弱く感じられたので、きっと D-45 も豪華な倍音感を録音しきれていなかったのではないかと思うんですよね。 この辺りは今後使われるであろうレコーディングでの音色に注目していきたいところですかね。 この流れだと、紅白でプリウォーの D-45 使ったりする...

『マーティンのテーパード・ブレーシング』実物を試奏してきました!

  1948年製のMartin 000-18 過去記事「最近話題?マーティンのノーテーパード・ブレーシング」の続編です。 まずは、簡単に『ブレーシング』の説明からはじめましょうかね。 ブレーシングとは、ギター内部にある力木と言われる木で、ギターのトップやサイドバックを補強するために使われています。そもそもは補強が目的だったとは思うのですが、その力木の構造(組み方)や、形状、材質によってギターの音色が変わってくるんですよね。 で、今回は形状(スキャロップド・ノンスキャロップド)のお話になります。 マーティンでは、戦前から伝統的にこの力木をスキャロップド(削る)ことで素晴らしい音色を作ってきたんですよね。 ところが1944年、このスキャロップドは廃止されてしまいます。一般的には、より強度を求めてという話もありますが、個人的にはギター販売本数(製作本数)の増加に伴い、より生産の効率化が求められたんじゃないかと考えています。 スキャロップされていようが、なかろうが、結果としての音色が素晴らしければそれでいいはずなのですが、削って調整することをやめたと言われると、なんとなく手抜きに感じてしまうのが人間の性というものですよね。 それに加えて、戦前マーティンのプレミアムもあり、スキャロップこそ最高みたいな風潮があったりするからややこしいんですよね。 例えば、同じノンスキャロップドのギターを買うのであれば、同じスペックの1950年代、1960年代のギターであれば、1940年後半のギターよりも安く買えてしまうんですよね。そういったこともあって、なかなか手を出しにくい年代のものでした。 ※Style-28系ではヘリンボーンも廃止されていたりするので、尚更、1940年代後半スペックは人気がなかったんですよね。 そこに突如として話題となったのが「1945~1948年のモデルはスキャロップされていた!」だったというわけです。画像を見て頂いても、わかるような、わからないような、とてもなだらかなスキャロップなのですが。 ここからわかることは、マーティンの職人たちが当時、試行錯誤を重ねていたのであろう事実ですね。強度をあげ、製作本数も増やさないといけない、でも、音色に影響を与えたくない。その妥協点がこのノン・テーパードブレーシングだったのではないかと。 今回はたまたま1948年の000-1...

『続・オールマホのすゝめ』オールマホの音色の魅力とは。

前回の記事では見た目の話題に終始してしまったので、オールマホの音色についてもまとめておこうというのが今回のテーマになります。 オールマホはもともとサイドバックの材として多く使われている材ですからね。振動特性が優れているわけではありません。そのため、帯域が狭く、倍音が少ない音色が特徴となります。 私が今まで弾いてきたオールマホで考えると大きく分けると「もちっと系」と「ガシャガシャ系」に分類できると考えています。 もちっと系は、柔らかい音、暖かい音と形容されることが多いですね。フィンガースタイルで優しいタッチで弾いてあげると他の材では決して出すことのできない美音を奏でてくれます。 例えば私が以前所有していた0-17などはまさにこのタイプで、優しく弾くととんでもなく美しいもちっとサウンドを響かせてくれました。硬質な材を使ったギターでは決して出すことのできない音色です。 また、小型のパーラーギターとして人気の高い2-17などもテンションの弱いコンパウンド弦を張ってあげるとなんとも言えない優しい音色を奏でてくれますよ。ピッキングした時のエッジ感は弱いのですが、その分、ジャジーなフレーズなどによく合う音色だと思います。 一方、ガシャガシャ系は真逆の音色で、倍音が少なく、箱なり感も弱いので弦鳴り感がより強調されるイメージでしょうか。ピッキングした時のエッジ感やザクザク感で勝負するような感じですね。 余計な倍音はありませんので。この方が歌に合わせやすいという方もいらっしゃると思います。また、エレアコとして使うのであれば、余計な倍音がないので、エフェクターなどで音作りもしやすいかもしれません。 多くの方がイメージされるオールマホの音色は後者のガシャガシャ系なのかと思います。前者はマーティンにしろ、ギブソンにしろ戦前のギターに多い特徴ですね。オールマホという要素に加えて何十年も熟成されたヴィンテージ・マホガニーというのも理由のひとつなのかもしれません。 いかがでしたでしょうか。オールマホだからと言って全てが同じ音でもないし、もちっと系とガシャ系の中間に位置するようなギターもありますし、弾き方を変えるだけでもちっと系にもガシャ系にもなるギターもあります。 オールマホ=泥臭いみたいな先入観に囚われることなく、唯一無二の圧倒的なビジュアルと持ちつつ、自分の出したい音色のギターを見つけられると...

『続・オールマホのすゝめ』オールマホを選ぶ理由。

  クロサワ楽器さんの企画で00-17 Authentic 1931を弾く藤原さくらさん 今年に入って、Blue-GさんやHobo'sさんに戦前モノのオールマホガニーの名器「Gibson L-0」や「Martin 0-17」の入荷が続いたためか、オールマホで検索された方のアクセスが増えているんですよね。ありがたい話です。 とはいえ、人気のギターですからね。入荷したらすぐにホールド、ソールドアウトとなってしまうわけで。お茶の水に通っている私でさえ、なかなか実物を見ることもできませんし、ましてや遠方の方となると、なおさらですよね。 そこで、私自身が「Martin 0-17(1935年製)」や「Martin 2-17(1927年製)」を所有していたこともありますので、何かの参考にでもなればいいかなと思い、オールマホを選ぶポイントについて、考えをまとめておきたいなと思いました。 実際に自分で所有してみて、そして色々なギターを弾いてきて思ったこと、それは突き詰めると「見た目のインパクト=オールマホを選ぶ理由」なのかなと考えるに至っています。 一般的には「オールマホ=渋い、素朴」といったイメージからブルースに合うと思われる方が多いように感じていますが、私的にはそんな印象はないんですよね。むしろ、「お洒落でかわいらしいギター」だと思っています。 というのも、ブルースに求められるサウンドでは、ピッキングしたときのエッジ感であったり、低音のグルーヴ感などが重要になると思うのですが、そういった音を出せるギターは、スプルーストップのものでも存在するんですよね。いや、むしろスプルーストップの方が合うのではないかとさえ個人的には思っています。 やはりオールマホは、独特の帯域の狭さや倍音の少なさが特徴だと思いますし、それをどう活かして使っていくのかがポイントになるのだと思うわけです。 そして、歌モノとの相性としてはソフトなヴォーカルに合うと思います。使用ギターの例としては、海外だとジャクソン・ブラウン(1950年代のMartin 00-17)、国内だと藤原さくら(1943年製のMartin 00-17)が愛用していますね。 偶然、二人ともダブルオーサイズを選んでいるわけですが、弾き語りでの合わせやすさという意味でコダワリのボディサイズかもしれませんね。シングルオーよりもストロークがまと...

ニール・ヤング(Neil Young)の使用ギター:「Martin D-45(と、D-18)」

マーティンのフラグシップ・モデルであるD-45。 オリジナルのD-45は1933年に製造が開始され、1942年までに91本が作られました。有名な話ではありますが、光り輝くインレイが日本から輸入していたパールを使用していたんですよね。そのため、太平洋戦争の激化と共に輸入が困難になり、製造を断念したと言われています。 そんなD-45も1968年に復刻されます。でも、オリジナルは91本しか作られておらず、このギターの持つ音色というのはほとんど知られていなかったのではないかと思うんですよね。ただ、見た目のインパクトという点では人気は継続していたようで、D-28にインレイをつけるカスタマイズが施されたギターもあったりしますよね。 でも見た目だけではなく、唯一無二な煌びやかな豪華な音色もD-45の魅力な訳です。では誰が、音色としてのD-45の魅力を知らしめたのか。やはりそれは、CSN&Y(クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング)の存在ではないでしょうか。D-45サウンドを駆使し、オープンチューニングを多用したアンサンブルには今なお圧倒されます。 でも、私は思うのです。D-45のようにギター一本だけでも十分と思えるほどに完成された音色は、アンサンブルよりもシンプルな弾き語りでこそその魅力が発揮されるのではないかと。すなわち、ニール・ヤングの弾き語りこそがD-45の真髄なのではないかと思うわけです。 で、なぜ突然ニール・ヤングの話題かと言うと、遅ればせながらOBS(オフィシャル・ブートレッグ・シリーズ)を大人買いしたからなんですけどね。 ・CARNEGIE HALL 1970(1970年12月4日) ・DOROTHY CHANDLER PAVILION 1971(1971年2月1日) ・ROYCE HALL 1971(1971年1月30日) ・CITIZEN KANE JR. BLUES(1974年5月16日) さらには、少し前にでた「YOUNG SHAKESPEARE(1971年1月22日)」と名盤「Live At Massey Hall(1971年1月19日)」も含めると、この時期近辺で6タイトルもリリースされています。ニール本人が、いかにこの時期を特別なものとして捉えているかが伝わってきますね。選曲的にも、1970年の「After The Gold Rush」と、1...

「Collings」を語る。その⑨:Collings、Martinの歴史を振り返る。

  青がCollings、赤がMartinの製作本数 「Collingsを語る。」として、8回にわたって記事を書いてきました。思っていたよりも長い連載になってしまいましたが、私のコリングスに対する熱量は伝わりましたでしょうか。今回は最終回ということもあり、コリングスの歴史を振り返りつつ、まとめていきたいと思います。 歴史を振り返るにあたって、コリングスとマーティンの製作本数をグラフにしてみました。製作本数の伸び率をみるために、左軸がコリングス、右軸がマーティンとして二軸のグラフにしています。 これを見ると、製作本数の伸びが驚くほど類似していることが分かりますね。むしろ、マーティンの方がバックパッカーやエド・シーランの使用で有名になったLX1/LX1Eなどの廉価版ギターで製作本数を水増ししているところがあると思いますので、コリングスの成長は目を見張るものがあります。 その他にグラフから読み取れることとしては、アコースティックギターの転機となったのは、やはりエリック・クラプトンのアンプラグド(1992年)の影響が大きかったことがわかりますね。 また、グラフからは判別できませんが、ヴィンテージギターの魅力というのも、この時クラプトンが使用した000-42(1939年製)からはじまったと言われています。それを確かめるべく、今度は年表で整理してみたいと思います。 1988年:ビル・コリングスによって、テキサス州オースティンにCollingsを設立 1992年:エリック・クラプトンがMTVアンプラグドに出演⇒クラプトンが使用した1939年製の000-42により、ヴィンテージギターの魅力が広まる 1995年:Martin Vintage Seriesが開始 1996年:Martin 000-28EC(Eric Clapton Signature Model)が開始 1999年:Martin Golden Era Seriesが開始⇒初代はD-18GE、ゴールデンエラ仕様の追求がはじまる 2000年:Collingsの製作本数がはじめて1000本を超える 2005年:Collingsがヴァーニッシュ・フィニッシュを開始⇒NAMM SHOW 2005にてビル・コリングスが自ら製作したD-1A Varnishを発表 2005年:Martin Authentic Seriesが開...

「Collings」を語る。その⑧:トップ材のベイクド加工。焼くか、焼かないか。

  悩みに悩んで選んだ焼いてないOM-1T 木材のベイクド加工(熱処理)がギターに使われはじめたのは、マーティンがVTSを導入した2015年のこと。 その前から取り組んでいたメーカーもあるかもしれませんが、やはり本家マーティンが開始すると市場へのインパクトが違いますよね。 その後、コリングスは遅れること一年、2016年から開始しています。コリングスではTorrefied(トリファイド)加工という呼び方ですね。 日本でもHEADWAYなどが積極的に導入していますね。 マーティンがVTS(Vintage Tone System)と名付けたこともあり、どうしてもヴィンテージ・サウンドの追求的な感覚でとらえてしまうのですが、、、 このベイクド加工はギター用として開発された技術ではなく、そもそもは建築などで使われる材用に開発されたものです。 ちょっとネーミングに騙されている気もしますね。 で、焼いたのと、焼いていないの、どちら派ですか? と聞かれたら、私は焼いてない派と答えます。 なぜ、焼いてない方が好きかと言うと、単純に音色が好みだからです。 ここで自分の立ち位置を明確にしておこうと思いますが、やはり実際のヴィンテージギターと、ベイクド加工したギターの音は似て非なるものと考えています。 ただ違うとは言っても、良い悪いの話ではなく、好みの差なのであしからず。 ※この記事の画像でも使用していますが、近々、マホガニー図鑑として「Collings OM-1T」を紹介する予定なのですが、、、 実はそれを購入する際に、同じトラディショナルシリーズで焼いたものと焼いてないものの新品が揃うという奇跡があったんですね。 で、どちらも素晴らしいギターで、めちゃくちゃ試奏させていただいて、悩んだ末に「焼いてないもの」を選んだのです。 ということもあり、ここでその時に感じたことをまとめておきたいなと考えています。 まず、私が弾くことを前提にしていますので、フィンガースタイルのソロギター用として評価をしています。 私の評価ポイントとしては、低音域から高音域までのバランスの良さや、ピッキングの強弱による反応を主にみています。 音はコリングスなので間違いありませんから。 私自身、焼いたのと焼いていないので一番大きな差として感じたのは、ピッキングの強弱に対する追随性でした。 焼いてない方が指弾きで...

「Collings」を語る。その⑦:進化したスタンダード・シリーズ、そして塗装による音色の違い

どれがスタンダード・シリーズなのか定義はないですが、多分これ全部だと思います。 本家Martin、PREWAR GUITAR、そしてCollingsといずれもマーティンの黄金期を目指したギターを比較してきました。 どれも明確なコンセプトのもとに製作された素晴らしいギターですので、正直なところどれを選ぶのかは好みの問題だと思います。 ただこういった高度な復刻を目指す動きがある一方で、更なる進化を遂げているギターがあるんです。 それは、Collingsのスタンダード・シリーズです。いたって普通のCollings、実はこれがまた凄いというお話になります。 私がスタンダード・シリーズに変化を感じたのはちょうどトラディショナル・シリーズが出始めた頃だったと思います。 某店にて、サイドバックがマホガニー、トップがシトカスプルースのドレッドノート「D-1(2016年製)」を試奏させてもらった時に、これさえあれば十分だと感じたんですよね。 もしくは、あまりの素晴らしさに「負けた」って感じさせられたって方が私の本音に近いかもしれません。 もちろん、他にも良いギターはたくさんありますが、多くのギタリストが望む要素がかなりの高次元で満たされているなと見せつけられたわけです。 そしてそれが確信に変わったのが、ダブルオーサイズが出回りはじめた頃だったかなと。 で、私がどのような変化を感じたかというと、 Collingsの特徴だった重厚感のある低音はやや軽やかになり、いろいろな音楽に合わせやすいバランスにシフト エッジの効いた高音域(倍音)もやや抑えられ、相対的に中音域の倍音が前面に出てきた。これにより、プレーン弦の太さ、艶が以前よりも感じられるようになった 音のヌケが良くなり、レスポンスも向上 変化の方向性としては、2009年頃のマイナーチェンジの延長線上だと思います。 仕様変更があったわけでもないので、不思議ではあるのですが、他の方々の意見などを聞いてみても同じような感想を持たれている方が多いように感じます。 トラディショナル・シリーズの開発により得られた知見をスタンダード・シリーズに 反映させたのか、それともトラディショナル・シリーズとの差別化のために音色を変えたのか色々考えられますが、、、これらは私の憶測の域を出ません。 ただひとつ言えることは、現代的なフィンガースタイル向けに対応した...

最近話題?「マーティンのノンテーパード・ブレーシング」とは。

今回は、アコースティック・ギター・マガジンのVol.92を取り上げます。久しぶりの書籍ネタですね。 私のブログの方針としては、実際に自分の目で見て、手で触って、経験したことを書いていきたいと考えているので、極力、雑誌は見ないようにしているのですが(影響されやすいもので・・・)、今回はどうしても気になるネタがあったので取り上げてみました。 巻頭特集は「弾き語りの美学」。両国国技館で行われた「J-Wave TOKYO GUITAR JAMBOREE 2022」とその出演者による弾き語りへのコダワリを紹介。 その他にも、「サウンドポート月アコギの徹底検証」などマニアックで興味をそそられる内容もあるのですが、私が着目した記事はこれですね。 「買えるアコギの博物館 Blue-Gに行こう!」 Blue-Gと言えば、東京を代表するアコースティックギター・ショップですね。 店舗が渋谷に移転したことで、個人的には少し足が遠くなってしまっているのですが、 日本が世界に誇れる楽器屋のひとつではないかと。 その中で私が注目したのは、「テーパード・ブレーシング」という新しい単語です。正直なところ、なんだそれって感じでした。 記事を読んでみますと、1945~1948年頃に使われていたブレーシングで、最近になって発見?されたとのこと。 戦前のスキャロップ・ブレーシングのようにパッと見でわかるような削り方ではなく、ボディのリム側に向かって滑らかな削り込みがされているようですね。 ※今度、実物を見させてもらったときにアップデートします。 従来の情報だと、この時期の仕様はノンスキャロップ・ブレーシングとされていましたからね。かなり判別しにくい削り方なのだろうと推察します。 ここで、個人的にちょっと思ったことが。これは私の邪推にすぎませんが、、、 マーティンとしては、本当はこれくらいの軽い削り込みをいれたかったのではないかと思うんですよね。 今となっては、これもまたひとつの個性のようにノンスキャロップ・ブレーシングも人気がありますが、仕様変更した当時としては楽器として鳴りにくい方向にシフトしたわけですからね。 ※あくまでも、狙いは強度の向上だったはず。 そう考えると、、、ノンスキャロップというのは大量生産に向けた妥協策で、マーティンが本当に使いたかった強度と音色のバランスを備えているのはこの40年代後半...

「Collings」を語る。その④:マーティン・オーセンティック・シリーズとの比較

  今回は、皆さんが興味を持たれているであろうコリングスのトラディショナルシリーズと同じコンセプトである本家マーティンのオーセンティックシリーズや、最近話題のプリウォーギター(ブランド名)との比較をしてみたいと思います。 また私自身、ゴールデンエラ期の再現としては最高峰と言われるメリルであったり、マーティンの D-18(1937年製) ※マホガニー図鑑「Martin D-18(1937年製)」 00-18(1938年製) ※マホガニー図鑑「Martin 00-18(1938年製)」 000-18(1938年製) ※マホガニー図鑑「000-18(1938年製)」 000-28(1938年製)※たまにはローズの話でも(近日公開予定) を所有して弾き込んだ経験がありますので、そのあたりの経験もまじえて比較してみようと思っています。 Martin Authentic Series コンセプトとしては、当時の材料、設計、工法を再現するというもの。 まさに、「マーティンの伝統の継承」ではないでしょうか。 ネックの補強材に、当時使われていたスチールTバーやエボニーロッドを復刻したり、ヴィンテージサウンドの要といわれるニカワ接着を再現したことで話題になりましたね。 メーカーの製品ではありますが、ハンドメイドにこだわって製作されており、高品質で良いギターだと思います。 ただし、カタログスペックとしての再現性は高いものの、ある程度の量産体制を意識しているためか、内部のブレーシングの組み方など、細部では再現性が低い部分もあるようですね。 また、音色に関してもゴールデンエラ期のサウンドを突き詰めているというよりは、80年前に作られたギターが新品の頃はこんな音色だったかもねという仕上がりです。 これは別に悪い意味ではなく、あえてヴィンテージ風の鳴りを再現していないというだけの話です。 むしろ現代的な楽曲にも合わせやすく、使いやすい音色だと思います。 結論としては、本家マーティンとしては間違いなく最高峰のギターですので、新しいマーティンを所有したいという方にはベストな選択肢だと思います。 次回はPre War Guitarsとの比較を予定しています。 ■関連記事 ・ 「Collings」のすすめ。 ・ 追悼:ビル・コリングス(1948-2017) ・ コリングス、おそるべし(トラディシ...

メイドイン御茶ノ水「Hobo's Works」をオーダーする①  出会い編

  今回の友人のオーダーですが、 ことの始まりは この Hobo's Works OM-18 Spureme (岡健男) との出会いからだったんですよね。 これがとにかく凄くて、 ヴィンテージ的な音の抜け感や、 楽器全体が振動しているかのような 心地良さが圧倒的なのです。 メリルやジュリアス・ボージャスなど、 いわゆる巨匠と言われる人たちのギターも たくさん弾いてきましたが、 この感覚は岡さんのギターがピカイチです。 ギターの仕様も紹介しておきましょうね。 トップは最高グレードの アディロンダックスプルース、 サイドバックはホンジュラスマホガニーの 組み合わせ。 こだわりポイントとしては、 オリジナルのマーティンの OM と同様に ネックの補強にはエボニーロッドが 使われていることでしょうか。 エボニーロッドということでは、 以前良い音だと記事を書いたこともある Martin OM-18 Authentic にも 使われていましたね。 鉄製の T バー・ロッドや SQ ロッド と 比べると軽さのためなのか、 木材ならではの振動特性なのか、 なぜか新品の状態でも ヴィンテージの ような鳴りを 感じることができるんですよね。 オリジナルOMの仕様から 意図的に 変えているのは、 X ブレーシングの位置を ブリッジ側に 寄せていることです。 リアシフトなどと呼ばれたりもしますね。 リアシフトですが、 本家マーティンでは 1939 年以降に採用されました。 ブレーシング位置を変えることで、 太いスチール弦を張れるように 強度をあげたという説もありますが、 当時の音楽の流行に合わせ、 歌物に 使いやすいようにコードの響きに まとまり感を出すことも 目的のひとつ だったのではないかと 推測しています。 では、なぜ、今回あえて変えたのか。 岡さんいわく、そこには明確な狙いがあり、 一般的にはフィンガー向きと言われる OM ではありますが、ストローク時の音の まとまり感を出したりだとか、和音の響き などで出したい音のイメージがあったようです。 そのバランスを実現するにはリアシフトだと。 実際に弾いてみると、 その狙い通りの仕上がりとなっていて、 ストロークでもフィンガーでも使える バランスに仕上げられているんですよね。 ちょっとありきたりな表現なので もう少し 突っ込んだ表...