東京お茶の水のHobo'sさんにコリングスの最新作「Hill Country」が入荷したと聞きましたので、早速試奏させていただいたと言うお話です(もう、Sold Outのようですが)
今回試奏したのはドレッドノートのD-1A HCというモデルになります。
故ビル・コリングスがお気に入りだったと言うトップがアディロンダックスプルース、サイドバックがマホガニーのドレッドノートですね。
メーカー情報では、、、
「温かみと木の温もりを併せ持ち、力強い基音を極限まで追求したアコースティックギターです」
「ドライなキャラクターと豊かな低音域を持つこれらのギターは、特にブルーグラス奏者にとって馴染み深く、どんなジャムセッションにもぴったりです」
「レスポンスの良さと温かみは、幅広いスタイルにマッチする汎用性の高さと魅力を備えています」
いつも通り、わかるようで、わからない笑
まぁ、ここから読み取れる情報としては、コリングスらしい基音の強さがあり、ブルーグラスに合う音作りなのかなといったところでしょうか。
そして、第一印象ですが、、、
試奏して最初に感じたのは、なんて「漢」なギターなんだと言うことでした。
私のへなちょこフィンガーピッキングが、いとも簡単に弾き返されてしまいます。
大概、こういうドレッドノートは良いドレッドノートの場合が多いんですよね。
少し弾き続けるとこのギターの鳴らし方の感覚は掴めてきますが、この圧倒的な「強い」感覚はかなり個性的ですね。
その一方、フラットピックに持ち替えると気持ちよくギターが反応してくれます。
どれだけ強く弾いても負けることなく反応しますし、弱音でも音色に芯があり、楽器としての表現力とダイナミックレンジがとても広いと感じました。
そして最大の特徴とも言えるのが、音がとても「ドライ」なことなんです。
いわゆる、枯れた音ですね。
と言いつつ、ちなみに私はこの枯れた音という表現が好きではなかったりします。
というのも、よくヴィンテージを枯れた音と表現することがありますが、、、
大概は、鳴らない楽器や音が篭っている楽器の売り文句として使われていることが多いように感じているからです(これを悪い意味での乾いた音と定義したいと思います)
一方、このヒルカントリーは、楽器としての鳴り、そしてヌケ感が群を抜いてすごかったのですよね。まさに良い意味での枯れ感。
これはプリウォーギターのニュアンスに近い部分もあるのですが、鳴りとヌケ感はヒルカントリーの方が圧倒的でしたね。
また、プリウォーギターは少しダークなイメージがありましたが、こちらはとてもブライト(明るい)な性格に感じました。
そしてこれを弾いて思い出したのが、私が以前所有していた1937年のMartin D-18なんですよね。
これまでも、コリングスのトラディショナルシリーズや、マーティンのオーセンティックシリーズやプリウォーギター、個人製作家のメリルなども1930年代のゴールデンエラ期的なニュアンスを持っていましたが、今回のヒルカントリーが一番オリジナルに近い気がしました。
ただ1937年のD-18を早々に手放した私からすると(今も持っていれば資産価値として凄いことになっていましたが・・・)、オリジナルに近すぎるということは、この楽器に合う音楽性がかなり限定されてしまうということでもあったりするんですよね。
具体的には、いかにもアメリカンなフラットピッカー向け、ブルーグラスに最適化された音色といった感じなんですよね。
最近は本家マーティンもそうですし、コリングス自体もフィンガーでもフラットピックでも弾けるような、いわゆる鳴らしやすいドレッドノートが流行りのように感じています。
ですので、今回のヒルカントリーの狙いはそんな軟弱なドレッドではなく、ホンモノのドレッドを作ってやるぜ、的なところだったのかなと思った次第です。
このギターに合う音楽が限定される部分はありますが、ブルーグラスなどを演奏されるのであれば、これは最強のマホガニーのドレッドノートになるかもしれない存在だなと思いました。