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「Collings」の試奏で学んだこと。Martinの魅力を再認識。

「Collings OM2H Cutaway(1997年)」

実はつい最近まで、
コリングスを避けていました

なんとなく、本能的にですが、
近づいてはいけないと思っていたからです。

弦を緩めなくても問題がないくらい丈夫だし、
ピッチも驚くほど正確で、
これで音まで良かったらショックだなと。

もしかして、私のマーティン君たちが
いらなくなってしまうのではないかと。

そして、実際に弾いてみると、
めちゃくちゃ音が良いんですよね。

本当にやばいです。

ただ、値段はマーティンよりも高いし、
ヘッドが角ばっているところが
好みではなかったりするのですが、
評判通り、いや、
評判以上の素晴らしいアコギですね
これは。

でも、コリングスを弾いてみて
わかったことがあります。

それは、マーティンでしか
出せない音があるのだなということです。

最近のマーティンの音質について、
いろいろ言われる方も多いですし、
はっきり、くっきりした音を求め
コリングスに行きつく方も多いとは思いますが、

音の優しさ、柔らかさ、甘さ

がマーティンの個性なんだな
ということをあらためて認識させられました。

また、マーティン愛好家からは、
音が硬いと言われるコリングスですが、
2000年代の後半からは、
柔らかい音色へシフトしています。

また、1990年代のものは、
作られてから約20年が経過し、
良い感じに枯れてきているので、
今が良い頃合いかもしれませんね。

特に、「3桁コリングス」などと呼ばれる
製造番号が3ケタのものは、
現在のUV塗装とは異なり、
ラッカー塗装で仕上げられているので、
音質的にも有利ということもあって、
プレミアがついてきていますからね。

ちなみに、この画像は、友人が購入した
「OM2H Cutaway(1997年製)」です。

一緒にかなりの本数を試奏して
決めた一本でしたが、
「音色、演奏性、堅牢性」の三拍子が
揃った素晴らしいアコギでした。


※Collings関連記事
 「Collings」を語る。シリーズ 

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