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「Collings」を語る。その⑦:進化したスタンダード・シリーズ、そして塗装による音色の違い


どれがスタンダード・シリーズなのか定義はないですが、多分これ全部だと思います。

本家Martin、PREWAR GUITAR、そしてCollingsといずれもマーティンの黄金期を目指したギターを比較してきました。


どれも明確なコンセプトのもとに製作された素晴らしいギターですので、正直なところどれを選ぶのかは好みの問題だと思います。


ただこういった高度な復刻を目指す動きがある一方で、更なる進化を遂げているギターがあるんです。


それは、Collingsのスタンダード・シリーズです。いたって普通のCollings、実はこれがまた凄いというお話になります。


私がスタンダード・シリーズに変化を感じたのはちょうどトラディショナル・シリーズが出始めた頃だったと思います。


某店にて、サイドバックがマホガニー、トップがシトカスプルースのドレッドノート「D-1(2016年製)」を試奏させてもらった時に、これさえあれば十分だと感じたんですよね。


もしくは、あまりの素晴らしさに「負けた」って感じさせられたって方が私の本音に近いかもしれません。


もちろん、他にも良いギターはたくさんありますが、多くのギタリストが望む要素がかなりの高次元で満たされているなと見せつけられたわけです。


そしてそれが確信に変わったのが、ダブルオーサイズが出回りはじめた頃だったかなと。


で、私がどのような変化を感じたかというと、


  1. Collingsの特徴だった重厚感のある低音はやや軽やかになり、いろいろな音楽に合わせやすいバランスにシフト
  2. エッジの効いた高音域(倍音)もやや抑えられ、相対的に中音域の倍音が前面に出てきた。これにより、プレーン弦の太さ、艶が以前よりも感じられるようになった
  3. 音のヌケが良くなり、レスポンスも向上


変化の方向性としては、2009年頃のマイナーチェンジの延長線上だと思います。


仕様変更があったわけでもないので、不思議ではあるのですが、他の方々の意見などを聞いてみても同じような感想を持たれている方が多いように感じます。


トラディショナル・シリーズの開発により得られた知見をスタンダード・シリーズに

反映させたのか、それともトラディショナル・シリーズとの差別化のために音色を変えたのか色々考えられますが、、、これらは私の憶測の域を出ません。


ただひとつ言えることは、現代的なフィンガースタイル向けに対応したことかなと。そのため、ブルーグラスのような伝統的なフラットピッキンングでの演奏を主体とする方には物足りない方向に変化しているということでしょうか。


また、トラディショナル・シリーズとスタンダード・シリーズを比較した場合、様々な違いはあるものの、塗装の違いがダイレクトに音に影響しているように感じます。


トラディショナル・シリーズはラッカー下地、ラッカー塗装、

スタンダード・シリーズはUV下地、ラッカー塗装ですね。


※UV下地とは、紫外線を照射することにより硬化するUVハードコート塗料のことで、塗装後に塗膜をやすって極限まで薄くしているとのことです。


違いがあるのは下地の塗装方法ですが、木の表面に直接塗られている分、その影響は大きくなりますよね。


両者を比較した場合、


ラッカー:ウェット、ダーク、音の重心が中低域寄り

UV下地:ドライ、ブライト、音の中心が中高音域寄り


といった傾向があると思います。この辺は完全に好みの差ですね。


私も昔はヴィンテージと同じオール・ラッカー塗装が良いものだと思い込んでいましたが、この音色の傾向の違いや、楽器としての扱いやすさ、頑強さなどから、あえてUV下地を選ぶのもありだなと考えるようになりました。


ちなみに、どちらのモデルもネック裏はUV塗装となっており、音色に関係しない部分は実用性、機能性を重視するというコリングスのポリシーが感じられて面白いなと思いました。



・「Collings」を語る。シリーズ 

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