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「Collings」を語る。その②:トラディショナルシリーズの誕生

 

実物はもっと美しい、Traditional Case!

今回は2016年に発表されたトラディショナル・シリーズの話題です。


ヴィンテージサウンドの要と言われるニカワ接着に、オールラッカー塗装の復活、そして今となっては貴重となったトラディショナル・ケースなどで話題になりましたね。


ケースに至っては、ビル・コリングスが開発に4年もの歳月をかけたそうで、気合のほどがうかがえます。


※むしろ、採算が合わなかったのか、すぐに製造終了となってしまいましたが。


実際に弾いてみるとわかるのですが、そういったヴィンテージ的な仕様だけではなく、それ以上に細かいこだわりを随所に感じることができるんですよね。


私が気付いただけでも、レギュラーシリーズと比べて全体的に軽量化されていること、ブレーシング(内部の補強材)の削り方、質量のある太めのネックシェイプ、ノータンブレーシングの採用、ブリッジ側の弦間隔が広げられるなど様々な違いが見られました。


きっとそれ以外にもこだわりがたくさん詰まっているはずで、仕様だけではなく「ヴィンテージサウンドの追求」こそが真のコンセプトであることが伝わってきます。


当時、ビル・コリングスも語っていましたが、このヴィンテージサウンドの追求という点では、コリングスのサブブランドであるウォータールーで得られた経験が大きかったようですね。


ウォータールーですが、カラマズー(ギブソンのサブブランド)等のような古き良きギターが持つ魅力を再構築することが狙いだったのかなと私は感じています。


良い意味での粗さと、コリングスの精緻さが絶妙にブレンドされたヴィンテージ感溢れる素晴らしいギターでした。


私的には、このヴィンテージ的な感覚(音の柔らかさ、優しさ、奥深さ)が、コリングスがマーティン寄りの音色に近づいたと感じさせる一因だったりもするんですよね。


また開発に当たっては、ジャズギターの鬼才ジュリアン・レイジが関わっていたそうですね。


ジュリアンがコリングスを訪問した際に、OM-1A※の製作を依頼したことがはじまりで、たまたまコリングス側でも、トラディショナル・シリーズの開発に着手した頃だったこともあり、その流れで企画に参加することになったようです。


※サイドバックがマホガニー、トップがアディロンダックスプルースのOM(オーケストラモデル)


ジュリアン曰く、


「新品の時から僕らが愛してやまないオールドのアコースティックギターに迫るような魅力を備えたギターはどうやったら作れるのだろう」


との問いに対するコリングスからの回答がトラディショナル・シリーズと言っていますね。


また、「ウォータールーがなぜあんなにも衝撃的なギターなのか、そこを解き明かしたかった」


とも語っており、あの衝撃をマーティンスタイルのギターに実装してみたかったのでしょうね。


何度もオースティンに通い、ビル・コリングスなどと議論を重ね、試作品を作っては修正を繰り返したとのこと。


完成までに2年もかかったそうです。


すなわち、最高の技術者と演奏者が追求したヴィンテージサウンドを持つギター、それがトラディショナル・シリーズというわけですね。


さらには、トラディショナル・シリーズをカスタマイズし、ジュリアンの持つ000-18(1939年製)のサウンドに近づけたのがシグネーチャーモデル「OM-1TA JL(Julian Lage Signature Model)」なわけです。


そして、私が衝動買いしてしまったOM-2HT(Authentic Style)の件についてはまた次回にでも。



・「Collings」を語る。シリーズ 

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