マーティンが伝統の継承、プリウォーギターがゴールデンエラの再現とした場合、コリングスのコンセプトとは一体何なのでしょう。
いろいろあるとは思いますが、私は「ビル・コリングス自身が本当に作りたいギターを作る」だったのではないかと考えています。
マーティンスタイルを踏襲しながらも、彼オリジナルのくっきり、はっきりのコリングスサウンドを発明したわけですが、それでもやはり常にオリジナルのマーティン(特にゴールデンエラ期)への憧れがあったのではないかと思うわけです。
単純にマーティンの復刻を目指したのではなく、彼なりに徹底的に研究し、独自のコリングスサウンドとして再構築してきたわけですよね。
そして更なる探求の結果として、近年モノのコリングスや、トラディショナル・シリーズに見られるようなマーティン寄りのサウンドに辿り着いたのではないかと私は考えるのです。
また、音色の再現というよりは、ゴールデンエラ期のギターが持つ特性の再現を目指していると感じています。
それはまさに、コリングスの売り文句である「基音の強さと優れたレスポンス」ですね。つまり、同じゴールデンエラ期のギターを目指しつつも、プリウォーギターとは狙うポイントが異なるわけですね。
コリングスの場合は、さらに楽器としての精度の高さ、例えばピッチの正確さであったり、演奏性、メンテナンス性、堅牢性などを極限まで高めたものだと考えています。
また、ヴィンテージの「枯れた音」が素晴らしい的な表現をされる方がいらっしゃいますが、実は私的にはあまり枯れた音というのに興味はなく、それよりもこのコリングスが再現してくれた要素(基音の強さと優れたレスポンス)が重要なのですよね。
まぁ、私自身、コリングスを選んで購入しているので褒めるのは当たり前ではあるのですが。
まさに、私が求めるヴィンテージギターの要素が詰め込まれているのです。
また、癖のない素直な音色が様々な用途(ジャンル)に活用しやすいという点も、このトラディショナルシリーズの魅力ではないでしょうか。
ちなみに、コリングスでもトラディショナルシリーズとレギュラーシリーズとを比べると、前者がダーク、後者がブライトな印象になります。
最後にメリルと比べた場合ですが、2010年代のブライトな音作りに近いと思います。