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5月, 2015の投稿を表示しています

1970年製の「Martin 00-45S」の音色を味わう。

全くの守備範囲外なのですが、森山良子さんの「フォークソングの時代」を購入しました。 福山雅治さんの『魂リク』に引き続き、これまた使われているギターが凄いんですよね。 しかも、ギタリストとして山弦の小倉博和さんが参加しているんです。 さらにそれが「 e-Onkyo 」から、 24bit/96kHzのハイレゾ音源 で入手できるんです。 ということもあって、思わず買ってしまいました。 使われているメインギターは、森山良子さんは愛器の1970年製の「Martin 00-45S」。 小倉博和さんは1908年製の「Martin 00-45」と、どちらも極上のヴィンテージマーティン。 1970年製の方はジャーマントップに、インディアンローズウッドのサイドバック。 1908年製の方はアディロントップにハカランダのサイドバック。 さらに、12フレットジョイントのダブルオーという通好みな仕様から飛び出す音色は、ヴィンテージフェチには堪らないものがあります。 これ以外にも、1939年の「Martin 000-42」や、ドレッドノートを15/16サイズに縮小した「Seagul M.Shiozaki Ogura Custom」なども使われているようです。 興味のある方は、是非、ハイレゾ音源で試してみて下さい。 こちらから試聴もできます。 「 森山良子/フォークソングの時代 」 <関連記事> 1852年製の「Martin 2-27」の音色を味わう。 1930年製の「Martin OM-45」の音色を味わう。 NHKの音楽番組「The Covers」に福山雅治さんが出演!

ハンドクラフトギターフェス 2015に行ってきました(前夜祭②)

4.WATER ROAD 増田明夫 (群馬県) 岸部眞明さんの使用で有名ですね。 WATER ROADというと、ハカランダというイメージがあったのですが、これはマホガニーのモデルでした。 「トラトラトラ」がコンセプトだそうで(笑)、トップにはトラ目のジャーマンスプルース、ピックガードにもトラ目の美しいマホガニーが使われていました。 これは装飾を抑え、価格を抑えたモデルだそうですが、シックな感じが逆に高級感を醸し出しているようにさえ感じられました。 終了後、トップ材やサイドバック材の考え方など、いろいろなお話が聞けてとても勉強になりました。 ソロギターでのマホガニーということでは、最有力の一本になるかもしれません。 音のバランス、演奏性、芸術性が揃った、本当に素晴らしいギターでした。 5.SEAGULL 塩崎雅亮 (愛媛県) 巨匠、塩崎さんです。 今回のギターは、1938年のMartin D-18を31/32サイズで作ったものでした。 この31/32サイズですが、身長180cmの人が持つドレッドノートを身長174cmの人が持った場合の比率に換算したサイズだそうです。 つまり、大きくて弾きにくいドレッドノートを日本人サイズに作ったギターというわけですね。 ブレーシングも、オリジナルのサイズを忠実に縮小しているんだそうです。 また、スケールはショートスケールよりも短いサイズだそうですが、弦のテンションが下がらないように調整しているそうです。 トップは赤蝦夷松、サイドバックはマホガニー。 音はマーティンですね(笑) ⑥SUGI CRAFT 杉田健司 (富山県) 仕様がとにかくマニアックで、正直、記憶しきれませんでした(笑) 詳しくはフェスで確認して頂くとして、、、 サイズはだいたいトリプルオーくらいだそうです。 トップがジャーマンスプルースに、サイドバックがホンジュラスローズウッド。 ネックの塗装や、カッタウェイ、装飾などなど、こだわりが入りまくってますね。 音の分離、粒立ち、素晴らしかったです。 とても独創的なギターで、手工ギターマニアから愛されているのも納得です。 そして、いよいよ明日は本編のフェスですね!

ハンドクラフトギターフェス 2015に行ってきました(前夜祭①)

ハンドクラフトギターフェスの前夜祭@恵比寿ドルフィンギターに行ってきました。 突然ですが、これ、素晴らしい企画です!(非公式らしいですが) 日本を代表する6名のルシアーが、新作ギターを1本ずつ紹介し、それをプロのギタリストである 古川忠義氏さんが試奏するんです。 しかも、古川さんがそのギターに合うと感じた楽曲を演奏してくれるんですよ。 いやー、贅沢な企画ですよね。 熱気あふれるフェスの会場も楽しいのですが、ギターの音色を楽しむのであれば、こういった環境の方が望ましいですからね。 お客さんが多かったこともあり、基本はマイクで集音し、PAを通した音だったので、ちょっと残念だなと思っていたのですが、生音コーナーもあったりして、そのギターの持つ個性をとても堪能することができました。 1.KEYSTONE 西 恵介 (東京都)  マーティンよりはひとまわり大きいダブルオーサイズ。 12フレットジョイントで、カッタウェイありのロングスケールでした。 トップはジャーマンスプルース、サイドバックにはマホガニーとインディアンローズウッドの中間と言われているサチャローズウッド。 ガットギターにも通じる、クラシカルな響きがとても印象的でした。 2.TODA GUITARS 戸田真次 (滋賀県) トップはジャーマンスプルース、サイドバックはハカランダ。 見た目の特徴は、サテンフィニッシュと独特なサウンドホールがインパクトありますね。 そして最大の特徴は、ファンフレットという扇状に傾斜のついたフレットの打ち方です。 ファンフレットにすると、1弦側はショートスケールくらい、6弦側はロングスケールと同じくらいの弦の長さになるそうです。 つまり、1弦側の高音弦は音が太くなり、6弦側の張りのある力強い低音がでるというわけですね。 緻密な理論と設計と、それを形にする技術力。 これも手工ギターの楽しみ方の一つですね。 3.KAMEOKA GUITAR 亀岡隆之 (愛媛県) 実は今回、一番興味があったのがこの亀岡ギターでした。 押尾コータローさんが使われていることで知られていますが、あまりショップでみかけることがないんですよね。 このギターのコンセプトは「音でやりたいことは全部やる」とのことで、

中川イサト&ザビエル大村のライブに行ってきました。

遅くなってしまいましたが、先月、イサト師匠のライブに行ってきました。 イサト師匠といえば、日本におけるアコギインストの草分け的存在であり、私の尊敬する岸部 眞明さん、押尾コータローさんの師匠なんですよね。 ライブは二部構成となっていて、一部はザビエル大村さん、二部はイサト師匠が中心となって、ソロあり、デュオあり、インストありの2時間でした。 イサト師匠は、デビュー45周年を記念して作られた「1310モデル」を使われていました。 トップはイタリアンアルパインスプルース、サイドバックはローズウッド。 カッタウェイ付きのトリプルオーサイズです。 1930年代のシェイドと呼ばれるマーティン社独自の塗装を再現していたり、ストリングベンダーが付いていたりと、こだわりのモデルでした。 アコギのストリングベンダーは初めて見ましたが、随所で心地よいチョーキングを決めていました。 右の二本がザビエル大村さんの使用ギター イサト師匠は、日本的な音色を求め、琴や三味線といった伝統的な弦楽器を研究されたそうです。 日本古来の弦楽器はどれもサステインが短いので、その音色を再現するならガットギターを使えば簡単なんだけど、それではつまらないので、なんとかしてスチールギターでそれを再現したいと。 いろいろ試して辿り着いたのが、サドルに両面テープを張るという荒業だったそうです。 本当に不思議なんですが、両面テープによって弦の振動が適度にミュートされることで、日本的な響きがうまれるんです。 この遊び心とチープさがイサト師匠っぽくていいですよね。 「オレンジ」「Water Is Wide」といったインストの名曲も演奏してくれましたが、全体的には歌モノが多かったですね。 特に、ラストナンバーの高田渡さんの「生活者の歌」は心に沁みました。 相棒のザビエル大村さんもなかなかの腕前。 ブルースやラグタイムが得意なようで、スケールの大きなリードプレイがとても印象的でした。 コテコテの関西系のノリで、師匠との掛け合いもなかなかのものでした(笑) ザビエルさんは鷲見ギターを使われていましたね。 画像左がイサト師匠、右がザビエル氏の使用機材 そして、最近、気になりはじめている使用機材です。 <中川イサト>  ・AER Dual Mix(DI / イコライザー)  ・Digitec

マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その④

'50年代はノンスキャロップブレーシング ハカランダ指盤、ブリッジとともに、 戦前の仕様と大きく異なるのが、ブレーシング です。 ダブルオーの場合、フォワードシフトはないのですが、ドレッドノートなどと同じで 1944年までがスキャロップあり、それ以降がノンスキャロップ です。 ここで疑問なのですが、最初から鳴りのいいスキャロップよりも、十分に乾燥し、弾き込まれたノンスキャロップの方が良いとする方もいらっしゃいますが、それは本当でしょうか。 当然のことながら、構造上、振動効率という点では、スキャロップの方が有利です。 より効率的にならすために、スキャロップしている(削っている)わけですから、鳴って当たり前です。 ですので、いくら乾燥しようが、弾き込まれようが、条件が同じであれば、スキャロップの方が鳴ります。 でも、意図的ではないにしろ、適度に振動が抑えられたことで生じる、単音での芯の強さと、ストロークでのまとまり感は、ノンスキャロップでしかだせないものです。 つまり、スキャロップの有無も、優劣ではなく、個性の違いと捉えるべきですね。 個人的には、 マホガニーサイドバックの明るくて爽やかな特性を伸ばしいる ように感じています。 そして、ブリッジプレートにはメイプルが使われています。 プリウォーマーティンの復刻で有名なジム・メリルも、100年以上経った古いメイプルを使用している と聞いたことがあります。 それだけに、ブリッジプレートはこだわりたいポイントですよね。 ちなみにマーティンでは、ギターの強度を高めるため、ブリッジプレートを1968年にメイプルからローズウッドに変更しています。 でもこれが、トップの振動を悪化させる原因になってしまったんですよね。 マーティン社もそのことを公式に認めていて、1988年からメイプルに戻すことになります。 とはいっても、’70年代の音が悪いのかと言われると、必ずしもそういうわけでもないので、これもまた個性の違いと捉えるべきなのでしょう。 ヴィンテージとしての熟成度、ギターの堅牢性、そして仕様の貴重さ 。 「 使えるヴィンテージ 」として‘50年代というのはやはり魅力