ダブルオーの場合、フォワードシフトはないのですが、ドレッドノートなどと同じで1944年までがスキャロップあり、それ以降がノンスキャロップです。
ここで疑問なのですが、最初から鳴りのいいスキャロップよりも、十分に乾燥し、弾き込まれたノンスキャロップの方が良いとする方もいらっしゃいますが、それは本当でしょうか。
当然のことながら、構造上、振動効率という点では、スキャロップの方が有利です。
より効率的にならすために、スキャロップしている(削っている)わけですから、鳴って当たり前です。
ですので、いくら乾燥しようが、弾き込まれようが、条件が同じであれば、スキャロップの方が鳴ります。
でも、意図的ではないにしろ、適度に振動が抑えられたことで生じる、単音での芯の強さと、ストロークでのまとまり感は、ノンスキャロップでしかだせないものです。
つまり、スキャロップの有無も、優劣ではなく、個性の違いと捉えるべきですね。
個人的には、マホガニーサイドバックの明るくて爽やかな特性を伸ばしいるように感じています。
そして、ブリッジプレートにはメイプルが使われています。
プリウォーマーティンの復刻で有名なジム・メリルも、100年以上経った古いメイプルを使用していると聞いたことがあります。
それだけに、ブリッジプレートはこだわりたいポイントですよね。
ちなみにマーティンでは、ギターの強度を高めるため、ブリッジプレートを1968年にメイプルからローズウッドに変更しています。
でもこれが、トップの振動を悪化させる原因になってしまったんですよね。
マーティン社もそのことを公式に認めていて、1988年からメイプルに戻すことになります。
とはいっても、’70年代の音が悪いのかと言われると、必ずしもそういうわけでもないので、これもまた個性の違いと捉えるべきなのでしょう。
ヴィンテージとしての熟成度、ギターの堅牢性、そして仕様の貴重さ。
「使えるヴィンテージ」として‘50年代というのはやはり魅力的だなと再認識させられました。
ダブルオーのようなスモールサイズであれば、ヴィンテージとしてはお手頃な値段で購入できると思いますよ。