50年代のアディロントップのギターでJ-Guitarなどで見かけていたのは、シングルオーサイズが多かったのですが、幸運なことに、私の好きなダブルオーサイズを見つけることができました。
というわけで、マホガニー図鑑の第三弾として、その1953年製の「Martin 00-18」を取り上げたいと思います。
マーティンの「00-18」の歴史は1898年にまで遡ります。
でも、この当時の00-18は、サイドバックにローズウッドが使われていたそうです。
そのため、現在と同じマホガニーがサイドバックに使われるようになった1917年をそのはじまりと考えるべきかもしれません。
歴史のあるクラシックギターとほぼ同じ形状、サイズということもあり、シンプルかつ、洗練されたボディの形状はとても美しく感じられます。
そして特筆すべきは、低音域から高音域までのバランスに優れ、粒立ちのはっきりした明瞭な音色。
さらには、レスポンスの速さ、そしてそのサイズからくる抱えやすさ、弾きやすさなどから、これをマーティンギターの完成形と言う人もいるほどです。
さらには、レスポンスの速さ、そしてそのサイズからくる抱えやすさ、弾きやすさなどから、これをマーティンギターの完成形と言う人もいるほどです。
この「00-18」ですが、最大のポイントは、トップ材にアディロンダックスプルースが使われていることです。
アディロンは、音の太さ、粘り、コシの強さなどに特徴があり、特にマホガニーのサイドバックとの組み合わせでは抜群の相性をみせます。
しかしながら、その軽くて強い特性から、戦時中に飛行機の部材としても使われていたため、乱伐によって材が枯渇してしまい、1946年以降は安定供給が見込めるシトカスプルースに変更されたのです。
そのため、この「00-18」も本来であればシトカスプルースが使われているはずなのですが、50年代以降でもごく稀にアディロンが使用されているものがあり、今回は幸運にもそんな一本に巡り合うことができたというわけです。