なぜかというと、経験則ですが、個体差がやけに大きいように感じているからです。
これがハカランダの音?と思わせる地味な「D-28」があったり、マホガニーとは思えないほどヌケの悪い「D-18」があったり。
こういったギターが、あと10年したら今の'50年代と同じ音がでるかというと、絶対、出ないと思うんです。
ということもあって、気になって調べてみました。
音色に影響を与えそうなものだけをピックアップしてみると、、、
・1964年:ネックの仕込み角度が変更
・1965年:埋め込み式のショートサドルに変更
・1967年:SQネック(スクエアロッド)に変更
・1968年:ブリッジプレートをローズウッドに変更
・1969年:ブリッジプレートの面積拡張
これだけの仕様変更があると、‘60年代と一括りにできないことがわかります。
またリペアの方々にお話を伺うと、マーティンでは'60年代中頃からニカワからタイトボンドへ移行しはじめたそうです。
ニカワに関しては、近年、ヴィンテージサウンドの肝として再評価されていますので、こだわりたいポイントですよね。
音色の傾向としては、'50年代と比べて線は細くなり、アタック感がマイルドになってくるので、ストローク向けの音作りに変わってきます。
それでも'60年代前半であれば、音の芯や太さも残っていますし、外見上のスペックも'50年代と同じです。
相場も'50年代よりも割安ですので、鳴りの良い'60年代を見つけることができればコストパフォーマンスは高いですね。
また、根強い人気を誇るSQネックのグリップ感や音色が好みであれば、ブリッジプレートにメイプルが使われている1967~1968年のものをおすすめしたいです。
抜群のコストパフォーマンス、それが'60年代の魅力だと思います。