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2月, 2016の投稿を表示しています

マホガニー図鑑「Gibson L-00 1935年製」④

「Gibson L-00 1935年製」 そんな魅力的なギブソン・ヴィンテージではありますが、、、 購入される際には、気をつけて欲しいと思うことがあります。 それは、、、 「ギブソン・ヴィンテージは、コンディションやセットアップの悪いものが多い」ということです。 見た目の悪さは、どの状態までなら我慢できるかという程度の問題なのでわかりやすいのですが、音や演奏性だけは実際に弾いてみないとわかりません。 ということで、様々な「L-00」を試奏してきた感想を簡単にまとめてみたいと思います。 <音質面> 全体的に低音が詰り気味のものが多い プレーン弦がやけに鳴るもの、3・4弦が魅力的に鳴るものの2パターンに分かれる タッチに敏感なものとそうでないものの個体差が激しい <演奏性> ネックが元起きしているものが多い ネックの形は本当にバラバラなので、お店の商品説明だけでは絶対に伝わらない 全フレットは均質ではなく、カポをつけると音が詰りだすフレットが必ずある などなど。 また傾向として、適切なセットアップが施された個体では、3・4弦の音色がとても魅力的なものが多いように感じています。 そして、この3・4弦の響き方こそが、1・2弦の美しさが魅力のマーティンのマホガニーとは違った魅力だと考えています。 当時のギブソンのカタログの中では、最も安いギターだったこの「L-00」。 それが80年近い年月を経ることで、これだけの素晴らしいヴィンテージサウンドを奏でるようになったわけです。 でもこの音色は、当時のギブソンの職人たちが狙っていた音色とは違うのかもしれませんね。 それくらい、この枯れたマホガニーの音色は規格外と言える美しさだと思います。 コンディション次第ではありますが、良い状態の個体に巡り合えたのならば、衝動買いしてしまっても、決して損をすることのない魅力的なギターだと思います。 でも、絶対に試奏をしてから購入することをオススメします!

マホガニー図鑑「Gibson L-00 1935年製」③

画像左「Gibson L-00」、画像右「GibsonJ-45」のブリッジプレート この「L-00」が、ギブソン・ヴィンテージの中でも、特に魅力的だなと考えている理由がもうひとつあります。 それはブリッジとブリッジプレートの設計です。 例えば「Gibson J-45」の場合 、ブリッジがブリッジプレートにビスで固定されています(画像右)。 ちなみにビスは4つありますが、小さいビスでブリッジを固定し、大きなビスでアジャスタブルサドルを固定しています。 で、ブリッジをビスで固定するとどうなるかと言いますと、、、 弦を緩めないままでいると、弦の張力にブリッジが勝ってしまい、ブリッジがギターの表板ごと引っ張られて、表板を変形させてしまう可能性があるのです。 一方、画像左の「L-00」やマーティンでは、ブリッジが接着されているだけです。 そのため、強度の関係で、表板が変形する前に、ブリッジが剥がれてくれるので、結果として、ギターを守ることができるわけですね。 ギブソンのヴィンテージで、表板が歪んいるものは、こういった理由が多いそうです。 当時は弦を緩めた方がいいなんて知識はなかったでしょうからね、尚更です。 また、ビスで固定されていない分、鳴りにも良い影響を与えているかもしれません。 また、忘れてはいけないのは「ニカワ接着」です。 ニカワは、天然由来の接着剤で、動物の皮や骨などを水で煮た後、乾燥させたものだそうです。 一般的に使われているタイトボンドは、材の間に固形物として残ってしまい、振動を減衰させてしまうと言われます。 一方、ニカワは、材に浸透して固まっていく性質があるので、接着している材同士が一体化し、あたかもひとつの材であるかのように振動すると言われています。 つまり、ニカワの方が鳴りがいい。 ニカワ接着は、マーティンのオーセンティックシリーズでも高い評価を得ていますし、ネックリセットする際に、タイトボンドだったものをニカワに替えるだけでも、鳴りが大きく変わってくるそうです。 そういえば、世界的なルシアーであるジム・メリルも、以前はタイトボンドでも影響はないと言いきっていましたが、ここ数年はあっさりニカワに乗り換えてますね(笑) わざわざ手間暇のかかるニカワ接着に乗り換えたと

杢目と音にこだわるマホガニー考察

アコースティック・ギター・ブック 42号 マホガニー特有の甘さはありながらも、、、 澄んだ高域、まとまりのあるレンジ感、飛び散らない豊かな倍音を感じさせてくれるギターがある。 これは、先日発売されたアコースティック・ギター・ブック 42号からの引用ですが、マホガニーのギターの魅力をうまく表現できていますよね。 しかし、、、 「杢目と音にこだわるマホガニー考察」というマニアックな特集にどれだけ需要があるのですかね(笑) とは言っても、定期的に同じようなマホガニーの特集は組まれたりしているので、 意外と人気があるのかもしれませんね。 そんな中で今回のポイントは、業界内でも屈指の木材フェチとして知られる、ウォーターロードの増田 明夫さんのインタビューです。 増田さん語録を簡単にまとめると、、、 ワシントン条約で、マホガニーの規制が厳しくなり、輸入が難しくなってしまった 良質なマホガニーは既に枯渇しており、むしろ希少材と言われていたハカランダの方が入手しやすい その代替材として、アフリカン・マホガニーが使われているが、それはマホガニーではない 雑誌の中でも色々なホンジュラス・マホガニーが紹介されているが、どれも硬さも音色も異なる といった感じです。 増田さんが仰られると、説得力がありますね。 そして実は私、以前、増田さんとマホガニーについてお話させて頂く機会があったんですよね。 その時は、増田さんはこう仰られていました。 「私はマホガニーが好きなんですよ。でも、マホガニーのギターの注文はなかなか入らなくて。でも、良い材はたくさんありますよ」 きっと今回掲載されていたもののことだったのかなと思いました。 どれも試してみたい、美しい杢目ですよね。 マホガニー好きの方は、是非、ご一読を!