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画像左「Gibson L-00」、画像右「GibsonJ-45」のブリッジプレート |
この「L-00」が、ギブソン・ヴィンテージの中でも、特に魅力的だなと考えている理由がもうひとつあります。
それはブリッジとブリッジプレートの設計です。
例えば「Gibson J-45」の場合、ブリッジがブリッジプレートにビスで固定されています(画像右)。
ちなみにビスは4つありますが、小さいビスでブリッジを固定し、大きなビスでアジャスタブルサドルを固定しています。
で、ブリッジをビスで固定するとどうなるかと言いますと、、、
弦を緩めないままでいると、弦の張力にブリッジが勝ってしまい、ブリッジがギターの表板ごと引っ張られて、表板を変形させてしまう可能性があるのです。
一方、画像左の「L-00」やマーティンでは、ブリッジが接着されているだけです。
そのため、強度の関係で、表板が変形する前に、ブリッジが剥がれてくれるので、結果として、ギターを守ることができるわけですね。
ギブソンのヴィンテージで、表板が歪んいるものは、こういった理由が多いそうです。
当時は弦を緩めた方がいいなんて知識はなかったでしょうからね、尚更です。
また、ビスで固定されていない分、鳴りにも良い影響を与えているかもしれません。
また、忘れてはいけないのは「ニカワ接着」です。
ニカワは、天然由来の接着剤で、動物の皮や骨などを水で煮た後、乾燥させたものだそうです。
一般的に使われているタイトボンドは、材の間に固形物として残ってしまい、振動を減衰させてしまうと言われます。
一方、ニカワは、材に浸透して固まっていく性質があるので、接着している材同士が一体化し、あたかもひとつの材であるかのように振動すると言われています。
つまり、ニカワの方が鳴りがいい。
ニカワ接着は、マーティンのオーセンティックシリーズでも高い評価を得ていますし、ネックリセットする際に、タイトボンドだったものをニカワに替えるだけでも、鳴りが大きく変わってくるそうです。
そういえば、世界的なルシアーであるジム・メリルも、以前はタイトボンドでも影響はないと言いきっていましたが、ここ数年はあっさりニカワに乗り換えてますね(笑)
わざわざ手間暇のかかるニカワ接着に乗り換えたということは、それだけ、ニカワによる音への影響が大きいということではないでしょうか。
実際、ニカワを使うようになってからのメリルは一段と凄い音になりましたからね。
また、ギブソンのマスタールシアだったレン・ファーガソンも、ニカワがヴィンテージ・サウンドの肝であると言っていますね。
それは、山野楽器のヒストリック・コレクションや、Legendシリーズの音色でも証明されています。
そして、そもそもニカワを取り扱えるルシア、リペアマンは、技術力も高く、経験も豊富でしょうからね。
「ニカワ接着のギターは音が良い」は必然なのかもしれません。