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そろそろギブソンでも語りますか。(その④:理想的なギブソンサウンド、1950年代後半)

  今回は1950年代後半のギブソンのお話になります。 上記は動画は私が理想とするフラットピッキングでのギブソンサウンド、Gillian Welch(ギリアン・ウェルチ)の演奏です。1958年製のJ-45を使用しています。 結論から言うと、世間一般的には、この時期こそが最もギブソンらしい音色だと考えられているのではないでしょうか。 かく言う私自身もそう感じていたので、片っ端から試奏をしていた時期もあったりします。 この時期のギブソンですが、1950年代前半と比較すると、ピックガードが大きなものに変更されていることから、ラージガード期と呼ばれています。 その他の変更点としては、ギター内部を支える力木(ブレーシング)がノンスキャロップに変更されたこと、そしてアジャスタブルサドルの登場があげられます。 ノンスキャロップによる仕様変更は、音色の芯の強さや響きの直進性に影響があるように感じています。 これもいわゆるギブソンらしさを形成する大きな要素かもしれませんね。 ただ、ノンスキャロップなんて他にいくらでもありますから、これがギブソンらしさを決定づける要素ではないと考えられます。 ではギブソンが発明したアジャスタブル・サドルこそがギブソンらしさの肝なのか?と言われると、そうとも言えますし、そうでないとも言えます。 アジャスタブル・サドルの効果として、ピッキング時のジャキジャキしたアタック感を強調してくれるので、ギブソンらしさを強調してはくれるものの、、、 驚くことに、アジャスタブル・サドルではない同じ年式のギブソンを弾いても、これに近いニュアンスを感じられる個体が結構あるんですよね。 つまり、アジャスタブルサドルは音色を変化させる一因ではあるものの、この年代のギブソンらしい音色を決定付ける絶対的な要素とまでは言えないということなんですよね。 ましてや、録音した音を聞いてみると、そこまでの明確な違いを見つけることは難しかったりしますからね。 そしてぶっちゃけ、録音してしまえばどれもギブソンの音がします笑 特に1950年代前半と後半をブラインドテストで確実に聞き分けるなんてかなりの難易度なのではないでしょうか。 もちろん自分で弾けば違いはわかると思いますが、あくまでもブラインドテストで録音したものを聴き比べした場合に判断できるのかという話です。 ここまで散々、ギブソン感...

「オイルを塗るのか、塗らないのか」メンテナンスについて考える④

  今回は、前回の椿油に引き続き、オイル繋がりで、指板のメンテナンスで使われるレモンオイル、オレンジオイルを取り上げてみようと思います。たかがオイルの話なのですが、これもまた以前取り上げたことのある「 弦を緩めるのか、緩めないのか 」と並び、諸説のあるテーマで、取り扱うのが面倒なネタだったりします。 「弦を緩めるのか、緩めないのか」メンテナンスについて考える② そもそも、オイルを塗った方がいいのか、悪いのか、それすらはっきりしていません。効果についても、これといって目に見えるものでもないですし、数値で表すことも難しいので、判断できないのです。 また、個人的な見解ですが、そもそも指板をオイルで綺麗に掃除するような人であれば、きっと楽器そのものも丁寧に取り扱っているはずですからね。そもそも、トラブル自体が少ないのではないかと思うわけです。つまり、その方がオイル塗った方が良いですよと言ったところで、必ずしもオイル単体の効果とは言いきれないのではないかと。 オイルを塗った方が良い派の意見としては、指板の保湿効果をあげる人が多いと感じます。オイル自体も自然蒸発しますが、少なくとも水分よりは蒸発に時間がかかるので、短期的に見れば保湿効果はあるのでしょう。でも、みなさん考えてみてください。 例えば自分の手を例にあげてみます。細胞も生きていて、水分補給もされている人間の手でさえ、冬場には乾燥して肌が荒れてしまいます。ハンドクリームを塗ったところで効果は一時的で、肌は荒れてしまいますよね。 それにも関わらず、細胞が死んでいて、かつ、自分では水分補給もできない状態になっている指板が、オイルを塗るだけで保湿が可能なのでしょうか。しかも、塗ったとしても、年に1~2回とか、多くて弦交換の都度塗るだけです。それだけで、木を乾燥から守ることができるのでしょうか。 もちろん、オイルを塗らないよりは塗った方が短期的には保湿できます。でも、乾燥対策ということであれば、指板が乾燥して問題が発生する前に、その他の部分、例えばトップ材のスプルースなどが先に影響が出てしまうのではないでしょうか。 ですので、保湿を気にするのであれば、指板にオイルを塗るような局所的な対応ではなく、ギター全体の湿度管理を徹底した方が効果的ではないかと思うわけです。 でも、リペアマンやメーカーなどでもオイルを使っているじゃな...

はじめてのネックリセット(サドル&弦高調整)④

ネックリセット後の「Martin 00-18(1953年)」のサドル ネックリセットしてから、半年ほど経過しましたので、現在の状況をご報告したいと思います。 リセット直後の感想は、、、 音の粒立ちやエッジ感が向上 若干甘かったピッチ(音程)が正確になったような・・・ 6本の弦のバランスが明らかによくなった 箱鳴り感は減少、、、 といった感じでした。 それが、半年ほど弾き込むことでどう変わったのか。 箱鳴り感が復活どころか、アップしてきました!!! 音の遠達性が向上したようなしないような・・・ アディロントップらしい、太さ濃さがより前面に!!! といったところでしょうか。 個人的に一番うれしかったのは、箱鳴り感が強まったことで、よりトップの材質の特性が出てきたのかなという点です。 苦労して見つけたレアな50年代のアディロントップの個性がより強調されてきたので、とても満足しています。 音の遠達性は、弾き込んだことで音量が増えてますので、気のせいかもしれませんが、感覚的には遠くまで届いている気がします。 ネックリセットのお値段の高さはなんとも言えませんが、かなりの効果があると感じました。 逆を言うと、ネックリセットされたヴィンテージっていうのは、かなり狙い目だということを学んだとも言えます。 それと、これから先のことを考えても、ニカワでのネックリセットができる技術力の高いリペアマンを見つけておくのも良いかもしれませんね。 ニカワを取り扱えるということは、技術力や経験が十分にあるという証でもありますので、他の部分のリペアも安心してまかせられますからね。 いずれにせよ、セットアップの重要性をあらためて再認識させられました。

はじめてのネックリセット(サドル&弦高調整)③

そういえば、、、 ネックリセットに出していた「Martin 00-18(1953年製)」が帰ってきていました。 既に手元にはあるのですが、リセット中の画像があるので、せっかくなので、ご紹介しておきたいと思います。、 マーティンはボルト等は使っておらず、ダブテイルジョイントと言われる鳩の尻尾のような形の木を組み合わせて、接着して固定しています。 そのため、湿度・温度をあげて、接着剤を柔らかくし、はずしていくんですね。 1950年代のマーティンはニカワ接着が行われていたこともあり、一般的なタイトボンドに比べて、 ギターへのダメージを与えることなく、簡単に外せるそうです(逆にニカワで性格に固定するには高い技術力が必要)。 もちろん、今回のネックリセットでもニカワ接着でお願いしています。 そして、これが鉄製のTバーロッドですね。 近年のオーセンティックシリーズなどで復刻されましたが、これがそのオリジナルですね。 言われなければ気になりませんが、たしかに、T字型しているのがわかります。 そして肝心の音質の変化ですが、、、 音の粒立ちやエッジ感が向上 若干甘かったピッチ(音程)が正確に!!! 6本の弦のバランスが明らかに良くなった 箱鳴り感は減少・・・ 「箱鳴り感は減少」とは書いていますが、これはネックリセット後は音が大人しくなるといわれているやつですかね。 これから弾き込んでいくことで、以前以上の箱鳴りが戻ってくるはずです。 それ以外は、完全に満足のいくセッティングになって戻ってきた感じです。 この辺はまた後日にでも。

夏到来!ギタリストの汗・皮脂対策。

もうすぐ6月。いつのまにか、汗ばむ陽気となってきました。 となってくると、この時期、気になるのはギターの塗装ですよね(笑) 汗をかいてしまってギターを白濁させてしまったり、ネック裏がベトついてしまったりなど。 みなさんもこんな経験をお持ちなのではないでしょうか。 ちょっと気になったので調べてみたのですが、、、 これをギター業界ではなく、塗装業界では「塗膜軟化現象」と呼んでいたりするそうですね。 簡単にいうと、汗や皮脂によって、塗装面が軟化してしまう症状のことです。 いつもギター仲間でばかり話をしていますが、やはり塗装のトラブルは、その筋(塗装業界)の人の方が詳しいだろうということで、ちょっとネットで調べてみました。 そもそも、高級ギターの塗装には、天然素材が使われているものが多いんですよね。 有名なところでは、マーティンなどで使われているラッカーや、クラシックギターで伝統的に使われているセラックですかね。 ただ、天然素材ということもあり、水にとことん弱いんです。 逆に安価なギターでは、塗装が簡単な(機械的にできる)ポリウレタンが使われることが多いです。 こちらは化学素材なので、温度・湿度の変化や、汗・皮脂による汚れにも強いんです。 ただ、一般的には音が落ちるみたいな言い方もされるのですが、、、 塗装技術の向上により、コリングスやテイラーでは、極薄でポリウレタンを塗装することで、音質への影響を抑えているそうです。 本当かよ、という思いもありますが、音はラッカーと変わらないという人もいらっしゃいますからね。 ただ、コリングス自身もヴァーニッシュ塗装を別オプションとしていますし、前回ご紹介したトラディショナルシリーズでもラッカー塗装を復活させています。 個人的には、このことが全てを表していると思うのですが。。。 ちょっと話がそれてしまいましたが、夏場の汗、皮脂による汚れ。 これを避けるにはどうすればよいのか。 もう、とにかく乾拭きする、これがベストだと思います。 ポリッシュやワックスも効果はあると思いますが、使い方を間違えると取り返しのつかないことになってしまいますからね。 ですので、弾いたら拭く、とにかく拭く、拭いてください。 とはいっても、そもそも、汗や皮...

アコースティックギターのスタンドを考える。

ギターを弾く頻度や家庭の環境にもよるとは思いますが、、、 私の場合、ギターは常にハードケースにしまって保管しています。 面倒だと言われる方も多いとは思いますが、、、 アコギは決して安いものではありませんし、湿度の変化が大きい日本において、良いコンディションを維持するためには必要なことだと考えています。 ですので、私の場合、スタンドに置きっ放しにすることはないのですが、それでも、ちょっとギターを立て掛けたい時があったりします。 そんな時に活用しているのが、この「クーパースタンド」です。 ナッシュビルで活躍しているギタリスト、ダニエル・クーパー氏が考案したものだそうですが、これがなかなかの優れものなのです。 まず、折りたたんで、ギターケースに入れて持ち運べるコンパクトさが良いですね。 スタンドは自宅で使うイメージがありますが、ちょっと出先で演奏する時とかに、自分用のスタンドがあると便利だったりします。 それに、自宅でも、使わない時はしまっておけるので、スペース的にもとても助かります。 また、ラッカー塗装にも対応しているのが嬉しいですね。 アコギの塗装負けを気にしなくてすみます。 また、ハーキュレスなど、安価で良いスタンドもありますが、2~3年で樹脂部分が劣化してしまい、ギターを汚してしまう可能性があることを考えると、これくらいのものをおすすめしたいです。 単価は高いですが、使える期間を考えれば、高い買い物ではないと思います。

はじめてのネックリセット(サドル&弦高調整)②

サドルは、弦の振動をギター本体に伝える非常に重要な部分です。 ただ、、、 ネットを見ていると、象牙、牛骨、TUSQなど、素材にこだわっている人は多いのですが、サドルの高さにこだわりを持っている人は少ないなと感じているんですよね。 もちろん、弾きやすさを重視して、弦高をどれくらい下げたかという記事は見かけますが、『音色』という観点で語られている記事はほとんど見かけません。 フィンガースタイルでは低い方が弾きやすいというのも理解できますが、サドルを下げ過ぎてしまい、鳴らなくなってしまったギターを見ると、ちょっと悲しい気持ちになるんですよね。 特に、ヴィンテージが好きな私にとっては、やはりあの『音』が魅力なわけですからね。 演奏性も重要ですが、それ以上に、そのギターが持つポテンシャルを最大限に引き出してあげたいと思うわけです。 十分なサドルの高さがあるギターを弾くと、力強さがあり、気持よい箱鳴りを感じることができます。 これは感覚や経験則で書いていますが、物理学的にも証明できるそうですね。 簡単に言ってしまうと、弦の振動効率が向上するそうです。 振動効率が上がることで、弦の振動をボディにしっかりと伝えることができるようになるわけですね。 つまり、、、 サドルを上げると箱鳴りが強まり、下げると箱鳴りが弱まるので、相対的に弦鳴りが出てきます。 箱鳴りが強まれば、ボディによって音が増幅され、ダイナミックレンジがひろがってきます。 一方、弦鳴りが強まると、ダイナミックレンジは減り、コンプレッサーをかけたように、低音から高音、1弦から6弦までが全体的に均一なバランスになっていきます。 アンプを通す場合は、むしろその方が音色をコントロールしやすいということもあるかもしれませんね。 でも、私の場合は「生音」にこだわりたいと考えていますからね。 しっかりとサドルの高さを出して、箱鳴りを引き出せるセッティングになるよう依頼したいと思います。 それでは、リペアに出してきます!!!

はじめてのネックリセット(サドル&弦高調整)①

限界まで削られたサドル 昨年は念願だった、ヴィンテージのアディロントップの「Martin 00-18」を手に入れることができたのですが、ひとつ問題がありました。 それは、サドルの高さです。 画像を見て頂けるとわかるのですが、もうギリギリの低さまで、サドルが削られています。 一般的には、経年変化によってネックが起きてくると、サドルを削って弦高を調整していきます。 でも、これ以上削れないというところまで、サドルを下げてしまった場合、そこから さらにネックが起きてしまうと、ネックリセットが必要になります。 私の00-18の場合、弦高には問題はなかったのですが、これ以上、調整するにはネックリセットするしかない状態となっていました。 ネックリセットは、リペアマンの技術も重要ですし、お値段もかなりかかるので、できれば避けたいリペアです(自腹でやる場合は)。 ということもあって、いつもであれば購入は見送るコンディションだったんですよね。 でも、貴重なアディロントップということと、サドルが低いのにも関わらず、やけに鳴りがよかったことから、ポテンシャルの高さを感じたんですよね。 というわけで、思い切って、ネックリセットすることを前提で購入してみたのです。 そして、ネックリセットの際には、サドルも作り直すことになりますので、トータルとしてどのようにセッティングすべきかについても考えてみたいなと思います。 せっかく、プロのリペアマンに調整をお願いしますからね。 自分にあったセッティングとは何なのか、少し考えてみたいと思います。

「乾燥対策としてのオイル塗布」アコースティックギターのメンテナンスについて考える③

今回は、もうひとつメンテナンスで話題になりやすいオイル塗布について。 よく言われるのは、、、 ブリッジや指板は塗装されていないから、オイルを塗って、乾燥を避けるべきという考え方です。 なんとなく理解はできるものの、オイルの効果を実感するのは難しいですよね。 ちなみに、この本を監修している小倉よしおさんは、オイル塗る派ですね。 また、楽器屋さんもオイル塗る派が多いように感じています。 この両者に共通しているのは、奏者や顧客に綺麗な状態で楽器を渡す必要があるということです。 つまり、楽器を綺麗にできて、、、 なおかつ、木材の割れ防止に効果がある可能性があるのであれば、塗る方が合理的なわけです。 では、我々一般人はどうすべきなのか。 簡単なのは、面倒だし、オイル代もかかるので、オイルなんて不用と割り切ってしまうことです。 実際のところ、塗らなくても問題ない人もいるし、塗っても割れちゃう人もいますからね。 ただ、指板を綺麗にしておきたいと、少しでも思うのであれば、手垢で汚れた夏の終わりや、冬の乾燥期にオイルで掃除をするのが良いと思います。 ギターは綺麗な方が良いですし、都市伝説かもしれない割れ防止に効果があるかもしれませんからね。 ただ、極論をいうと、、、 乾燥対策としてオイルを塗るくらいなら、何よりもまず、部屋の湿度をコントロールすべきです。 オイルを塗ったところで、室内が乾燥していれば割れやすくなりますし、それ以前に、ネックやトップなど、他の箇所にも影響が出るはずです。 そのため、湿度が難しいのであれば、塗装されていない部分にはオイルを塗り、サウンドホールには黒澤楽器のGuitar Breathのような調湿グッズを付ける。 これが、望ましい対応方法になります。 つまり、保管する環境によって、望ましい対応方法が異なるわけです。 このオイルの記事は、良い例だと思って取り上げてみたのですが、大切なのは、人によって答えはひとつではないということなのです。 自分の環境にあったメンテナンス方法を見つけるためにも、この本をベースにすることが有意義なのではないかと。 そう言った意味で、とても使える本...

「弦を緩めるか、緩めないか」アコースティックギターのメンテナンスについて考える②

前回に引き続き、メンテナンスについて考えます。 その中でも、よく議論になる「弦を緩めるか、緩めないか」を取り上げてみたいなと。 昨年お邪魔した鷲見工房でのこと。 色々お話をさせていただいたのですが、、、 なんと、日本を代表するルシアの鷲見さんは、弦を緩めない派だということを知ったのです。 「むしろ緩めないで下さい!」とまで言われたので、正直、驚いてしまいました。 でも、色々話しているうちに、その理由がわかってきました。 というのも、あくまでも「鷲見ギターの場合は」ということなんですよね。 ではなぜ、鷲見ギターは、弦を緩めてはいけないのか。 それを知るためには、鷲見ギターの設計思想を理解する必要があります。 鷲見ギターの設計思想は以下の通り。 木(ネック)は動くものである 弦を緩めなければネックは純反り方向に動く 純反りしたら、トラストロッドを回して、戻してやればいい 弦の張力でブリッジ付近が膨らむことを避けるため、力木で補強する 実にシンプルで合理的な考え方ですよね。 つまり、鷲見さんは緩めない派ではありますが、、、 ネックは曲がるし、弦を張りっぱなしの状態では、ブリッジ付近が膨らんでしまうことを前提にして、設計しているわけです。 てば、マーティンの場合はどうなのか。 ネックのロッド材の歴史から紐解いてみましょう。 エボニーロッド(~1934) スティールTバーロッド(1934-1967) スクエアロッド(1967-1987) アジャスタブルロッド(1987) つまり、マーティンの歴史から学べることとしては、 木製のエボニーロッドよりも、頑丈な鉄製のTバーロッドが求められた 同じ鉄製でも、さらに強固なスクエアロッド(SQ)が求められた それでもネックは反るので、調整可能なアジャスタブルロッド(AJ)を採用した と言った、ネックトラブルに対応してきた歴史がわかるわけです。 AJロッドの採用には、ネック材として使われているマホガニーの材質が低下してしまったことも一因とされていますね。 そして、AJロッドにして、調整できるようになったからといって、弦を緩めなくていいの...

「点検方法&セッティング」アコースティックギターのメンテナンスについて考える①

ありそうでなかったアコギのメンテナンス本 アコギのメンテナンス方法って本当に十人十色、千差万別です。 その中でも「弦を緩めるか、緩めないか」は、よく議論になるテーマのひとつですよね。 ギターの設計や作りによって違いがあるはずなのに、ずーっと平行線の議論が続いています。 今回はそんな混迷極めるアコースティックギターのメンテナンスに、一定の指針となるであろう本をご紹介したいと思います。 それは「アコースティック・ギター・メインテナンス・ガイド プロの現場の調整術」です。 結論から言うと「良い本」だと思います。 ただ、目新しい情報を期待すると、ちょっと裏切られるかもしれません。 書かれていることは極めてオーソドックスで、常識的なことばかりですからね。 しかも、ネットにこれだけ情報が溢れている時代です。 探そうと思えば、同じ情報はいくらでも手に入れることができます。 でも、メンテナンスについて、これだけ体系だってまとまっているものってなかなかないんですよね。 しかも、日本語版は初めてではないでしょうか。 というわけで、ありそうでなかったメンテ本を紹介しておきたいなと。 この本ですが、3つのテーマに分かれています。 点検方法 セッティング(弦交換含む) メンテナンス(保管と運搬) 点検方法については、かなり詳しく載っています。 どれくらい詳しいかというと、無精者の私では、絶対にやらないレベルの細かさです(笑) しかも、いくら点検したところで、異常に気付いた時には「時既に遅し」ですからね。 だったら、点検よりも、日々のメンテナンスに力を入れた方がいいと、個人的には考えます。 ということもあって、どちらかというと、楽器を購入する時に使える知識かなと思いました。 ヴィンテージや中古を買う時はもちろんのこと。 個人的には、むしろ、新品のギターでも確認することをお勧めします。 新しいギターの方が木が、木が動きやすかったりしますからね。 続いて、セッティングです。 この章を読むにあたって、注意した方が良いと思うことがあります。 それは、この本を監修された小倉よし...

真夏の湿度対策について考える③

白濁してしまったサイド部分 夏場の高温・多湿状態では、保管時だけではなく、演奏時も気をつける必要があります。 それは「汗」です。 特に、塗装の劣化したヴィンテージでは、注意が必要です。 この画像は、私がやってしまった時の画像ですが、演奏時に汗ばんだ肌と直接触れてしまったため、白濁してしまったんです。 その後、リペアショップの方にこの部分を薄く研磨してもらって、今では綺麗な状態に戻っていますが、注意しなくてはいけませんね。 この場合の対策として、ギターの下に、タオルやクロスを敷くべきでしたね。 さらには、右手もギターと接する部分があるので、注意が必要です。 ギターの構え方、姿勢についてもいろいろ試しているところなのですが、よくクラシックギタリストが使っている足台や支持具についても、あわせて研究していきたいなと考えています。 ギターと肌の接触を減らすことができますからね。 それと、演奏後には、クロスでの乾拭きをするようにしましょう。 せっかくケースにしまっても、ギターが汚れたままでは、カビなどの原因になってしまうかもしれませんからね。 それに演奏後にすぐに乾拭きすると、以外と、汚れがこびりつかないものなんです。 私も、毎回、乾拭きするようになってからは、ポリッシュを使うことがなくなりました。 ポリッシュは、汚れを落とす力は強いですが、塗装に影響を与える可能性があるので、極力、使用は避けたいですからね。

真夏の湿度対策について考える②

オススメの調湿グッズ「炭八」 前回は、アコギの保管場所の重要性について考えました。 でも、風通しが良くて、湿気もたまらず、エアコンの直風が当たらない場所、、、 正直、日本の住宅事情では無理ですよね。 そこで、私がどうしているかと言いますと、、、 もう諦めて「必ずハードケースにしまう」ことにしています。 きっと、なんだそれだけかよとか、面倒だと言われる方が多いですよね。 でも、絶対にしまうことをオススメします。 せめて、湿度の高い時期、乾燥した時期、冷暖房を使っている時期はしまって下さい。 というのも、ケースにしまうことで、不慮の事故を防止できるだけではなく、湿度をコントロールしやすくなるという利点があるからなんです。 どういうことかと言うと、家や部屋全体の湿度をコントロールするのは難しいですが、ハードケースの中であれば、コントロールすべき範囲を小さくできますからね。 そして、コントロールすべき範囲を限定した上で、湿度調整グッズを活用するんです。 湿度調整グッズというと、アコギ用のものもありますが、私はホームセンターなどで売られている「木炭」を使うようにしています。 なぜならば、アコギ用とは言っても、それほど工夫があるわけでもなく、割高に感じられるからです。 また、木炭は自然の素材ですので、化学物質よりもギターの呼吸に近く、過度に乾燥させてしまう心配もないですからね。 ただ、木炭といっても、いろいろな種類があるんです。 例えば「白炭(備長炭)」は、着火しやすく使いやすいので、バーベキューや焼肉などで使われます。 「黒炭」は、火力が強く、火持ちが良いので、日本刀の火入れなどで使われたりします。 これらの原料は広葉樹なのですが、実は、除湿にはあまり向いていないそうです。 というのも、除湿では気孔の数がポイントになるのですが、広葉樹は気孔があまり多くないのです。 そこで登場するのが、私が愛用している「炭八」です。 あまり聞きなれない名前ですが、「炭八」は調湿専用に開発された木炭で、気孔の多い針葉樹を原料としています。 一般的には、建物の寿命を延ばすために、木造住宅の床下に敷き詰めたりするそうですね。 で、ギターの場合です...

真夏の湿度対策について考える①

アコギ管理の必需品「湿度計」 木は伐採され、ギターとして加工されても、まだ生きています。 そのため、湿気を吸えば膨張するし、乾燥すれば収縮します。 自然の摂理ですね。 ですので、高温多湿になるこれからの季節は注意が必要になってきます。 湿度計を使って、毎日の湿度変化をチェックしないといけませんね。 とはいうものの、実は冬場ほどの怖さはないんですよね。 冬場だと、材の割れなど、致命的な損傷がありえます。 でも、夏場では、弦やペグのサビ、ブレーシングやブリッジのはがれなど、リペア可能なものが多いんですよね。 それだけに、過剰に神経質になったり、根拠のない対策にお金をかけることは避けたいところです。 で、私の湿度対策ですが、考え方は至ってシンプルです。 ギターは弾いている時間と、保管している時間では、圧倒的に保管している時間の方が長いですよね。 ですので、極論を言えば、保管場所さえ間違えなければ、大きなトラブルには繋がらないと考えています。 具体的には、カビや腐食の原因となりやすい湿気の多い場所や、風通しの悪い場所は避けるべきですね。 逆に風通しが良くても、直射日光の当たる場所や、温度変化の大きい窓の近くも避けた方がいいです。 などと、これらは常識的なことだと思いますが、見落としがちなのは「エアコンからの直風」ではないでしょうか。 人間を例にして考えるとわかりやすいですが、直風が合ったると体が冷え、乾燥し、体調不良や肌荒れを引き起こします。 これが木であれば、当然のことながら、変化・変形しやすくなりますよね。 でも、日本の住宅事情を感あげると、風通しが良くて、湿気もたまらず、エアコンの直風が当たらない場所というのはなかなか難しいですよね。 というところで、私が取り組んでいる方法について、ご紹介していきたいと思います。

アコースティックギターの乾燥対策「加湿器」について学ぶ。

マツコの知らない「加湿器」の世界を見る。 ここ最近「 加湿器 」ってブームみたいですね。 なんと、今シーズンだけでも 約200種類 の新製品が作られているそうです。 インフルエンザの予防や、肌の乾燥対策として使われています。 でも、私たちが気になるのは、、、 乾燥によるアコギのトップの割れや、ネックの反り、フレットバリ ですよね。 湿度の目安としては、、、 インフルエンザにかかりにくいのは湿度50%以上 、 ギターに良いとされる湿度も50%程度 とされています。 つまり、加湿器を正しく使えば、ギターにも、健康にも良いわけですね。 これを使わない手はありません! 大きく分けると、超音波式、気化式、ハイブリッド式、スチーム式の4タイプがあるそうです。 傾向としては、加湿力が強いほど、電気代もかかるようですね。 無精者の私には、お手入れ頻度も重要だったりします。 番組で紹介された加湿器はこちら ↓↓↓ 「 マツコの知らない世界 」 でも、ギターは急激な湿度の変化を嫌いますからね。 ゆっくり加湿ができ、常時稼働していても電気料金の安い、超音波式か気化式が家庭でのアコギの湿度管理に向いているなと思いました。 そして、勉強になったのは、設置場所とお手入れの必要性です。 エアコンの風が直接当たる場所は、あまりよろしくないようで。 というのも、加湿器が誤検知して過剰に加湿しようとしてしまうのだそうです。 おすすめはエアコンの真下だそうです。 誤検知を避け、部屋全体に湿度を循環させることができるとのことです。 また、お手入れをしなくては、カビや菌を室内にまき散らすことになってしまうそうですね。 冬場の乾燥は、夏場の高温多湿よりもギターに致命的なダメージを与えるので、注意しないといけません。 ちなみに、洗濯したバスタオルなどを室内干しするだけでも、気化式の加湿器と同じ効果が期待できます。 何も対策をされていない方は、ここからはじめてみてはいかがでしょうか。