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11月, 2014の投稿を表示しています

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その③

「YAMAHA FG-150(1969年製)」 赤ラベルの音色は十分に魅力的だとは思います。 ただ「FG-180」の場合、合板の特性なのでしょうか。 低音を上手くコントロールできず、締まりのないモコモコと膨らんだ音になってしまうんです。 低音の膨らみを解消するには、ボディサイズを小さくすればいいというのが私の持論です。 となると「FG-180」よりも一回り小さい「FG-150」を試してみたくなりますよね。 というわけで入手してみました。 いくつかパーツは取り替えられていますが、十分にセッティングされた1969年製の「FG-150」です。 それでは、実際に弾いてみましょう。 予想通り、低音の量感が減っているので、中高音域が前面に出てきて、楽器としてのバランスがとても良いです。 それに、音の深みだったり、ヌケの良さといった、熟成したマホガニーらしさも感じられます。 ただ、 ボディサイズが小さいため、箱鳴りよりも弦鳴りが強く出るので、ヴィンテージ感は「FG-180」の方が上 ですね。 この中間のサイズが欲しかったな。 1970年代に入ると、たくさんの国産アコギが作られるようになりましたが、いろいろ調べてみると、マホガニーが使われたギターは廉価ものばかりなんですよね。 その大半がローズウッドの「D-28」や「D-35」をベースにしたものばかりですからね。 今になってみると、なぜヤマハが、国産第一号のアコギにわざわざマホガニーを選んだのか不思議に思います。 赤ラベルは、国産初のアコースティックギターとか、フォークギターの元祖とか、ジャパン・ヴィンテージとして評価されています。 でも、 個人的には、国産マホガニーの名器として評価したい と考えています。 過大評価されている部分もあるとは思いますが、コストパフォーマンスは抜群だと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その① マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その② マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その③

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その②

赤ラベルとしてはなかなかのセッティング この「FG-180」を弾いて驚きました。 というのも、 同じ年代の下手なマーティンよりも鳴ってしまった からです。 もちろん、そんな訳がないと思われる方も多いとは思います。 でも、良い音というのは個人の主観が入りますが、単純に鳴りという観点であれば客観的に判断することができますからね。 間違いありません。 そして 合板であるのにも関わらず、サウンドにはしっかりとマホガニーの質感が残っている んです。 しかもそれは、 紛れもないヴィンテージ・マホガニーの質感 です。 今まで弾いてきた赤ラベルとは何が違うのかなと考えてみました。 それは、 セッティングの違い だということに気が付きました。 この個体では、 十分なサドルの高さを残しつつも、弦高を下げることで、鳴りの良さと、高い演奏性を両立することができているのです。 具体的には、12フレット上で1弦側が2.1ミリ、6弦側が2.6ミリという素晴らしいセッティングですね。 これならば、現代的なフィンガースタイルでも十分に使うことができます。 もちろん、この赤ラベルはジャパン・ヴィンテージとして過大評価されている部分はあるとは思いますよ。 それでも、音にも深みやキレのようなものは間違いなく感じられますし、 合板でもヴィンテージ・サウンドに進化することを証明してくれています 。 個人的には、レスポンスが良く、クセのない素直な音がでるので、打田十紀夫さんが演奏されるようなラグタイムやカントリーブルースに合うと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その① マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その② マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その③

マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」 その①

「YAMAHA FG-180(1968年製)」 第二回にして、早くも番外編的なギターを取り上げてみたいと思います。 マホガニーの合板が使われた、国産初のアコースティックギター「YAMAHA FGシリーズ」こと、 通称「赤ラベル」です 。 ジャパンビンテージ と言われ、人気の高い赤ラベル(FG-180、FG-150)ですが、私はとても懐疑的でした。 現在もテリーズテリーで活躍されている方々が作られた単板のギターと言われればわからなくもないです。 でも、 サイドバックだけではなく、トップにまで合板が使われたギターから、ビンテージサウンドが出るわけがないと思っていたんです 。 そもそもこの 赤ラベルには、構造的な欠陥がある と考えていました。 それは ネックの仕込み角度に起因する弦高の高さ です。 当時は、コードストローク中心のプレイスタイルだったこともあり、弦高が高くても問題はないと考えられていたのかもしれません。 それでも、現代の水準では高すぎると思うし、それが経年変化することでネックが起き、さらに弦高が上がってしまった個体が多いんですよね。 その対応策として、サドルを削って弦高を下げるわけです。 でも、それによって弦のテンションが下がり、音質に悪い影響が出てしまうんです。 よく見かける赤ラベルは、このような状態のものばかりで、どれを弾いてもイマイチに感じられて、赤ラベルのビンテージサウンドなんてありえないと考えていたんです。 このFG-180と出会うまでは。 <関連記事> マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その① マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その② マホガニー図鑑「YAMAHA 赤ラベル」その③

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④

Martin OOO-18GE(2006年製) ペグはゴトーのオープン、ナットとサドルは牛骨。 ナット幅は1930年代のマーティンの標準仕様であるワイドネックの44.5mmです。 トリプルオーサイズですので、ネックはショートスケール。 ネックシェイプは30年代仕様のModified Vですね。 オーセンティックも同じネックシェイプですが、ゴールデンエラは、若干、細身に作られているようで、とても握りやすく感じます。 ちなみに、オーセンティックとの違いですが、ロッドはTバーロッドではなく、アジャスタブルロッドが使われています。 高い品質と素晴らしい音色。 そして抜群のコストパフォーマンス! ということで人気のモデルではありますが、私的に注目して欲しいのは、、、 現代的な演奏にも適合できる弾きやすいネックシェイプ 細かい調整が可能なアジャスタブルロッドの採用 といった、実用性の高さなんですよね。 そして、アディロン・マホの組み合わせをもっともコストパフォーマンス高く、楽しめるモデルという位置づけも魅力だと思います。 まさに、プリウォーマーティンと現代技術が融合した、素晴らしいギターです。 ちなみにこの「000-18GE」ですが、、、 残念なことに、2013年に生産が完了してしまったそうです。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える ネック材としてのマホガニーを考える 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ) 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③

Martin OOO-18GE(2006年製) サイドバックですが、マーティン社のカタログでは「Genuine Mahogany」と記載されています。 直訳すると本物のマホガニーという意味ですね。 産地を明記しないのは、年々、規制が厳しくなる木材の輸出時の対策として、あえて産地をわかりにくくしているという説がありますね。 私がマホガニーを選ぶときは、木の密度を確認するのですが、材が枯渇している昨今において、ゴールデンエラシリーズは、なかなか良い材が使われていると思います。 ネックは「Select Hardwood」と記載されています。 サイドバックとは異なり、音への直接的な影響が少ないこともあってか、マーティン社は早々にマホガニーからその代替材に変更しています。 たしか、2005年頃のことだったと思います。 ただ、「Select Hardwood」と記載されていても、マホガニーネックのものは存在します。 ですので、こだわるのであれば、できるだけ初期ものを探された方が、マホガニーネックの確率が高いと考えています。 ただ、マホガニーであればよいというわけでもなく、品質の良い、密度の高い材の方が望ましいので、何にこだわるのか、ということになりますね。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える ネック材としてのマホガニーを考える 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ) 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較