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10月, 2014の投稿を表示しています

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」②

Martin OOO-18GE(2006年製) トップは、アディロンダックスプルースです。 この個体は、近年モノのアディロンにしては比較的珍しい、目の詰ったものが使われています。 一般的には、目の詰まったものは音が鳴り始めるのに時間がかかると言われています。 でも個人的には、基本的にアディロントップは激鳴りなので、多少、鳴りが悪くても気にしなくてもいいと考えています。 それよりも、音の太さや艶、そしてバランスなどなど、、、 その個体が持つ音色の個体差に着目して選んだ方がいいと思います。 ブレーシングは、ゴールデンエラスタイルのスキャロップドXブレーシングです。 マーティン社では、ギターの強度の問題や、演奏スタイルの変化から、トップの鳴りよりも、強度を重視する必要性に迫られ、1944年からノンスキャロップに移行してしまったんですよね。 それだけに、鳴りを優先したこのブレーシングの再現は嬉しいものがあります。 エボニーのブリッジや、牛骨のロングサドルも、戦前仕様を踏襲していて、本当に美しいギターだと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える ネック材としてのマホガニーを考える 近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ) 「Style 18」ゴールデンエラシリーズの音質比較

マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」①

Martin OOO-18GE(2006年製) 定番モノから、レアもの、変わりものなどなど。 私のお気に入りのマホガニーを紹介していきたいと思います。 第一弾ということもありますので、無難に定番の「Martin 000-18GE」にしたいと思います。 このゴールデンエラシリーズですが、マーティンの黄金期(ゴールデンエラ)と呼ばれる1930年代の再現を目指したモデルです。 オーセンティックシリーズが出るまでは、マーティンのマホガニーのラインナップでは最上位に位置付けられていました。 それだけに品質、音ともに素晴らしいものがあり、オーセンティックが出た今でも、コストパフォーマンスの高いギターとして、根強い人気を誇ります。 一応、1937年製の000-18をモデルにしているようですが、後に発売されたオーセンティックシリーズなどと比較すると、復刻の度合いは若干弱いです。 あえて言うなら、重箱の隅をつつくような復刻の再現性にこだわるよりも、、、 現代的なセッティングのしやすさであったり、生産性やコストパフォーマンスを高めるための標準化・規格化を狙ったモデルという位置づけですかね。 そういった中で、最大のポイントといえるは、トップにアディロンダックスプルースが使われていることでしょう。 マーティンでは戦前から、アディロンをトップ材として使用していたのですが、材の枯渇に伴い、1946年以降はシトカスプルースが使われるようになりました。 それが、1999年に発売されたゴールデンエラシリーズ「D-18GE」から、通常のラインナップとしてアディロントップを入手できるようになったのです。 それまでは、ヴィンテージを購入することでしか、アディロントップのアコギを手に入れることができなかったわけですからね。 発売当初は売り切れ続出で、試奏することすらできない状況だったそうです。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」① マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」② マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」③ マホガニー図鑑「Martin 000-18GE」④ 「赤い黄金」マホガニー マホガニーに合うトップ材を考える サイドバック材としてのマホガニーを考える

打田十紀夫&ミッシェル・オーモンのライブに行ってきました。

モリダイラ楽器のM’s Spaceにて行われた打田十紀夫氏とミッシェル・オーモン氏のライブに行ってきました。ミッシェル氏はフランス人のギタリストで、2010年以来の2回目の来日だそうです。まずは打田氏が演奏し、その後、ミッシェル氏、二人のセッションという構成でした。 開演前のステージの様子 ヨーロッパ系のソロギターを見るのは初めてだったので、どんな演奏をするのか、とても興味深かったのですが、思っていたよりもオーソドックスなスタイルでした。ヨーロッパ系ということでイメージしていたクラシカルな感じでもなく、ちょっと気取ってボサノバを演奏するわけでもなく、色々な音楽の要素が混ざり合っているような感じでした。そういえば、パリってアメリカと並ぶ「人種のるつぼ」と言われているんですよね。そういった影響もあるのかもしれません。 なかなかつかみどころがない演奏に感じられたのですが、ふと、これって澤野工房さんでリリースされているようなヨーロピアンジャズに通じるものがあるのではないかと思いました。黒人的なフィーリングは皆無で、適度なポップさと、とても洗練された楽曲と、ちょっとお洒落な演奏が魅力なんですよね。このちょっとお洒落な感覚というのも、フランス人らしさなのかなと。 左:打田氏のシグネーチャーモデル「SC-123U」、右:ミッシェル氏のLAG ミッシェル氏が使用していたのはLAGというメーカーのギターです。日本ではあまり見かけませんが、1978年に設立されたフランスでは大手の楽器メーカーだそうです。ローズウッド系で、太くて芯のはっきりした音色で、個人的には、ソロギターよりも、リードに合うギターだと感じました。二人のセッションでは、打田氏をバックに、素晴らしいリードプレイを聞かせてくれました。

ギタリストの爪の乾燥対策 その③(ニベアの使用状況)

ニベアを塗り始めて一カ月の爪の状態 「 その① 」「 その② 」の続編です。 かれこれ一カ月くらいですが、 朝昼晩と日に三度、ニベアを塗っていますので、 現在の爪の状況を報告したいと思います。 ちなみに、ニベアの効果を確認するため、 しばらくの間、爪の補強液は使わないことにしています。 最初は自分でも冗談半分だったのですが、使ってみてびっくり。 三日目くらいから効果を感じました 。 もちろん、今まで乾燥対策をしたことがなかったので、 何を使っても変化はあったのかもしれませんが、 爪に艶が出て、柔軟性・弾力性がでてきた ように感じています。 さらに使い続けると、 なかなか治らなかった 二枚詰も3週間くらいで完治 しましたし、 最近は 爪のシワも目立たなくなった ような気がしています。 本当の効果がわかるのは、爪が生え変わる3か月後なのかもしれませんが、 今のところ良い感じですね。

ショートスケールのアコギについて考える その③

ロングスケールのD-18GE(2004年)とショートスケールのOOO-18GE(2006年) 今回はショートスケールのデメリットについて、考えてみたいと思います。 ※過去記事はこちら ↓↓↓ 「 ショートスケールのアコギについて考える その① 」 「 ショートスケールのアコギについて考える その② 」 私が尊敬する中川イサト師匠、岸部眞明氏などなど。 ギターインストの世界では、変則チューニングを使われる方が多いですよね。 ギターは、チューニングを変えることで、演奏しやすくしたり、独創的な響きを作り出すことができる楽器ですので、その特性を活用しているわけですね。 でも、私にはそれが厳しかったりします。 なぜならば、これがショートスケールのデメリットだからです。 変則チューニングは、スタンダードチューニングから音階を落とした設定が基本になります。 というのも、ギターはスタンダードチューニングを前提に設計されているので、音階を上げるとテンションがきつくなって弦が切れたり、ギターに負荷がかかってしまうからです。 そのため、弦を緩めた時に、演奏できるだけのテンションを保てるのかが、変則チューニングでは重要になります。 変則チューニングにした場合、弦のテンションが強いロングスケールであれば問題はありませんが、ショートスケールだとテンションを保てない場合があります。 テンションを保てないと、弦の鳴りが弱くなりますし、チューニングも不安定になります。 定番のダドガド(DADGAD)やオープンG(DGDGBD)くらいであれば影響はないと思いますが、それ以上、チューニングを落とす場合は、厳しい場合もあります。 たった13ミリのスケールの違いで、響きや演奏性まで変わってくるからアコギは面白いのですが、、逆にそれだけシビアな世界ということでもあります。 個人的には、ショートスケールはメリットが多いと思っていますが、当然のことながらデメリットもあるわけで、アコギを選ぶ際には、その点に注意して頂きたいと思います。

ショートスケールのアコギについて考える その②

比較のため、友人から借りた「Martin OM-18GE(2003年)」です。 前回に引き続き、ショートスケールのアコギについて考えたいと思います。 ↓↓↓ 「 ショートスケールのアコギについて考える その① 」 今回は検証のために、下記の3本を弾き比べました。 ドレッドノート「D-18GE(2004年)」 OM「OM-18GE(2003年)」 トリプルオー「000-18GE(2006年)」 比較にあたって、可能な限り条件を揃えるために、製造された年代が近くて、トップにアディロンダックスプルース、サイドバックにマホガニーが使われたマーティンのゴールデンエラシリーズで揃えてみました。 ちなみに、ドレッドノートとOMはロングスケール、トリプルオーはショートスケールです。また、ボディサイズはドレッドが大きく、OMとトリプルオーは同じ大きさです。 1.ロングスケールのドレッドノートとOMの比較 ドレッドには力強さがあり、低音がとても豊かで、ストロークにまとまりがあります。 OMは、ドレッドよりも低音の量感が減って、スッキリとした印象を受けます。 それによって、音の粒立ちが明確になり、キレが出て、レスポンスも向上していますね。 この違いは、同じロングスケールでの比較なので、ボディサイズによるものだと考えられます。 2.ロングスケールのOMとショートスケールのトリプルオーの比較 OMは音に張りがあり、低音が前面に出てくる印象ですね。 トリプルオーは、OMと比べると低音が弱い印象はありますが、その分、音が太くて柔らかく、バランスも良く感じられます。 この違いは、同じボディサイズでの比較なので、スケールの違いによるものですね。 3.ロングスケールのドレッドノートとショートスケールのトリプルオーの比較 スケールの異なるものでの比較ですので、ご参考程度に。 ドレッドのまとまり感はストロークに向いていますが、このまとまり感や、強い低音によって、相対的にメロディラインが埋もれてしまいます。 一方、トリプルオーは、音の粒立ちがいい分、ストロークでは音にまとまりがでにくいですが、フィンガーピッキングでは、メロディを際立たせたり、音をコントロールしやすいですね。 ※ まとめ この違い