スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

4月, 2015の投稿を表示しています

マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その③

貴重なハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)で作られたブリッジ '50年代の仕様では、 ブリッジと指盤にはハカランダが使われています 。 プリウォーではエボニーが使われていたので、ここは'50年代と違うところですね。 音の傾向としては、 材の密度や重さが影響しているのか、エボニーよりも、ハカランダの方が柔らかくて軽やかな印象を受けます 。 Style 18のダブルオーやトリプルオーは、1935年頃からエボニーからハカランダへの移行がはじまり、1940年頃には移行が完了したとされています。 一方、ドレッドノートでは、1946年までエボニーが使われていました。 ちなみにStyle 18では、エボニーからハカランダに変更されましたが、Style 28では継続してエボニーが使われていました。 きっと、 意図的に素材を使い分けることで、サウンドキャラクターの違いを作り出していたのだと思います 。 そのことからも、この仕様がマーティンの目指したStyle 18の完成形と言えるのかもしれませんね。 このハカランダブリッジ・指盤ですが、1969年のブラジル政府によるハカランダの輸出禁止に伴い、ローズウッドに変更されることになります。 ですので、ハカランダがとても高価な材となってしまった今としては、ある意味、戦前のものよりも貴重な仕様と言えるかもしれませんね。 ちなみに、‘70年代の初頭くらいまでは、ハカランダが使われているものがありますので、興味のある方は探してみて下さい。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その① マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その② マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その③ マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その④ ヴィンテージのアディロン・マホを考える その① ヴィンテージのアディロン・マホを考える その② ヴィンテージのマーティンを考える('50年代編) ヴィンテージのマーティンを考える('60年代編)

マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その②

'50年代のレアなアディロントップ 近年もののアディロンダックスプルースは、木目の広いものが多いように感じています。 そのため、アディロンを探す時に、目の広さで見分けている方もいらっしゃるかもしれません。 でも、 戦前から'50年代頃にかけて使われていた材は、目の詰まったものが多い んですよね。 そのため、色合いや雰囲気だけでもなんとなくわかるのですが、木目だけでは断定できないものもあるので注意が必要です。 わかっていてもあえてアディロンダックスプルースと記載しない専門店もあるくらいですからね。 でも、実際に弾いてみれば、すぐに違いがわかると思います。 また、アディロンは目の広い方が、倍音やサステインが豊かで良いとする方がいます。 昔はなるほど、そういうものなのかと思っていました。 でも、たくさんのアディロントップを試奏するうちに、それは必ずしも正しい表現ではないと思うようになりました。 実は、Sakata Guitarsの工房訪問で、たくさんのアディロンをタップトーンさせて頂いた時にも感じていたんですよね。 それは「 木目によって、周波数特性が異なる 」のではないかということです。 ↓↓↓ 「 坂田さんの工房訪問 その③ 」 あくまでも傾向ですが、 目の詰まったものは硬質で高音域に特性があり、目の広いものは柔らかくて中低域に特性がある と感じています。 ですので、倍音という一言だけでは、その特性の違いを正しく表現できていないと思うのです。 私の場合は、ソロギターで映える美しい高音域が欲しいので、硬質で目の詰まったものが向いているのかもしれません。 逆に、迫力のある低音を求める方であれば、目の広いものが良いかもしれませんね。 つまり、優劣ではない ということです。 ただ、目の詰まったものは、鳴りはじめるまでに時間がかかると言われています。 坂田さんは「音が開くまでに時間がかかる」と表現されていました。 個人的には、そもそもアディロントップは鳴りすぎるくらいよく鳴るので、あまり鳴りにこだわる必要はないと考えています。 それよりも、 音色(周波数の特性)を

マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)」その①

アディロントップの「Martin 00-18( 1953年製) 」 ついに念願だった「 ヴィンテージのアディロントップ 」を手に入れました。 50年代のアディロントップのギターでJ-Guitarなどで見かけていたのは、シングルオーサイズが多かったのですが、幸運なことに、私の好きなダブルオーサイズを見つけることができました。 というわけで、マホガニー図鑑の第三弾として、その1953年製の「Martin 00-18」を取り上げたいと思います。 マーティンの「00-18」の歴史は1898年にまで遡ります。 でも、この当時の00-18は、サイドバックにローズウッドが使われていたそうです。 そのため、現在と同じマホガニーがサイドバックに使われるようになった1917年をそのはじまりと考えるべきかもしれません。 歴史のあるクラシックギターとほぼ同じ形状、サイズということもあり、 シンプルかつ、洗練されたボディの形状はとても美しく感じられます 。 そして特筆すべきは、 低音域から高音域までのバランスに優れ、粒立ちのはっきりした明瞭な音色。 さらには、 レスポンスの速さ、そしてそのサイズからくる抱えやすさ、弾きやすさ などから、これを マーティンギターの完成形 と言う人もいるほどです。 この「00-18」ですが、最大のポイントは、 トップ材にアディロンダックスプルースが使われている ことです。 アディロンは、音の太さ、粘り、コシの強さなどに特徴があり、特に マホガニーのサイドバックとの組み合わせでは抜群の相性 をみせます。 しかしながら、その軽くて強い特性から、戦時中に飛行機の部材としても使われていたため、乱伐によって材が枯渇してしまい、1946年以降は安定供給が見込めるシトカスプルースに変更されたのです。 そのため、この「00-18」も本来であればシトカスプルースが使われているはずなのですが、 50年代以降でもごく稀にアディロンが使用されている ものがあり、今回は幸運にもそんな一本に巡り合うことができたというわけです。 そんな貴重なアディロン・マホを紹介していきたいと思います。 <関連記事> マホガニー図鑑「Martin 00-18(1953年製)

1930年製の「Martin OM-45」の音色を味わう。

ジャケットは、「Martin OM-45(1930年製)」のサウンドホール! 先月、22年間続いた福山雅治さんのオールナイトニッポンが終了しました。 実は私、福山さんのラジオのヘビーリスナーだったんですよね。 振り返ってみると、私が福山さんのラジオを聞き始めたのは、1995年のことでした。 ちょうど私が上京して、大学に通い始めた頃のことです。 ですので、放送が中断していた時期もありましたが、かれこれ20年近くラジオを聞いていたことになります。 福山さんご自身も、福岡から上京されてきたこともあり、当時の私の中で何か共鳴する部分があったのかもしれません。 ラジオでの気取らない姿や、天才的な下ネタ、そして弾き語りに励まされ続けてきた20年間でした。 今回は、その人気コーナー「魂のリクエスト」がCD化され、購入しましたよという話です。 それほどのヘビーリスナーだったのにも関わらず、実は今まで、福山さんのCDを購入したことはなかったんですよね。 ファン失格ですよね(笑) でも、今回に限っては、買わなくてはならない理由があったのです。 それは「 使われているアコギが物凄い 」からなんです。 実は、ここ一年くらいだと思うのですが、福山さんもヴィンテージギターに嵌っているんですよね。 よく、お茶の水界隈で、大人買いをされているとの風の噂は伝え聞きますが。。。 テレビ出演時などでも、さりげなくプリウォーを使っていたりもするのですが、この「魂リク」では、以前にも紹介した「 1930年製のMartin OM-45 」を使っているのです。 関連記事 ↓↓↓ 「 1852年製のMartin 2-27の音色を味わう 」 そんな貴重なギターの音色を最新の録音で楽しめてしまうんですよね。 弾き語りということもあって、歌がメインではありますが、それでも十分に極上のヴィンテージサウンドを味わうことができます。 ラジオでも、ヴィンテージを使って弾き語りをすることはあったのですが、録音があまり良くないことも多かったので、本当に嬉しい限りです。 この作品を通して、ヴィンテージサウンドの素晴らしさを少しでも多くの人に知ってもらえればなと思います。 福山さん、20年間、本当にお疲れ様でした。 <関連記事> 1852年製の「Martin 2-27」の音色を味わう。 1970年製の「

ギタリストの爪の乾燥対策(2014-15年シーズン総括)

ニベア(青缶)と爪ヤスリ 思い起こせば、昨年の今頃。 爪弾きをはじめたものの、爪が割れてばかりで、困っていたんですよね。 ↓↓↓ 「 ソロ・ギターをはじめてから変わったこと 」 あれから一年。 今シーズンは、12月に一度、ヒビが入った程度で済みました。 しかも、ギターが原因ではなかったので、今、私が行っている対策にある程度の効果があったのだと考えています。 私が効果があったと考えている対策は、以下の2点です。 ①ニベア(青缶)による保湿  ↓↓↓  「 乾燥対策②(ニベア活用編) 」  「 乾燥対策③(ニベアの使用状況) 」  「 乾燥対策④(ニベアの結果報告) 」 ②チェコ製ガラスヤスリでのお手入れ  ↓↓↓  「 チェコ製の仕上げ用ヤスリを購入しました 」 特に、保湿の重要性は痛感させられました。 私はお風呂上りにギターを練習することが多いのですが、お風呂上りは爪の油分が落ちてしまっているんですよね。 保湿というと水分のイメージがあるので、お風呂上りであれば問題はないだろうと考えていたのですが、勘違いだったようです。 油分が落ちたあとに乾燥した状態が、爪として一番脆い状態だったんですね。 そこでニベアを塗ることで、油分を補給してあげるわけです。 塗ってから10分もするとニベアは馴染んでくるので、この状態で練習するようにしていました。 十分に保湿されていると、爪に弾力性が出てくるので、なんとなく弾きやすくなる気もします。 これに加え、ガラスヤスリでのお手入れも効果があったと思います。 ギターを弾くことで爪は削れていきますが、その削れ方によっては、ピッキングの際に、局所的に爪に負担がかかってしまう場合があります。 これは日常生活で爪が欠けてしまった場合も同じです。 どんなに保湿された状態でも、局所的に負荷をかけてしまっては、爪は割れやすくなってしまいます。 ですので、形を整えてやることで負荷を分散してやる必要があるわけです。 また、ヤスリをかける場合でも、ニベアを塗ってから削ると、爪への負担が減ると思います。 興味がある方は、是非、お試しください。