近年もののアディロンダックスプルースは、木目の広いものが多いように感じています。
そのため、アディロンを探す時に、目の広さで見分けている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、戦前から'50年代頃にかけて使われていた材は、目の詰まったものが多いんですよね。
そのため、色合いや雰囲気だけでもなんとなくわかるのですが、木目だけでは断定できないものもあるので注意が必要です。
わかっていてもあえてアディロンダックスプルースと記載しない専門店もあるくらいですからね。
でも、実際に弾いてみれば、すぐに違いがわかると思います。
また、アディロンは目の広い方が、倍音やサステインが豊かで良いとする方がいます。
昔はなるほど、そういうものなのかと思っていました。
でも、たくさんのアディロントップを試奏するうちに、それは必ずしも正しい表現ではないと思うようになりました。
実は、Sakata Guitarsの工房訪問で、たくさんのアディロンをタップトーンさせて頂いた時にも感じていたんですよね。
それは「木目によって、周波数特性が異なる」のではないかということです。
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あくまでも傾向ですが、目の詰まったものは硬質で高音域に特性があり、目の広いものは柔らかくて中低域に特性があると感じています。
ですので、倍音という一言だけでは、その特性の違いを正しく表現できていないと思うのです。
私の場合は、ソロギターで映える美しい高音域が欲しいので、硬質で目の詰まったものが向いているのかもしれません。
逆に、迫力のある低音を求める方であれば、目の広いものが良いかもしれませんね。
つまり、優劣ではないということです。
ただ、目の詰まったものは、鳴りはじめるまでに時間がかかると言われています。
坂田さんは「音が開くまでに時間がかかる」と表現されていました。
個人的には、そもそもアディロントップは鳴りすぎるくらいよく鳴るので、あまり鳴りにこだわる必要はないと考えています。
それよりも、音色(周波数の特性)を重視した方がいいのではないかと。
美しい高音域の倍音を求めるのか、ふくよかな低音域の倍音を求めるのか。
目の詰まり方から、材の密度感をイメージしながら試奏すると、感覚が掴みやすいかもしれません。
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