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伝説のブルースマンたちのギター。

伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソン。このギターはカラマズーか?


伝説のブルースマンたちは、

どのようなギターを使っていたのでしょうか。


ブルースという音楽そのものが、

100年以上の歴史があるわけで、

使われる多楽器も多種多様、

変わり続けています。


そう言った中で、

どれかひとつの楽器であったり、

ひとつのメーカーだけで、

このブルースという音楽を

代表させようという考え方は、

どうしても無理があると思うのです。


でも、

アコースティックブルースに話を限定すると、

ギブソン=ブルースというイメージが

世の中的には強いのではないでしょうか。


これは間違いなく

ロバート・ジョンソンの影響だと思うのです。


悪魔に魂を売り渡した、

とかはどうでもいい逸話ですが、

残されたギブソンL-1を抱えた写真が

あまりにもインパクトが強すぎるのです。


しかも、ギブソンを抱えている写真が

残されているだけであり、

実際にレコーディングやライブで

使われていた楽器のデータが

残されているわけでもないのに。


ギブソンの「Blues King」なんて

いかにもなネーミングのギターも

ありますけど、ちょっとメーカーの

イメージ戦略に煽られすぎな気も

します。


では、

その他の伝説的なブルースマン達は

どのようなギターを使っていたのでしょうか。


私の敬愛する

ブラインド・ブレイク、

ブラインド・レモン・ジェファーソン、

ウィリー・マクテルなどは、

オスカー・シュミットが製造していた

Stellaというギターを使っていたと言われます。

(もちろん、こちらも諸説ありですが)


その理由は、

安くて丈夫で金物屋でも買えたという

身近さにあったようです。


言い方を変えると、

黒人のブルースマンたちでは、

マーティンやギブソンを買うことが

出来なかったということでもあります。


おそらくこれは、

当時の人種差別や、

経済的な格差による影響が

大きかったからだろうと。


結果としてステラの音色が

ブルースに適していたのは事実ですが、

どうしてもこの音色が欲しかったから

ステラを選んだ訳ではなさそうだと

言うことかと。



で、このステラですが、

戦前のオリジナル・ステラと言われるもと、

戦後のものにわけられます。


戦後のステラは、

ハーモニー社に買収されてしまい、

全く別の楽器になってしまったといわれます。


とは言っても、

ハーモニー社が作った安価なギターは、

1960年代のブルースマンたちにも

愛されていたので、

このチープなギター路線自体は

受け継がれていたようですが。


サイドバックにマホガニーが使われた

Harmony Sovereign H1260は、

レッド・ツェッペリンの天国への階段で

使われたギターとしても有名ですね。


オリジナル・ステラに話を戻しますが、

戦前ものは日本ではほとんど出回っておらず、

米国でさえもなかなか入手が難しいようです。


さらには、

もともと安い楽器だったこともあり、

使われ方も雑で、コンディションの良いもの

となると皆無なようです。


そしていざ復刻しようとしても、

かなりニッチな商品ということもあり、

作っても儲からないので、

誰も作ろうとしない、

そんな悪循環に陥っていました。


そこでチャレンジしたのが

コリングスの「Waterloo」ブランド。


ステラやカラマズーなど、

古き良き楽器の復刻を目指したのです。


ギターにはかなりのこだわりがある

東京事変の「長岡亮介氏(浮雲)」が

愛用するくらいなので、

その良さは間違いないですよね。


で、あれは良い楽器でした。

いや、良すぎる楽器でした。


コリングスが作ったこともあり、

そもそものブルースマンが使っていた

楽器よりも圧倒的に良すぎて、

いろんな用途に使えてしまうのです。


そのため、ギターとしての

性能やルックスは完璧なのに、

あの手の音楽をやろうとすると、

どうしてもあのニュアンスを出せないのです。


では、どんなギターが良いのか。


やはり、世界には同じことを考える

オタクさんはいらっしゃるようで・・・


それが、超オタクギターの

FRAULINI」です。


友人が偶然見つけて、

即買いしてしまったようなので、

次回のマホガニー図鑑にて

ご紹介したいと思います。


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