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坂田さんの工房です。 |
思い立ったが吉日。というわけで、山梨にあるSakata Guitarsの工房にお邪魔してきました。
坂田さんは本当に気さくな方で、会話も魅力的で面白く、到着してからぶっ通しで6時間もギター談義してしまいました(笑)。音のイメージ合わせは、私の坂田ギターへの感想や、コリングスやマーティンについて議論していく中で、だんだん、深まっていったと思います。特に面白かったのが、コリングスに関する議論でした。
コリングスは素晴らしいギターなのだけれど、音に硬さを感じる人が多い。ビル・コリングスは10年弾き込んでくれれば変わるというけれども、10年弾いてもまだ硬い(笑)。そして、ヴァーニッシュ・フィニッシュという切り札を出し、柔らかい音を実現したが、それは自分たちのギターに対する課題を認めたことになるのではないのか。
簡単にまとめるとこんな感じですね。ここで私が「坂田ギターの音は、ヴァーニッシュ・フィニッシュのコリングスに近いと感じています」とお伝えしてみました。この感覚は、坂田さんご自身も感じられていたようでした。加えて、ワニスを使わなくても、ラッカーで薄く仕上げるだけで、同じような鳴りを出すことができるようになったと言われていました。重要なのは塗装の方法や種類よりも、厚さではないかと。
また、楽器にも「音楽性」を求めるという坂田さんの考え方が自分にはしっくりきました。私自身、いろいろなアコギを弾いてきていますが、音はいいけど、このギターで何を演奏するの?っていうものが多い気がします。坂田さんは、自然と歌いたくなる音や、自然とメロディが浮かんでくるような音を目標にしていると。坂田さんを日本のグレーベンと例える人もいますが、わかる気がしましたね。
そして「とにかく、鳴りが良くて、レスポンスの良いギターであれば、あとはプレイヤーがコントロールすればいい」という考え方がいいですね。耳の痛い話ではありますが、最終的な音を出すのは演奏者ですからね。そのために坂田さんは、最良のギターを作るだけだと。坂田さん自身がシンガーソングライターということもあって、プレイヤーならではの視点が、ギター製作に反映されているのかもしれません。