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Martin OOO-18(1963年製) |
マホガニー図鑑の第四弾として、今回は友人所有の1941年と1963年の「Martin 000-18」を紹介したいと思います。
まずは、トリプルオー・サイズのおさらいをしてみましょう。
トリプルオーが初めて作られたのは1902年のこと。
それまでの最大サイズだったダブルオーから、ボディの横幅を広げることで容積を広げ、より大きな音量を出力できるように改良されたものでした。
そのため、その後、さらに大音量が出せるドレッドノートが開発されてからは、人気は下火となり、ストロークプレイ中心のフォークブームが訪れると、より一層、製造本数が落ち込んでしまいました。
それが1992年のこと。
エリック・クラプトンがMTVアンプラグドで「000-42」を使用したことで状況が一変します。
エリック・クラプトンがMTVアンプラグドで「000-42」を使用したことで状況が一変します。
インターネットもなく、情報が少ない時代でしたからね。
あの凄い音のギターは何なんだと、話題になったわけです。
そしてトリプルオーを実際に弾いてみると、、、
- フィンガーでもストロークでも使える万能さ
- 弾き方ひとつで、ロック・ポップスから、ブルースやジャズまで対応できる表現力
- スモールボディならではの弾き手の思い通りに反応する優れたレスポンス
- 低音から高音までのバランスの良さと、マイク乗りの良さ
などなど。
トリプルオーの能力が再評価されることになったわけですね。
そして、その後に発売された「000-28EC」が爆発的なセールスを記録しました。
かく言う私も、初めてのマーティンはクラプトンモデルだったわけですが。
というところで、1963年製のトリプルオーから紹介したいと思います。
以前にも紹介しましたが、この'60年代は様々な仕様変更が行われた年代です。
ということもあって、まずは、仕様の確認をしておきましょう。
Style 18ですので、トップはシトカスプルース、サイドバックはマホガニーです。
'60年代の特徴としては、ハカランダが使われたブリッジと指板があげられます。
今でこそ高価なハカランダですが、この当時は、普通の材として扱われていたんですね。
そして'70年代になると、ローズウッドに変わるので、この年代ならではの仕様と言えます。
ローズウッドと比べると、ハカランダの方が、音に艶があり、ヌケも良い印象があります。
サドルは、'50年代と同じロングサドルが使われています。
こちらは1964年からショートタイプに変更されてしまうので、ヴィンテージマニアとしてはこだわりたいポイントのひとつですね。
また、ネックのロッドには、鉄製のTバーが使われています。
こちらも、1967年にスクエアロッド(SQロッド)と呼ばれる四角いロッドに変更されます。
ロッドはネックの形状にも大きく影響してくるので、演奏者にとってはこだわりたいポイントです。
ビジュアル的には、鼈甲柄のピックガードも特徴で、1966年以降は黒いアセテートに変更されます。
それと蛇足ですが、'60年代前半の特徴として、丸いヘッドの形状があげられます。
これは、当時のマーティンのヘッドの木型が、使いすぎてすり減り、角が丸くなってしまったことが原因と言われていますね。
この1963年頃はその中でも特に丸い時期に当たるようなので、丸ヘッドマニアの方は是非(笑)