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たまにはローズの話でも「Collings OM2HT Authentic Style(2016)」

 きまぐれ企画の「たまにはローズの話でも」です。 今回は私がイチオシしているCollingsのOM2HT Authentic Styleを紹介します。 まず、コリングスのネーミング体系について馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、簡単にまとめておきますね。 OM …ボディの形状(OM:オーケストラモデル、D:ドレッドノートなど) 2 …ローズウッドモデル(マーティンでいうところのStyle-28) H …ヘリンボーン付き(黒と白の縁取りの部分) T …トラディショナルシリーズ その他、主なオプションとしては、以下のような感じですね。 ■トップ材のオプション A …アディロンダックスプルース G …ジャーマンスプルース E …イングルマンスプルース ■サイドバック材のオプション Mh …マホガニー MR …マダガスカルローズウッド Baa …ブラジリアンローズウッド ■その他 Varnish …ヴァーニッシュ塗装 CW  …クラレンスホワイト・モデル Style-1 …サイドバックがマホガニー(マーティンのStyle-18) Style-3 …インレイ付き(マーティンのStyle-40系) またコリングスも年代によって音作りが変化していますので、そのあたりから整理したいと思います。 大きく分けると、オースティンでファクトリーを拡充する1992年以前と、ファクトリーでの生産が軌道に乗った1993年以降にわけられます。 1992年以前のコリングスは滅多にお目にかかることもなく、私も数本しか弾いたことがないので、その時期固有の特徴を捉えきれてはいないのですが、比較的マーティン寄りな音色という印象です。 そこから1993年以降になると、一気にカリカリ・コリコリのコリングスサウンドが確立されていきます。 その後の変化ですが、、、 ①ラッカー塗装が施された1993年~1997年 ②UV塗装に変更された1997年~2009年のマイナーチェンジまで ③2009年からトラディショナルシリーズが開発される2016年頃まで ④トラディショナルシリーズで得られた経験が取りこまれた2016年以降 に分けられると思います。「年」については、おおよその目安と考えてください。 今回のOM2HTは④の時期に該当します。この頃のコリン...

岸部眞明さんのオンライン・ライブ&国産OEMアコギの実力について

  ソロギターの世界でも、オンライン配信が定着しつつありますね。先週末はイケベ楽器さんのイベントで、岸部眞明さんのインストアライブがありました。 渋谷に行けば「生キシベ様」を拝むこともできたのですが、台風の影響による悪天候もあり、私はオンラインで失礼しました。 今回は、中国のギターメーカーNaga Guitars主催のイベントで、ギタリストの岸部眞明さんと、Water Roadのルシアである増田さんがゲストとして呼ばれていました。 Naga Guitarsは「リーズナブルでプレイヤーがいつも最高のパフォーマンスを発揮できるクオリティと美しい音色を備えたギター」を製作することをコンセプトとしているようですね。 今回は特に、増田さんが設計し、中国の工場にて作られたHana Series(岸部さんのシグネチャー・モデル)を中心にした販促イベントだったようです。 Naga Guitarは中国のメーカーで中国の工場での製作ではありますが、Hana Seriesという視点で見るとWater Roadを中国の工場でOEMで作りました的な位置付けですかね。廉価版のWater Roadとも言えるかもしれません。 ※OEMとは、Original Equipment Manufacturingの略語で、委託者のブランドで製品を生産することを言います。 肝心の音色ですが、岸部さん自身はエフェクトで音を作るスタイルですので、ライブの動画で見る限りではいつも通りの岸部サウンドに仕上がっていましたね。 またライブの前にはWater Roadの増田さんが材や設計について語っている動画もアップされてますので、興味のある方は是非ご覧になってください。 で、今日、実は語りたいと思っていたのはこのライブの話ではなく、最近OEMのギターが増えてきていますよね、というお話だったりします。 OEMなんかで良いギターが作れるのか?と疑問に思う方もいらっしゃるとは思いますが、エレキギターのフジゲンさんなどと同じで、実は品質がとても良かったりするんですよね。 アコギで言うと、例えば三木楽器さん主導のギブソン系のCreek、マーティン系のSeagull by M.Shiozaki、ドルフィンギターさんのSwitch、Greven Japanなど。詳しいことは話しませんが、これらはいずれも国内の製作所のOEMなん...

『続・オールマホのすゝめ』オールマホの音色の魅力とは。

前回の記事では見た目の話題に終始してしまったので、オールマホの音色についてもまとめておこうというのが今回のテーマになります。 オールマホはもともとサイドバックの材として多く使われている材ですからね。振動特性が優れているわけではありません。そのため、帯域が狭く、倍音が少ない音色が特徴となります。 私が今まで弾いてきたオールマホで考えると大きく分けると「もちっと系」と「ガシャガシャ系」に分類できると考えています。 もちっと系は、柔らかい音、暖かい音と形容されることが多いですね。フィンガースタイルで優しいタッチで弾いてあげると他の材では決して出すことのできない美音を奏でてくれます。 例えば私が以前所有していた0-17などはまさにこのタイプで、優しく弾くととんでもなく美しいもちっとサウンドを響かせてくれました。硬質な材を使ったギターでは決して出すことのできない音色です。 また、小型のパーラーギターとして人気の高い2-17などもテンションの弱いコンパウンド弦を張ってあげるとなんとも言えない優しい音色を奏でてくれますよ。ピッキングした時のエッジ感は弱いのですが、その分、ジャジーなフレーズなどによく合う音色だと思います。 一方、ガシャガシャ系は真逆の音色で、倍音が少なく、箱なり感も弱いので弦鳴り感がより強調されるイメージでしょうか。ピッキングした時のエッジ感やザクザク感で勝負するような感じですね。 余計な倍音はありませんので。この方が歌に合わせやすいという方もいらっしゃると思います。また、エレアコとして使うのであれば、余計な倍音がないので、エフェクターなどで音作りもしやすいかもしれません。 多くの方がイメージされるオールマホの音色は後者のガシャガシャ系なのかと思います。前者はマーティンにしろ、ギブソンにしろ戦前のギターに多い特徴ですね。オールマホという要素に加えて何十年も熟成されたヴィンテージ・マホガニーというのも理由のひとつなのかもしれません。 いかがでしたでしょうか。オールマホだからと言って全てが同じ音でもないし、もちっと系とガシャ系の中間に位置するようなギターもありますし、弾き方を変えるだけでもちっと系にもガシャ系にもなるギターもあります。 オールマホ=泥臭いみたいな先入観に囚われることなく、唯一無二の圧倒的なビジュアルと持ちつつ、自分の出したい音色のギターを見つけられると...

『続・オールマホのすゝめ』オールマホを選ぶ理由。

  クロサワ楽器さんの企画で00-17 Authentic 1931を弾く藤原さくらさん 今年に入って、Blue-GさんやHobo'sさんに戦前モノのオールマホガニーの名器「Gibson L-0」や「Martin 0-17」の入荷が続いたためか、オールマホで検索された方のアクセスが増えているんですよね。ありがたい話です。 とはいえ、人気のギターですからね。入荷したらすぐにホールド、ソールドアウトとなってしまうわけで。お茶の水に通っている私でさえ、なかなか実物を見ることもできませんし、ましてや遠方の方となると、なおさらですよね。 そこで、私自身が「Martin 0-17(1935年製)」や「Martin 2-17(1927年製)」を所有していたこともありますので、何かの参考にでもなればいいかなと思い、オールマホを選ぶポイントについて、考えをまとめておきたいなと思いました。 実際に自分で所有してみて、そして色々なギターを弾いてきて思ったこと、それは突き詰めると「見た目のインパクト=オールマホを選ぶ理由」なのかなと考えるに至っています。 一般的には「オールマホ=渋い、素朴」といったイメージからブルースに合うと思われる方が多いように感じていますが、私的にはそんな印象はないんですよね。むしろ、「お洒落でかわいらしいギター」だと思っています。 というのも、ブルースに求められるサウンドでは、ピッキングしたときのエッジ感であったり、低音のグルーヴ感などが重要になると思うのですが、そういった音を出せるギターは、スプルーストップのものでも存在するんですよね。いや、むしろスプルーストップの方が合うのではないかとさえ個人的には思っています。 やはりオールマホは、独特の帯域の狭さや倍音の少なさが特徴だと思いますし、それをどう活かして使っていくのかがポイントになるのだと思うわけです。 そして、歌モノとの相性としてはソフトなヴォーカルに合うと思います。使用ギターの例としては、海外だとジャクソン・ブラウン(1950年代のMartin 00-17)、国内だと藤原さくら(1943年製のMartin 00-17)が愛用していますね。 偶然、二人ともダブルオーサイズを選んでいるわけですが、弾き語りでの合わせやすさという意味でコダワリのボディサイズかもしれませんね。シングルオーよりもストロークがまと...

朴 葵姫(パク・キュヒ)「ギター・リサイタル」に行ってきました。

  実は私、クラシックギターが苦手なのです。厳密にいうと、クラシックギターと言うよりは、クラシック音楽そのものが苦手なんですが。 オマエは音楽がわかってないとか言われたくないですし、きっといつか理解できる日が来るのではないかと、何度も何度も挑戦してきたのですが、もう諦めました。 そんな中、今回はなぜか聞ける、なぜか大好きなパク・キュヒ(Kyuhee Park)さんのリサイタルに行ってきましたというお話です。 会場はトッパンホール。実際に行ってみてビックリ。信じられないくらい不便な場所にありました笑。しかも真夏の 14 時開演ですからね。汗ダクダクでした。 そして自分の席に着席し、開演前に配られたパンフレットに書かれていた演目を見ると、、、素人向けの曲がひとつもない、辛口なセットリスト。とても不安な気持ちになりました笑 地方公演などでは、分かりやすいポピュラーな楽曲を演奏しているようなので、よく言えば耳の肥えた、悪く言えば口うるさい東京の観客が求めるものに応えているのでしょうが、かなりビビりました。もちろん、演奏がはじまってしまえば、そんな心配は全く不要な素晴らしいものだったのですが。 この人の演奏を聴くと『表現力』という言葉の意味を考えさせられます。よく、感情を込めて弾きなさいとか、情景をイメージをしながら弾きなさいみたいなことを言われますが、私的にはそうじゃないと思うんですよね。 私が思うに、パク・キュヒさんは決してフィーリングだけでは弾いておらず、かなりアナリスティックに音楽を突き詰めているんじゃないかと思うんですよね。 感情や情景をどう表現すればいいのか、その方法論を完全に理解しているのだろうと。そして、それを完璧に弾きこなす演奏技術もあるわけで。 いやー、本当に素晴らしいのです。 そんなパク・キュヒさんの素晴らしいところをいくつか書き連ねておこうかと思います。 ①とんでもない美音 使用ギターは 2009 年製の Daniel Friederich (ダニエル・フレドリッシュ)。正直、信じられないような音を出します。音響の優れた開場での生音なら尚更です。よくギターのことをたった一本のオーケストラみたいな表現をしますが、むしろ、この人の演奏を聴くとオーケストラなんて必要ない、素晴らしい演奏家とギターの 6 本の弦があればそれでいいと思わせてくれるほどです...

ニール・ヤング(Neil Young)の使用ギター:「Martin D-45(と、D-18)」

マーティンのフラグシップ・モデルであるD-45。 オリジナルのD-45は1933年に製造が開始され、1942年までに91本が作られました。有名な話ではありますが、光り輝くインレイが日本から輸入していたパールを使用していたんですよね。そのため、太平洋戦争の激化と共に輸入が困難になり、製造を断念したと言われています。 そんなD-45も1968年に復刻されます。でも、オリジナルは91本しか作られておらず、このギターの持つ音色というのはほとんど知られていなかったのではないかと思うんですよね。ただ、見た目のインパクトという点では人気は継続していたようで、D-28にインレイをつけるカスタマイズが施されたギターもあったりしますよね。 でも見た目だけではなく、唯一無二な煌びやかな豪華な音色もD-45の魅力な訳です。では誰が、音色としてのD-45の魅力を知らしめたのか。やはりそれは、CSN&Y(クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング)の存在ではないでしょうか。D-45サウンドを駆使し、オープンチューニングを多用したアンサンブルには今なお圧倒されます。 でも、私は思うのです。D-45のようにギター一本だけでも十分と思えるほどに完成された音色は、アンサンブルよりもシンプルな弾き語りでこそその魅力が発揮されるのではないかと。すなわち、ニール・ヤングの弾き語りこそがD-45の真髄なのではないかと思うわけです。 で、なぜ突然ニール・ヤングの話題かと言うと、遅ればせながらOBS(オフィシャル・ブートレッグ・シリーズ)を大人買いしたからなんですけどね。 ・CARNEGIE HALL 1970(1970年12月4日) ・DOROTHY CHANDLER PAVILION 1971(1971年2月1日) ・ROYCE HALL 1971(1971年1月30日) ・CITIZEN KANE JR. BLUES(1974年5月16日) さらには、少し前にでた「YOUNG SHAKESPEARE(1971年1月22日)」と名盤「Live At Massey Hall(1971年1月19日)」も含めると、この時期近辺で6タイトルもリリースされています。ニール本人が、いかにこの時期を特別なものとして捉えているかが伝わってきますね。選曲的にも、1970年の「After The Gold Rush」と、1...

「Collings」を語る。その⑨:Collings、Martinの歴史を振り返る。

  青がCollings、赤がMartinの製作本数 「Collingsを語る。」として、8回にわたって記事を書いてきました。思っていたよりも長い連載になってしまいましたが、私のコリングスに対する熱量は伝わりましたでしょうか。今回は最終回ということもあり、コリングスの歴史を振り返りつつ、まとめていきたいと思います。 歴史を振り返るにあたって、コリングスとマーティンの製作本数をグラフにしてみました。製作本数の伸び率をみるために、左軸がコリングス、右軸がマーティンとして二軸のグラフにしています。 これを見ると、製作本数の伸びが驚くほど類似していることが分かりますね。むしろ、マーティンの方がバックパッカーやエド・シーランの使用で有名になったLX1/LX1Eなどの廉価版ギターで製作本数を水増ししているところがあると思いますので、コリングスの成長は目を見張るものがあります。 その他にグラフから読み取れることとしては、アコースティックギターの転機となったのは、やはりエリック・クラプトンのアンプラグド(1992年)の影響が大きかったことがわかりますね。 また、グラフからは判別できませんが、ヴィンテージギターの魅力というのも、この時クラプトンが使用した000-42(1939年製)からはじまったと言われています。それを確かめるべく、今度は年表で整理してみたいと思います。 1988年:ビル・コリングスによって、テキサス州オースティンにCollingsを設立 1992年:エリック・クラプトンがMTVアンプラグドに出演⇒クラプトンが使用した1939年製の000-42により、ヴィンテージギターの魅力が広まる 1995年:Martin Vintage Seriesが開始 1996年:Martin 000-28EC(Eric Clapton Signature Model)が開始 1999年:Martin Golden Era Seriesが開始⇒初代はD-18GE、ゴールデンエラ仕様の追求がはじまる 2000年:Collingsの製作本数がはじめて1000本を超える 2005年:Collingsがヴァーニッシュ・フィニッシュを開始⇒NAMM SHOW 2005にてビル・コリングスが自ら製作したD-1A Varnishを発表 2005年:Martin Authentic Seriesが開...

「Collings」を語る。その⑧:トップ材のベイクド加工。焼くか、焼かないか。

  悩みに悩んで選んだ焼いてないOM-1T 木材のベイクド加工(熱処理)がギターに使われはじめたのは、マーティンがVTSを導入した2015年のこと。 その前から取り組んでいたメーカーもあるかもしれませんが、やはり本家マーティンが開始すると市場へのインパクトが違いますよね。 その後、コリングスは遅れること一年、2016年から開始しています。コリングスではTorrefied(トリファイド)加工という呼び方ですね。 日本でもHEADWAYなどが積極的に導入していますね。 マーティンがVTS(Vintage Tone System)と名付けたこともあり、どうしてもヴィンテージ・サウンドの追求的な感覚でとらえてしまうのですが、、、 このベイクド加工はギター用として開発された技術ではなく、そもそもは建築などで使われる材用に開発されたものです。 ちょっとネーミングに騙されている気もしますね。 で、焼いたのと、焼いていないの、どちら派ですか? と聞かれたら、私は焼いてない派と答えます。 なぜ、焼いてない方が好きかと言うと、単純に音色が好みだからです。 ここで自分の立ち位置を明確にしておこうと思いますが、やはり実際のヴィンテージギターと、ベイクド加工したギターの音は似て非なるものと考えています。 ただ違うとは言っても、良い悪いの話ではなく、好みの差なのであしからず。 ※この記事の画像でも使用していますが、近々、マホガニー図鑑として「Collings OM-1T」を紹介する予定なのですが、、、 実はそれを購入する際に、同じトラディショナルシリーズで焼いたものと焼いてないものの新品が揃うという奇跡があったんですね。 で、どちらも素晴らしいギターで、めちゃくちゃ試奏させていただいて、悩んだ末に「焼いてないもの」を選んだのです。 ということもあり、ここでその時に感じたことをまとめておきたいなと考えています。 まず、私が弾くことを前提にしていますので、フィンガースタイルのソロギター用として評価をしています。 私の評価ポイントとしては、低音域から高音域までのバランスの良さや、ピッキングの強弱による反応を主にみています。 音はコリングスなので間違いありませんから。 私自身、焼いたのと焼いていないので一番大きな差として感じたのは、ピッキングの強弱に対する追随性でした。 焼いてない方が指弾きで...

「Collings」を語る。その⑦:進化したスタンダード・シリーズ、そして塗装による音色の違い

どれがスタンダード・シリーズなのか定義はないですが、多分これ全部だと思います。 本家Martin、PREWAR GUITAR、そしてCollingsといずれもマーティンの黄金期を目指したギターを比較してきました。 どれも明確なコンセプトのもとに製作された素晴らしいギターですので、正直なところどれを選ぶのかは好みの問題だと思います。 ただこういった高度な復刻を目指す動きがある一方で、更なる進化を遂げているギターがあるんです。 それは、Collingsのスタンダード・シリーズです。いたって普通のCollings、実はこれがまた凄いというお話になります。 私がスタンダード・シリーズに変化を感じたのはちょうどトラディショナル・シリーズが出始めた頃だったと思います。 某店にて、サイドバックがマホガニー、トップがシトカスプルースのドレッドノート「D-1(2016年製)」を試奏させてもらった時に、これさえあれば十分だと感じたんですよね。 もしくは、あまりの素晴らしさに「負けた」って感じさせられたって方が私の本音に近いかもしれません。 もちろん、他にも良いギターはたくさんありますが、多くのギタリストが望む要素がかなりの高次元で満たされているなと見せつけられたわけです。 そしてそれが確信に変わったのが、ダブルオーサイズが出回りはじめた頃だったかなと。 で、私がどのような変化を感じたかというと、 Collingsの特徴だった重厚感のある低音はやや軽やかになり、いろいろな音楽に合わせやすいバランスにシフト エッジの効いた高音域(倍音)もやや抑えられ、相対的に中音域の倍音が前面に出てきた。これにより、プレーン弦の太さ、艶が以前よりも感じられるようになった 音のヌケが良くなり、レスポンスも向上 変化の方向性としては、2009年頃のマイナーチェンジの延長線上だと思います。 仕様変更があったわけでもないので、不思議ではあるのですが、他の方々の意見などを聞いてみても同じような感想を持たれている方が多いように感じます。 トラディショナル・シリーズの開発により得られた知見をスタンダード・シリーズに 反映させたのか、それともトラディショナル・シリーズとの差別化のために音色を変えたのか色々考えられますが、、、これらは私の憶測の域を出ません。 ただひとつ言えることは、現代的なフィンガースタイル向けに対応した...

最近話題?「マーティンのノンテーパード・ブレーシング」とは。

今回は、アコースティック・ギター・マガジンのVol.92を取り上げます。久しぶりの書籍ネタですね。 私のブログの方針としては、実際に自分の目で見て、手で触って、経験したことを書いていきたいと考えているので、極力、雑誌は見ないようにしているのですが(影響されやすいもので・・・)、今回はどうしても気になるネタがあったので取り上げてみました。 巻頭特集は「弾き語りの美学」。両国国技館で行われた「J-Wave TOKYO GUITAR JAMBOREE 2022」とその出演者による弾き語りへのコダワリを紹介。 その他にも、「サウンドポート月アコギの徹底検証」などマニアックで興味をそそられる内容もあるのですが、私が着目した記事はこれですね。 「買えるアコギの博物館 Blue-Gに行こう!」 Blue-Gと言えば、東京を代表するアコースティックギター・ショップですね。 店舗が渋谷に移転したことで、個人的には少し足が遠くなってしまっているのですが、 日本が世界に誇れる楽器屋のひとつではないかと。 その中で私が注目したのは、「テーパード・ブレーシング」という新しい単語です。正直なところ、なんだそれって感じでした。 記事を読んでみますと、1945~1948年頃に使われていたブレーシングで、最近になって発見?されたとのこと。 戦前のスキャロップ・ブレーシングのようにパッと見でわかるような削り方ではなく、ボディのリム側に向かって滑らかな削り込みがされているようですね。 ※今度、実物を見させてもらったときにアップデートします。 従来の情報だと、この時期の仕様はノンスキャロップ・ブレーシングとされていましたからね。かなり判別しにくい削り方なのだろうと推察します。 ここで、個人的にちょっと思ったことが。これは私の邪推にすぎませんが、、、 マーティンとしては、本当はこれくらいの軽い削り込みをいれたかったのではないかと思うんですよね。 今となっては、これもまたひとつの個性のようにノンスキャロップ・ブレーシングも人気がありますが、仕様変更した当時としては楽器として鳴りにくい方向にシフトしたわけですからね。 ※あくまでも、狙いは強度の向上だったはず。 そう考えると、、、ノンスキャロップというのは大量生産に向けた妥協策で、マーティンが本当に使いたかった強度と音色のバランスを備えているのはこの40年代後半...