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「Collings」を語る。その⑥:では、トラディショナルシリーズはどうなのか。

  マーティンが伝統の継承、プリウォーギターがゴールデンエラの再現とした場合、コリングスのコンセプトとは一体何なのでしょう。 いろいろあるとは思いますが、私は「ビル・コリングス自身が本当に作りたいギターを作る」だったのではないかと考えています。 マーティンスタイルを踏襲しながらも、彼オリジナルのくっきり、はっきりのコリングスサウンドを発明したわけですが、それでもやはり常にオリジナルのマーティン(特にゴールデンエラ期)への憧れがあったのではないかと思うわけです。 単純にマーティンの復刻を目指したのではなく、彼なりに徹底的に研究し、独自のコリングスサウンドとして再構築してきたわけですよね。 そして更なる探求の結果として、近年モノのコリングスや、トラディショナル・シリーズに見られるようなマーティン寄りのサウンドに辿り着いたのではないかと私は考えるのです。 また、音色の再現というよりは、ゴールデンエラ期のギターが持つ特性の再現を目指していると感じています。 それはまさに、コリングスの売り文句である「基音の強さと優れたレスポンス」ですね。つまり、同じゴールデンエラ期のギターを目指しつつも、プリウォーギターとは狙うポイントが異なるわけですね。 コリングスの場合は、さらに楽器としての精度の高さ、例えばピッチの正確さであったり、演奏性、メンテナンス性、堅牢性などを極限まで高めたものだと考えています。 また、ヴィンテージの「枯れた音」が素晴らしい的な表現をされる方がいらっしゃいますが、実は私的にはあまり枯れた音というのに興味はなく、それよりもこのコリングスが再現してくれた要素(基音の強さと優れたレスポンス)が重要なのですよね。 まぁ、私自身、コリングスを選んで購入しているので褒めるのは当たり前ではあるのですが。 まさに、私が求めるヴィンテージギターの要素が詰め込まれているのです。 また、癖のない素直な音色が様々な用途(ジャンル)に活用しやすいという点も、このトラディショナルシリーズの魅力ではないでしょうか。 ちなみに、コリングスでもトラディショナルシリーズとレギュラーシリーズとを比べると、前者がダーク、後者がブライトな印象になります。 最後にメリルと比べた場合ですが、2010年代のブライトな音作りに近いと思います。 ■関連記事 ・ 「Collings」のすすめ。 ・ 追悼:ビ...

「Collings」を語る。その⑤:Pre War Guitarsとの比較

  前回の本家マーティンのオーセンティックシリーズとの比較に続き、最近話題のプリウォーギターとの比較をしてみたいと思います。 Pre War Guitars(プリウォーギター) コンセプトとしては、間違いなくゴールデンエラ期の再現でしょうね。 エイジド加工(長年弾き込んだかのような傷をわざと付ける加工)も含め、その徹底ぶりは他社を圧倒しています。 これぞゴールデンエラ期のアコースティックギターだ!と言える、ダークで深みのある音色。 ただしその分、音のヌケが悪い印象がありますね。これはあまり弾き込まれていないものしか試奏したことがないので、それが原因の可能性もあります。 この辺は今後弾き込んでいくことで改善する可能性もありますが、トップ材が高熱処理を施したものなので今後どのように変化していくのかが未知数というのが唯一の不安材料かもしれませんね。 また、オリジナルのヴィンテージを知っている人からすると、凄い再現度だと驚かされる部分と、「この部分を再現してしまったのか」と感じる人もいるかもしれません。 この「再現してしまったのか」ですが、あまりにも徹底的に再現しているため、ヴィンテージ的な味付けが強すぎて、音楽的に使える用途(ジャンル)が制限されてしまうという意味です。 決して楽器としての善し悪しではないのであしからず。 マーティンとの比較でいうと、80年前の作りたてのゴールデンエラ期のギターを再現しているマーティンと、80年経った後のサウンドを再現しているプリウォーギターといったところでしょうか。 そして、メリルと比べてどうなのかと気になる人もいると多いですかね。 私の感覚だと、メリル自体も2000年代と2010年代とでは音作りが変わっていて、ダークからブライトな方向にシフトしているイメージです。 プリウォーギターに関しては、2000年代のメリルのダーク寄りな音色をもっと濃く仕上げたものと思ってもらえば良いかなと考えています。 次回は、トラディショナルシリーズをオーセンティック、プリウォーギター、メリルと比較してみたいと思います。 ■関連記事 ・ 「Collings」のすすめ。 ・ 追悼:ビル・コリングス(1948-2017) ・ コリングス、おそるべし(トラディショナル・シリーズ)!!! ・ 「Collings」の試奏で学んだこと。Martinの魅力を再認識。...

「Collings」を語る。その④:マーティン・オーセンティック・シリーズとの比較

  今回は、皆さんが興味を持たれているであろうコリングスのトラディショナルシリーズと同じコンセプトである本家マーティンのオーセンティックシリーズや、最近話題のプリウォーギター(ブランド名)との比較をしてみたいと思います。 また私自身、ゴールデンエラ期の再現としては最高峰と言われるメリルであったり、マーティンの D-18(1937年製) ※マホガニー図鑑「Martin D-18(1937年製)」 00-18(1938年製) ※マホガニー図鑑「Martin 00-18(1938年製)」 000-18(1938年製) ※マホガニー図鑑「000-18(1938年製)」 000-28(1938年製)※たまにはローズの話でも(近日公開予定) を所有して弾き込んだ経験がありますので、そのあたりの経験もまじえて比較してみようと思っています。 Martin Authentic Series コンセプトとしては、当時の材料、設計、工法を再現するというもの。 まさに、「マーティンの伝統の継承」ではないでしょうか。 ネックの補強材に、当時使われていたスチールTバーやエボニーロッドを復刻したり、ヴィンテージサウンドの要といわれるニカワ接着を再現したことで話題になりましたね。 メーカーの製品ではありますが、ハンドメイドにこだわって製作されており、高品質で良いギターだと思います。 ただし、カタログスペックとしての再現性は高いものの、ある程度の量産体制を意識しているためか、内部のブレーシングの組み方など、細部では再現性が低い部分もあるようですね。 また、音色に関してもゴールデンエラ期のサウンドを突き詰めているというよりは、80年前に作られたギターが新品の頃はこんな音色だったかもねという仕上がりです。 これは別に悪い意味ではなく、あえてヴィンテージ風の鳴りを再現していないというだけの話です。 むしろ現代的な楽曲にも合わせやすく、使いやすい音色だと思います。 結論としては、本家マーティンとしては間違いなく最高峰のギターですので、新しいマーティンを所有したいという方にはベストな選択肢だと思います。 次回はPre War Guitarsとの比較を予定しています。 ■関連記事 ・ 「Collings」のすすめ。 ・ 追悼:ビル・コリングス(1948-2017) ・ コリングス、おそるべし(トラディシ...

「Collings」を語る。その③:トラディショナルシリーズの評価

  私が衝動買いしてしまったOM-2HT(Authentic Style)です。 何が凄いって、本当に音色が自然で、レスポンスも極めて素直なのです。私がローズウッドのOMに求めるもの全てが備わっています。 もちろん、個人製作家の作るギターや、ヴィンテージのような強烈な個性はありませんが、私の弾き方に応じて、様々な表情を見せてくれるのです。 当然のことながらこれ以上に素晴らしいギターも存在しますが、これさえあれば他には何もいらないとさえ思えるほどに素晴らしいギターだと考えています。 とはいえ、極めてベーシックなシトカスプルースとインディアンローズウッドの組み合わせですからね。 材フェチの方からすると、つまらないギターと思われるかもしれません。 でも、音だけは抜群に良いのです。 もしかすると、初期ロットということもあり、選びに選び抜かれた材が使われていたり、もしかすると、優秀な技術者が製作している可能性もあります。 ただ、その後に出たトラディショナルシリーズを弾く限り、いずれも素晴らしい仕上がりだと感じています。 言いかえると、シトカ、インドローズの組み合わせであっても、良質な材が選定され、優れた設計思想と、卓越した製作技術があれば、圧倒的な音色を作り出せるのだなと。 これは、ちょっとやそっとのハンドメイドギターでは太刀打ちできないなと。音は材で決まるなどと言う方もいますが、その常識を覆された気がしました。 ちなみにこのOM-2HTですが、初期ロットということもあり、ネックの形状がかなり肉厚のオーセンティック仕様となっています。 これだと弾き難いなどと言われる方もいらっしゃるとは思いますが、この肉厚なネックでないと出せない音があるんですよね。 例えるならば初期のGibson J-45も、通称ベースボールバットなどと呼ばれる極太ネックで有名ですね。もちろん、コリングスはそこまで太くありませんが。 その後、トラディショナルシリーズのネックは、レギュラーシリーズに近い細身なものに変更されています。 でも、ビル・コリングスがこだわって設計したであろう初期のオーセンティックネックが奏でる音色は素晴らしいですので、機会があれば是非試していただきたいと思います。 などと、いろいろと書いていますが、結局のところ皆さんが気になるのは同じコンセプトのギター、例えば、マーティンのオー...

「Collings」を語る。その②:トラディショナルシリーズの誕生

  実物はもっと美しい、Traditional Case! 今回は2016年に発表されたトラディショナル・シリーズの話題です。 ヴィンテージサウンドの要と言われるニカワ接着に、オールラッカー塗装の復活、そして今となっては貴重となったトラディショナル・ケースなどで話題になりましたね。 ケースに至っては、ビル・コリングスが開発に4年もの歳月をかけたそうで、気合のほどがうかがえます。 ※むしろ、採算が合わなかったのか、すぐに製造終了となってしまいましたが。 実際に弾いてみるとわかるのですが、そういったヴィンテージ的な仕様だけではなく、それ以上に細かいこだわりを随所に感じることができるんですよね。 私が気付いただけでも、レギュラーシリーズと比べて全体的に軽量化されていること、ブレーシング(内部の補強材)の削り方、質量のある太めのネックシェイプ、ノータンブレーシングの採用、ブリッジ側の弦間隔が広げられるなど様々な違いが見られました。 きっとそれ以外にもこだわりがたくさん詰まっているはずで、仕様だけではなく「ヴィンテージサウンドの追求」こそが真のコンセプトであることが伝わってきます。 当時、ビル・コリングスも語っていましたが、このヴィンテージサウンドの追求という点では、コリングスのサブブランドであるウォータールーで得られた経験が大きかったようですね。 ウォータールーですが、カラマズー(ギブソンのサブブランド)等のような古き良きギターが持つ魅力を再構築することが狙いだったのかなと私は感じています。 良い意味での粗さと、コリングスの精緻さが絶妙にブレンドされたヴィンテージ感溢れる素晴らしいギターでした。 私的には、このヴィンテージ的な感覚(音の柔らかさ、優しさ、奥深さ)が、コリングスがマーティン寄りの音色に近づいたと感じさせる一因だったりもするんですよね。 また開発に当たっては、ジャズギターの鬼才ジュリアン・レイジが関わっていたそうですね。 ジュリアンがコリングスを訪問した際に、OM-1A※の製作を依頼したことがはじまりで、たまたまコリングス側でも、トラディショナル・シリーズの開発に着手した頃だったこともあり、その流れで企画に参加することになったようです。 ※サイドバックがマホガニー、トップがアディロンダックスプルースのOM(オーケストラモデル) ジュリアン曰く、 「新品の...

「Collings」を語る。その①:楽器としての魅力

前回の「Collingsのすすめ」は、楽器と言うよりもブランド・製品としてコリングスがいかに優れているかに着目していましたので、今回は「Collingsを語る」として、楽器としての魅力について触れていきたいと思います。 普通はブランドの成り立ちや、創業者ビル・コリングスのことから語りはじめるものだとは思いますが、それは「Collingsを語る。その⑤」くらいで備忘録的にまとめておくつもりです。 まずは私が語りたいことから語らせて下さいw 私がコリングスの凄さをはじめて体験したのは、2014年に行われた「Varnish弾き比べツアー」の時でした。 この頃、コリングスが力をいれていたヴァーニッシュ塗装の良さを広めるため、コリングスを取り扱っている様々な店舗にて試奏会のようなものを開催していたんですよね。 私自身は残念ながらタイミングが合わず、この企画に参加できなかったのですが、ドルフィンギターズ恵比寿店さんにお邪魔した際に、この企画を真似た弾き比べをさせてもらったんですよね。 この時は、塗装方法の異なるドレッドノートとOMを弾かせてもらいました。塗装の違いによる変化、特に音の広がりや倍音感の違いなどを体感し、塗装だけでこんなにも変わるのかと驚かされたものでした。 ただ、この時点では私の経験や技術がまだまだ未熟でした。もちろん、楽器としての素晴らしさは理解できたものの、この楽器がもつ真の魅力までは気付くことができていなかったと思います。 その後、コリングスについても勉強を重ね、どうやら創業当初はマーティンと同じラッカー塗装を用いており、それがまた素晴らしい音色だということを知りました。 またその中でも、シリアルナンバーが三桁のものが「三桁コリングス」などと呼ばれ、プレミアが付いていることも学びました。 ※ラッカー塗装は1000番台前半でも存在します。 ということもあり、「ラッカー時代のコリングスが最高なはず!」という思い込みのもと、90年代半ば頃までのモデルを狙って試奏をしていました。 そうすると、何本弾いてもクッキリ、カッチリのコリングスサ・ウンドなんですよね。 いくらマーティン・スタイルではあっても、コリングスは別の楽器なんだなという印象を持っていました。 私の演奏スタイルとしては、ちょっと扱いにくい硬い音に感じていたわけです。 でも、たまにですが、柔らかなニュアンス...

「Collings」のすすめ。

ブログをはじめて8年目となりましたが、私自身、それなりの経験を積んできたと思います(思っています)。そういった中で、これだけは間違いないと言えることがあります。 それは「コリングスはやはり凄かった」ということです。 これは昔から変わらずに感じてきたことではありますが、その時期によって感じる凄みが変わってきていたりします。 今回はその辺をお話していきたいなと。 (第一波) はじめてコリングスを弾いた時の衝撃。今でも鮮明に覚えています。 良いギターとはこのことを言うのかと、、、実力の違いを見せつけられました。 ただ、あまりの精度の高さと、鳴りの良さで、この頃の私には、とても使いこなせる道具ではないとも思いました。 (第二波) その後、私自身、様々なギターを弾いてきました。 ヴィンテージならではの味わい深さを知ったり、個性豊かなルシアものを学んだりと、いろんなギターを体験し、学習してきました。 そうやって、経験値を上げたからこそ見えてきた、コリングスの凄さというものもありました。 私がようやく、コリングスの楽器としての完成度の高さを理解できるようになったのかもしれませんね。 この頃には、私の演奏面での技術力が上がってきたことで、道具としてのコリングスの優秀さが見えてきた時期でもありました。 (第三波)・・・今です。 そしてさらに凄いと思わされたのが近年モノのコリングスなんですよね。 もう既に最高峰、完成形と思っていたギターが、成長を止めることなく、更なる進化を遂げていくのです。 なんなんだ、このメーカーはと。 現時点の感想ではありますが、結局、コリングスであれば、自分の表現したい音楽を全てカバーできるのではないか、あとは自分の技術を高めるだけなのではないか、と思うようになりました。 私がここまでべた褒めするコリングス、一体何が凄いのか。 一般的によく言われている、 高品質(ハズレ個体がない) 丈夫(トラブルもない) 木工精度の高さ については、あえてここでは触れませんが、私ならではのコリングスをすすめる3つの理由をお話ししたいと思います。 ①メーカーならではの強み 単に高品質なギターというだけであれば、個人製作家のギターでもいいでしょう。 でも、コリングスにはそれ以上の強みがあるのです。 個人製作家にはなくて、コリングスにあるもの。 それは、研究開発に使える予算すなわち「...

メイドイン御茶ノ水「Hobo's Works」をオーダーする④ 完成編

ついに出来上がりました。 早速、試奏させてもらいましたよ。 で、感想を書こうかと思っていたのですが、 友人のギターですし、 お店との付き合いもありますし、 どうせ褒めるだけになりますので、 あえて音色は語らず、 今回の友人のオーダーで私が ハンドメイドギターについて感じたことを まとめておきたいと思いました。 今回、改めて感じたのは 「ギターをオーダーするって本当に難しい」 ということでした。 私がオーダーするとした場合、 不安に感じる要素としては、 ①製作家の方が、何本くらい作れば その個性を確立できるのか (=自分だけの音を持っているのか) ②本数を作れば作るほど技術は 熟練するはずだが、同時に慣れがでてきたり、 熱意が減ってきたりするのではないか (=製作家のキャリアピークはいつなのか) ③製作家の音の好みは一定ではなく 変化し続けるものであり、また、 設計や構造でも様々なチャレンジをするはずで、 そういった中でどのタイミングで オーダーするのが良いのか ④オーダーするタイミングで、 どれだけ良い材が入手できるのか。 一方で、早くオーダーしないと良い材が さらに枯渇してしまうという問題も。。。 ⑤実は、出来上がってみないと どんな音になるかわからない 製作家が多いのでは?(という疑念) などなど。 経済的にも、時間(寿命)的にも 何本でもオーダーできるわけではないので、 どうしても慎重になってしまいますよね。 それにギターは必ず試奏してから購入すべき と言われますが、完成していないギターを オーダーすることってかなりのギャンブル だと思うのです。 まぁ、あれこれ考えていると、 オーダーなんてできなくなってしまうのですが。 とはいえ、その製作家に何らかの 魅力を感じたからこそ、 オーダーしてみようと考えたわけで、 そう思えた時点で①②③に関しては クリアできているのかもしれませんね。 ただ、たまたまその関心を持った個体が 魅力的だったのか、その製作家が作る ギターに共通している魅力なのかという部分は、 分けて考える必要があります。 そのためには、ある程度の本数を 試奏する必要がでてきますね。 そういうことを踏まえると、 実は最も重要なのは④の材探し なのかもしれません。 良い材はこれからも どんどん消費されていきますし、 木の成長やその後の乾燥なども含めると、 ...

メイドイン御茶ノ水「Hobo's Works」をオーダーする③ 製作編

今回は製作過程の話になります。 私がブログの更新をサボっている間に、 製作が進むこと、進むこと。 製作家の岡さん曰く、 音のイメージが出来上がっているので、 一刻も早く作り上げたかったとのこと。 イメージ通りの音色のギターが できあがるのではないかという 期待感が高まるとともに、 もうちょっと製作過程を 楽しみたかったという思いも・・・。 ただ、本気で過程を 楽しみたいのであれば、 もっと頻繁にお店に足を運ぶだけで 解決できるんですよね。 メイドインお茶の水なので。 お茶の水に 楽器を見に来たついで でもいいですし、 神保町に カレーを食べにきたついででも、 神田に 蕎麦を食べにきたついででも いいんです。 ついでにHobo'sで ギターの弦でも買って帰れば、 お店側も嬉しいでしょうしね。 やはり、自分のギターを オーダーしたからには、 製作過程も含めて楽しみたいですよね。 今回は一気に仕上がってしまった こともあり、 画像をアップすることが メインになってしまいますが、 個人的に興味を持ったのは 岡さんからのブレーシングの説明でした。 ゴールデンエラとかプリウォーと 言われる 1930 年代の仕様でも、 ブレーシングの削り方や、 組み合わせ方など、 加工が微妙に違っているそうで、 その辺りの年式ごとの違いについて 詳しく説明を聞かせていただきました。 この辺りは、ホンモノを 長年見てきた岡さんならではの知見だなと。 また、友人がこだわっていた ネックの形状についても、 ある程度削った段階で 最終確認をさせてもらっていました。 実際には、 この状態から塗装が加わるので、 若干太くはなるのですが、 実際に自分の目で、 そして手で触って確認できたことで、 とても仕上がりに納得しているようでした。 後は塗装をして、完成を待つのみです。 楽しみですねー。

メイドイン御茶ノ水「Hobo's Works」をオーダーする②  材選び編

今回はみんな大好き「材」選びです。 自分の目で見て、自分の手で触って、 完成した時の音をイメージしながら材を選ぶ。 これはオーダーした人だけが楽しむことが できる至福の時間ですよね。 この材選びについても、 メイドインお茶の水 ならではの魅力に気づきました。 普通、ギターをオーダーする場合、 オーダーすると決めた時点での在庫の中から 材を選ばなくてはいけませんよね。 納得のいく材がなかったとしても 「やっぱり、注文やめます」とはなかなか 言える雰囲気ではありません。 でも、メイドインお茶の水の場合だと、 ふらっと楽器を見に来たついでに、 たまたま良い材が入荷していれば、 そのタイミングでオーダーできるわけです。 まるで楽器を選ぶように、 材を選ぶことができる。 これって、画期的なことだと思いませんか? これは製作者側にもメリットがあって、 普通はどんなオーダーが来るかわからないから、 様々なバリエーションの材を確保しておく 必要があるわけです。 材の選択肢が少ないと、そもそもオーダーが 来ないかもしれませんからね。 そして、在庫をたくさん抱えると言うことは、 いつか売れ残った材を使わないといけない日が 必ずやってきます。 ギター作りも商売ですからね。 でも、せっかくオーダーするのであれば、 残り物ではなく、自分自身で納得して選んだ 材でギターを作りたいですよね。 また個人ではなく、店舗としてギターを 製作しているということで、 いろいろメリットもあるようです。 良い材の入手経路は企業秘密、 トップシークレットなわけですが、 国内外を問わず、メーカーや個人製作家と 繋がりがあることで、様々な入手経路を 確保できているようです。 今回、「良いマホガニーがありますよ」と 紹介された材は、国内某所にて 40 年以上も 自然乾燥された最上級のものだったと 聞いています。 以前紹介した 1935 年製の「 Martin 0-17 」でも 感じたことですが、上質のマホガニーからは 驚くほど素晴らしい音色を奏でますからね。 トップ材についても、 海外のトップルシアから 入手した 最上級のアディロンダックスプルースを 選んでいます。 製作家の岡さんから、この材の特性について 丁寧な説明をしていただき、友人も納得して 材を選ぶことが できたようです。 我々素人が材を選ぶ際には、どうして...