ついに出来上がりました。
早速、試奏させてもらいましたよ。
で、感想を書こうかと思っていたのですが、
友人のギターですし、
お店との付き合いもありますし、
どうせ褒めるだけになりますので、
あえて音色は語らず、
今回の友人のオーダーで私が
ハンドメイドギターについて感じたことを
まとめておきたいと思いました。
今回、改めて感じたのは
「ギターをオーダーするって本当に難しい」
ということでした。
私がオーダーするとした場合、
不安に感じる要素としては、
①製作家の方が、何本くらい作れば
その個性を確立できるのか
(=自分だけの音を持っているのか)
②本数を作れば作るほど技術は
熟練するはずだが、同時に慣れがでてきたり、
熱意が減ってきたりするのではないか
(=製作家のキャリアピークはいつなのか)
③製作家の音の好みは一定ではなく
変化し続けるものであり、また、
設計や構造でも様々なチャレンジをするはずで、
そういった中でどのタイミングで
オーダーするのが良いのか
④オーダーするタイミングで、
どれだけ良い材が入手できるのか。
一方で、早くオーダーしないと良い材が
さらに枯渇してしまうという問題も。。。
⑤実は、出来上がってみないと
どんな音になるかわからない
製作家が多いのでは?(という疑念)
などなど。
経済的にも、時間(寿命)的にも
何本でもオーダーできるわけではないので、
どうしても慎重になってしまいますよね。
それにギターは必ず試奏してから購入すべき
と言われますが、完成していないギターを
オーダーすることってかなりのギャンブル
だと思うのです。
まぁ、あれこれ考えていると、
オーダーなんてできなくなってしまうのですが。
とはいえ、その製作家に何らかの
魅力を感じたからこそ、
オーダーしてみようと考えたわけで、
そう思えた時点で①②③に関しては
クリアできているのかもしれませんね。
ただ、たまたまその関心を持った個体が
魅力的だったのか、その製作家が作る
ギターに共通している魅力なのかという部分は、
分けて考える必要があります。
そのためには、ある程度の本数を
試奏する必要がでてきますね。
そういうことを踏まえると、
実は最も重要なのは④の材探し
なのかもしれません。
良い材はこれからも
どんどん消費されていきますし、
木の成長やその後の乾燥なども含めると、
今よりも良い材が市場に出回る確立は
極めて低いでしょうからね。
(少なくとも自分が生きている間には)
そして最後の⑤です。
本当に音のイメージを持って製作していますか?
という疑念です。
正直、高い金額を支払うので、
作ってみなければわからないでは
ちょっと任せられないなと思ってしまうのです。
でも、これについては2種類の製作家が
いるのかなと整理するに至りました。
一つが、今回のホーボーズの岡さんのように、
自分の個性が確立されていて、かつ、
何をどう変えればどう音が変わるのかを
イメージできている製作家。
もう一つは、顧客からの様々なオーダーに
こたえるオーダーメイド型の製作家。
どちらが良い悪いではなく、
結局は顧客が求めるものをどこまで
提供できるのかなんだなと。
また、どちらの製作家のスタイルも、
顧客からの要望を取り入れつつ、
自分の個性(音色)の範囲のどのあたりで
着地させるのかというのが技量になるのかと。
そこが、オーダーしてまで購入したいと
思わせる個性の確立と顧客満足度に
影響を大きく与える部分だなと。
継続して人気のある製作家というのは、
きっとその辺のバランスと、
顧客とのコミュニケーションが
うまいんだろうなと。
だから、
ぶっちゃけ作ってみなければわからないとか、
作ってみてどんな音になるか楽しみだなんて
言っちゃう製作家の方がいてもいいのかなと
思えるようになりました。
その出来上がったギターで
どれだけ顧客が満足できるかが勝負ですからね。
長文になってしまいましたが、
とにかくオーダーするからには、
自分がどれだけ楽しめるのかを
徹底的に追及すべきだなと
改めて感じた次第です。
※音の立体感、奥行きが素晴らしかったですよ。