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国内ルシアーが作るハンドメイドギターついて考える。

Sakata Guitars 00-28B (Brazilian rosewood) とあるクラシックギター専門店にて。 店員さんとギター談義をしている中で、 海外ルシアーものと、国内ルシアーものの違い について話題になりました。  店員さん曰く、昔はギターをどうやって作っているのかさえ、わからなかったと。 だから分解して調べて、似たものまでは作れるようにはなった。 でも、 肝心な部分でノウハウが足りていなかったから 、音までは近づけることができなかったと。 今では、簡単に詳細な情報が手に入るようになり、技術力も上がった 。 だから、国内ルシアーでも素晴らしいアコギが作れるようになりましたよと。 クラシックギターの話ではありますが、きっとアコギも一緒なんだろうなと思いました。 特に、私の好きなマーティンに限定した場合、マーティンの基本的な設計というのは、既に広く知られているわけです。 となると、それを自分の理想の音に近づけるために、どのような素材を選ぶのか、どのようにチューニングするのか、そして、どのルシアーを選ぶのかが重要になってきます。 マーティン系のルシアーでは、ジム・メリルやジュリアス・ボージャスが有名です。 でも、二人とも海外のルシアーですので、コミュニケーションを取るのは難しいですよね。 そして二人には、マーティンの黄金期と言われる1930年代のギターを再現するといった明確なポリシーがあります。 そのため、私が音や形を注文する余地はなく、もう決まった音、形があるわけです。  その点、 日本人のルシアーですと、直接話をしたり、演奏を聴いてもらったりして、音のイメージを共有したり、細かい仕様まで注文することができます 。 さらには、 直接、工房までお邪魔すれば、木材を自分で選ぶこともできます 。 これは絶対に面白いはずだと思ったわけです。 というわけで、思い切って注文してみようと。  注文にあたって、いろいろなルシアーを研究しているうちに、驚愕の事実を知りました。 なんと、先日衝動買いしたSakata Guitarsさんでは、「 幻のキューバンマホガニー 」を取り扱っていたのです。 ↓↓↓ 「 赤い黄金マホガニー 」 ...

岸部眞明さんのライブに行ってきました。

岸部眞明さんのインストアライブ@恵比寿ドルフィンギターズに行ってきました。 いわゆるソロギターと言われるジャンルにも、いろいろなスタイルがありますが、岸部さんの場合は、演奏も良いのですが、それよりも圧倒的な楽曲の質の高さが凄い! 今日演奏したものでは「昭和ロマン」、「花」、「雨降る窓辺で」など、歌心溢れまくりです(笑) 当日は、それらに加え、ビートルズのカバーや、次回作に収録予定という新曲を織り交ぜた約2時間の構成でした。 日本的でちょっとレトロな旋律や、オープンチューニングによる独創的な響きなど、随所に岸部さんらしさが感じられ、とても楽しめました。 そして、岸部さんと言えば「Water Road」ですよね。 群馬県在住のルシアー「増田明夫」さんの作品で、トップはジャーマンスプールース、サイドバックにはマダガスカルローズウッドが使われています。 私はハカランダのものを試奏したことがありますが、普通にストロークするだけだと、癖の少ない上質なアコギという印象なんですよね。 それが、オープンチューニングに変え、指で爪弾くと、音が化けるんです。 単音の魅力で聞かせるギターというよりは、6本の弦の絶妙なバランスで聞かせるギターですかね。 フィンガースタイルには最適だと思いました。

ショートスケールのアコギについて考える その①

ショートスケールの「000-18GE(2006年)」 以前からアコギについて、考えていたことがありました。 それは、、、 「 ショートスケールのアコギが、ソロギターに向いているのではないか 」ということです。 私の演奏が下手なせいもあるのですが、、、 ドレッドノートやOMといったロングスケール(645mm)のアコギでソロギターを演奏すると、どうしても低音が強く出過ぎてしまい、 メロディラインが埋もれてしまう んですよね。 特に、私の好きなマーティン系でロングスケールのものだと、構造上、どうしても低音が強く出てしまうんです。 でも、ショートスケール(632mm)のアコギに持ち替えると、同じ弾き方をしていても、音のバランスが変わってきます。 「 低音は抑えられ、自然とメロディラインが浮き出てくる 」のです。 倍音は減ってしまいますが、その分、 ひとつひとつの音がくっきり明確になります 。 これって「 メロディラインが重要なソロギターに向いているんじゃないか 」と思ったわけです。 もちろん、ショートスケールのアコギが、全てのソロギターに適しているわけではありません。 そして、変則チューニングが必要な場合に、弦のテンションが足りなくなることもあるかもしれません。 でも、楽曲や演奏方法によっては、このショートスケールの強みを活用できるのではないかと思うわけです。 まあ、演奏技術さえあれば、ドレッドノートでも上手くコントロールして、何でも弾きこなせるのでしょうが。 ショートスケールでのソロギターについては、今後も研究していきたいなと思っています。

ハンドクラフトギターフェス 2014に行ってきました(後編)。

SUMI工房 S-00MC 「 ハンドクラフトギターフェス2014に行ってきました。 」の続編です。 試奏をして、とても気になっていたアコギがありました。 それは、SUMI工房さんの「S-00MC」、「S-00LM(ラージサウンドホール)」と、Sakata Guitarsさんの「CW-28B」です。 でも、フェスの会場は盛り上がっていますからね。 残念ながら、アコギの音色をしっかり確認できるような環境ではないんです。 ということもあって、いつか静かな環境で試奏してみたいなと思っていたんですよね。 ある日、友人と楽器屋巡りをしていた時のことです。 本当に偶然なのですが、そのお気に入りのアコギ達と再び出会ってしまったのです。 それは「S-00MC」、「CW-28B」です。 「S-00LM」も他店に入荷されたようなのですが、すぐに売れてしまったそうです。 やはり、いいアコギは足が早いですね。 というわけで、思いっきり試奏してきましたよというお話です。 まず、SUMI工房の「S-00MC」ですが、やはり素晴らしいアコギでした。 トップの赤蝦夷松とサイドバックのホンジュラスマホガニーの相性が良く、マホガニーらしい温かい音色が秀逸でした。 また、ダブルオーサイズということもあって、レスポンスが良く、自分の思い通りにギターが反応してくれます。 派手さはありませんが、素材と設計と作りの良さが揃った素晴らしいアコギだと思いました。 そして自分的に衝撃だったのが、Sakata Guitarsの「CW-28B」でした。 深く沈みこむ低音に、濁りのない美しい高音に思わず絶句。 以前から評判は聞いていましたが、マスターグレードのアディロン・トップと、プレミアムグレードのハカランダ・サイドバックを使って作られた坂田ギターが、これほどまで凄いとは。 今まで、ビンテージも含め、ハカランダのアコギは何本も弾いたことがありましたが、新品の状態でこれだけの音が出るものははじめてでした。 とその時、、、 店員さんが、まだ店頭に出していなかったハカランダの「00-28B」を私にそーっと手渡したんですよね。 というわけで、友人宅にはSUMI工房の「S-00MC」が、、、 そして私の家にはSak...

ネック材としてのマホガニーを考える。

ネックはプレイヤーにとって最も重要な演奏性に関わる部分です。そのため、最高のフィーリングを作り出すために、細かな調整ができるよう、製作者にとって加工しやすい素材である必要がありました。それに加えネック材には、軽さ、弾力性、剛性といった特性が求められるため、それらの特性を備えるマホガニーは、最良のネック材として扱われてきたのです。 それが2005年頃のことでした。Martin社のネックの表記が「Genuine Mahogany」から「Select Hardwood」に変更されてしまったのです。エントリークラスのモデルだけならばまだしも、Style 40系やAuthentic Seriesといった上位モデルでさえも変更されてしまったので、正直、驚かされました。もしかすると、それ以前にもマホガニー以外の素材が使われていた可能性もありますが。 ちょうどよい年代のアコギがありますので、比較してみましょう。画像左が「D-18GE(2004年製)」、右が表記が変更された後に販売された「000-18GE(2006年製)」です。木目から判断して、両方ともマホガニーネックですね。ただ、トリプルオーは、塗装が厚く、写真だとわかりにくいかもしれませんが、実物ではうっすらとマホガニー特有の黒い導管が確認できます。そのため「Select Hardwood」だからと言って、マホガニーが使われなくなったというわけではないのです。 これは人から聞いた話ですが、Martinでは「Select Hardwood」として、マホガニーや、その代替材として期待されているサペリ、クラシックギターなどでも使われているスパニッシュシダー(セドロ)を使用しているそうです。私がマホガニー以外で見たことがあるのは、スパニッシュシダーのネックで、明るめの色合いと木目から、それとなく判断できるものでした。一応、試奏はしてみましたが、音色の違いまでは感じられませんでした。 というのも、音だけの観点であれば、ネック材よりも、トップやサイドバックの個体差の方が影響は大きいですし、ネックに限定した場合でも、多くのルシアーが重要なのはネックの種類よりも密度だと言っていますからね。ですので「音」よりも「モノ」としてどこまでマホガニーにこだわるのかということになりますね。

アコギストの爪の形を考える。

実は最近、爪が割れていないんです。 それは、爪で弾くことになれてきたのか、爪の補修液の効果なのか、仕上げ用のガラスヤスリの効果なのかはわかりませんが。ただ、もしかすると、今の爪の形が良いのではないかと考えています。画像は私の最近の爪の形ですが、爪の先をフラットに仕上げているのがわかりますかね。 爪については、日々研究を重ねてはいるのですが、女性向けのネイルサイトで爪の形とその特徴を学習したので、私なりにまとめてみたいと思います。 ①ラウンド : サイドがストレートで、先端がやや平らな形 ②オーバル : ラウンドの角をさらに削って丸みをつけた形。細い分、若干強度は落ちる ③ポイント : オーバルの角をさらに削って尖らせた形。尖っている分、強度は弱い ④スクエア : 角がある四角い形。強度は高いが、角が尖っているため、日常生活でひっかかりやすい ⑤スクエアオフ : スクエアの角に少し丸みをつけた形。強度も高く、日常生活での影響も少ない。 爪を伸ばしはじめた頃、爪と弦の接点は小さい方が良いと考え、②オーバルや③ポイントのような形をイメージしていたんですよね。ギターのピックってティアドロップ型だったりするじゃないですか。なので、先が細い方が弾きやすいのかと。でも、それだとすぐに割れてしまって。 そこで最近は、①ラウンドや⑤スクエアオフの形を目指していたのです。すると確かにアコギを弾いているときもそうですが、日常生活でも割れにくくなったんです。弾きやすいかと言われるとまだちょっと違和感はあるのですが、しばらくはこの形で練習してみようと思っています。 これなら自爪だけでもいけるかもしれません!

ハンドクラフトギターフェス 2014に行ってきました(前編)。

現代の名工によるハンドクラフトギター&ウクレレの展示会。 今年で10周年を迎えたそうですね。 MartinやGibsonであれば、日本全国の楽器屋さんで試奏できますが、国産のルシアーものとなると、なかなか触れる機会がないですよね。 というわけで、思いっきり試奏してきましたよ(笑) 今回は、SUMI工房、エム・シオザキ弦楽器工房、Sakata Guitars、スギタケンジ、Collings、Furch(フォルヒ)の計18本を試奏してきました。 これだけの国産ハンドメイドギターをまとめて試せる機会はなかなかありませんからね。 本当に勉強になりました。 その中でも「SUMI工房」の作りの良さには驚かされました。 若いマホガニーであれだけの音がだせるとは。 また会場内では展示会の他にも、ライブが同時開催されていました。 私は打田十紀夫先生や、クラシックギターの掛布雅弥氏、そして松井祐貴氏の演奏を見てきました。 打田先生のライブでは、いつものシグネイチャーモデル「Morris SC-16U」、スライド用のリゾネーターに加え、ハンドクラフトフェスということもあり、ホンジュラスマホガニーのYokoyama Guitars、メイプルのシオザキギターの4本構えでした。 画像は塩崎ギターですが、ビンテージマーティンのような甘いトーンが心地良かったですね。 ライブに試奏にと一日遊べてたったの1,300円。 私的にはとても満足できたイベントでした。 ※続編はこちら「 ハンドクラフトギターフェズ 2014に行ってきました(後編)。 」

近年モノのアディロンを考える(ゴールデンエラのススメ)。

アディロントップの「D-18GE(2004年」、「OOO-18GE(2006年)」 最近、トップ材に希少材と言われる 「アディロンダック・スプルース」 を使用したアコギを頻繁に見かけるようになりました。 このアディロンですが、、、 その軽くて強い特性から、かつては飛行機の部材として使われていたそうです。 そのため、第二次大戦での戦況の拡大に伴い、乱伐され枯渇してしまったんですね。 その後、長い間、希少材とされてきましたが、植林による効果でしょうか。 アコギ材として一般に流通できるまで、環境が回復したようですね。 そのため、マーティンのアディロントップを手に入れるには、 「1946年以前のビンテージ」 を入手するしか方法がありませんでした。 それだけに、新品でもアディロンを入手できるようになったことは、ありがたい話ですよね。 若いアディロンには、ビンテージほどの味わい深さはないかもしれませんが、それでも十分にアディロンの魅力を堪能できると思います。 そんなアディロンの魅力を知る上で、オススメしたいのが、 この「 ゴールデン・エラ・シリーズ 」です。 マホガニーに限定した話をすると、、、 1999年のドレッドノートの「D-18GE」にはじまり、2003~2005年にはオーケストラモデルの「OM-18GE」、2006~2013年にはオーディトリアムの「OOO-18GE」が発売されています。 1995年にも「D-18 Golden Era」といったモデルが発売されましたが、これはGuitars Of The Monthとして製作されたもので、トップにシトカスプルースが使用された別モノです。 このゴールデン・エラ・シリーズですが、面白いもので、仕様上は黄金期の再現を目指しているのですが、 音作りは極めて現代的 なんですよね。 「 タイトで力強い低音に、アディロン・マホならではの主張のある中高音 」が特徴です。 また、アディロントップに加え、 フォワードシフテッドスキャロップドXブレイシング ですので、レスポンスが良く、軽く爪弾いただけでもめちゃくちゃ鳴ります。 ですので、フィンガースタイルには最適ですね。 ストロークでは、むしろ、鳴りすぎるくらいかもし...

マホガニーに合うトップ材を考える。

アディロンダックスプルースの木目 アコギの音はトップ材で決まると言われます。 それだけに、、、 マホガニーの魅力を最大限に引き出すことのできる トップ材を選びたい ですね。 毎度のことですが、マーティンのStyle 18を例にして考えてみたいと思います。 Style 18は、サイドバックにマホガニー、トップにスプルースの組み合わせです。 トップ材には、1945年までがアディロンダックスプルース、それ以降はシトカスプルースが使われています。 音の傾向としては、、、 シトカはスッキリとした端正な音色 、 アディロンは太くて艶のある音色 が特徴になります。 ここで代表的なトップ材の比重をチェックしてみましょう。 アディロン(0.32~0.35) イングルマン(0.32~0.35) レッドシーダー(0.36~0.40) シトカ(0.41~0.45) ジャーマン(0.41~0.45) シトカに比べ、アディロンは軽いんですね。 この軽さが「 レスポンスや鳴りの良さ 」に繋がっているのでしょう。 つまり、、、 マホガニーの特徴のひとつであるレスポンスの良さを伸ばす組み合わせが「 アディロン・マホ 」なわけですね。 また、マホガニーの柔らかさの中に、アディロンの腰の強さや艶のある音色を加えることで、絶妙なサウンドが作られるわけです。 ちなみに、見方を変えると、、、 重い素材を鳴らすには、強い力が必要ですので、ハカランダやローズウッドのような音響特性の優れた素材の方が向いているわけですね。 そういえば、ジャーマンスプルースとマホガニーの組み合わせって見かけないですよね。 などと、アディロン好きな私ではありますが、シトカスプルースとの組み合わせも十分に魅力的だと考えています。 特に 「ビンテージの枯れたシトカの音色」 は堪らないものがあります。 ただ、シトカのビンテージも、決して安くはないですし、コンディションの良いものになかなか巡り合えないですからね。 とりあえず、音の良いマホガニーに触れてみたいのであれば、近年モノのアディロンをオススメしたいと思います。

チェコ製の仕上げ用ヤスリを購入しました

とあるクラシックギター奏者を参考にして、 私もきめの細かい ガラスヤスリ を購入してみました。 これはチェコ製のものらしいのですが、 実際に使ってみたところ、驚きの効果がありました。 軽く削っただけでも、「 爪の表面が滑らか 」に、 「 きめ細やかになったことがわかる程 」です。 スチール弦では微妙かもしれませんが、 ガット弦では、確かに音が変わるかもしれません。 また、表面がざらついた状態でスチール弦を弾くと、 爪がもろくなり、割れやすくなっていたように感じていましたが、 ギターを弾く前にこのガラスヤスリで整えてやれば、 爪の割れを回避できそうな気がします 。 こればかりは、しばらく使ってみないとわかりませんけどね。 日々のお手入れの大切さを痛感させられている今日この頃でした。