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これだけアコギに散財してきた男が、どのようなエレキを購入するのか①

31年前、この本を見て、通販ではじめてギターを買いました。 アコースティックギターの話題一本でやってきた当ブログではありますが、すみません、ついつい魔がさして、エレキギターを買ってしまいました。 別にみなさんに謝る必要もないのですが、どちらかというと自分自身に対する罪悪感みたいなものが大きいんです。 というのも、友人がフェンダーのカスタムショップを購入した影響をもろに受けて、衝動買いしてしまったようなものだったので。 そもそも、10年前にアコースティックギターを本気ではじめようと思ったのは、アコギがとても健全な趣味だと感じられたからなんですよね。その理由は以下の通りです。 ①自己完結できる 南澤大介先生の、ソロギターのしらべ、これは衝撃でした。 ギターを弾くのは好きだけど、バンドは組んでいない私のような人間や、自分が弾きたいと思う楽曲は難しすぎて弾けないけど簡単な曲なんて弾いていてもつまらない、みたいな悩みをぶち壊してくれたのです。様々な難易度の楽曲と原曲をリスペクトしたアレンジ。正直、これ以上のものは何も要りませんでした。 必要なのは、アコギと楽譜と練習する根気だけ。これは一生ものの趣味にできると思いましたね。 ②正確な楽譜(スコア、TAB譜) 学生の頃、バンドでエレキギターを弾いていた私ではありますが、当時から、やはりスコアがいい加減だな、と思うことは多かったですよね。(友人でスコアを実際に書いている人もいましたし) まぁ、正確なスコアがあったとしても、その通りに弾けるわけでもないのですが、練習をしていく上で、素人が見ても違うなと思う楽譜で練習をするのはなかなか気が進みませんでした。 その点、先ほどのソロギターのしらべなどは、編曲した本人が楽譜を書いていますので、100%信頼できるんですよね。 さらには、直接本人にレッスンを受けることができますので、これは楽器を練習するモチベーションアップに繋がりました。 ③経済的にも無駄がない アコギを本気でやろう、と思ったのはこの理由が一番だったかもしれません。 まず、アコギについては、中古やヴィンテージの市場が成熟していると感じました。 特にヴィンテージの場合は、アコギの本場である米国のプライシングがベースになりますので(当然のことながら、米国は日本よりも市場が成熟しています)、ぼったくられる心配がないと考えました。 そし...

『マーティンのテーパード・ブレーシング』実物を試奏してきました!

  1948年製のMartin 000-18 過去記事「最近話題?マーティンのノーテーパード・ブレーシング」の続編です。 まずは、簡単に『ブレーシング』の説明からはじめましょうかね。 ブレーシングとは、ギター内部にある力木と言われる木で、ギターのトップやサイドバックを補強するために使われています。そもそもは補強が目的だったとは思うのですが、その力木の構造(組み方)や、形状、材質によってギターの音色が変わってくるんですよね。 で、今回は形状(スキャロップド・ノンスキャロップド)のお話になります。 マーティンでは、戦前から伝統的にこの力木をスキャロップド(削る)ことで素晴らしい音色を作ってきたんですよね。 ところが1944年、このスキャロップドは廃止されてしまいます。一般的には、より強度を求めてという話もありますが、個人的にはギター販売本数(製作本数)の増加に伴い、より生産の効率化が求められたんじゃないかと考えています。 スキャロップされていようが、なかろうが、結果としての音色が素晴らしければそれでいいはずなのですが、削って調整することをやめたと言われると、なんとなく手抜きに感じてしまうのが人間の性というものですよね。 それに加えて、戦前マーティンのプレミアムもあり、スキャロップこそ最高みたいな風潮があったりするからややこしいんですよね。 例えば、同じノンスキャロップドのギターを買うのであれば、同じスペックの1950年代、1960年代のギターであれば、1940年後半のギターよりも安く買えてしまうんですよね。そういったこともあって、なかなか手を出しにくい年代のものでした。 ※Style-28系ではヘリンボーンも廃止されていたりするので、尚更、1940年代後半スペックは人気がなかったんですよね。 そこに突如として話題となったのが「1945~1948年のモデルはスキャロップされていた!」だったというわけです。画像を見て頂いても、わかるような、わからないような、とてもなだらかなスキャロップなのですが。 ここからわかることは、マーティンの職人たちが当時、試行錯誤を重ねていたのであろう事実ですね。強度をあげ、製作本数も増やさないといけない、でも、音色に影響を与えたくない。その妥協点がこのノン・テーパードブレーシングだったのではないかと。 今回はたまたま1948年の000-1...

【売却済】カオルギター、坂崎幸之助氏のもとに!!!

先日ご紹介した「カオルギター」ですが、この画像の方がご購入されたそうで。 なななんと、The Alfeeの坂崎幸之助さんでした。 アルフィーの坂崎さんが購入されたってことは、やはり凄いギターだったんだなと、日々、後悔しております。やはり、無理してでも買っておけばよかったなと(まぁ、金銭的理由で買えないんですけどね) 今回のカオルギターは、マークホワイトブックを再現したと言われるRushと呼ばれるモデルで、ドレッドノートタイプとOM(オーケストラモデル)の2種類が入荷していましたが、画像を見る限り、坂崎さんは「Kaoru Guitar / Rush the Blood OM Cutaway Deluxe」を選んだようですね。 このRushですが、製作家の中島馨氏がオリジナルのマークホワイトブック(ドレッドノート)を借り受け、実物を手に取りながら研究に研究を重ねて製作されたとのことなので、基本的にはドレッドノートが標準系なんですよね。 このOMは、そのドレッドノートの音色や特徴を中島氏が独自の感性でOMスタイルに落とし込んだものとなります。それだけに、中島氏のセンスや設計思想がより強く反映されたモデルといえるのではないでしょうか。 実際に試奏した際も、ドレッドノートとOMで共通するフィーリングを持ちながらも、楽器としての用途を意図した作り分け(音作り)が明確になされていて、これまた凄いことだなと感じていました。 この共通するフィーリングですが、簡単に言ってしまうとジェームス・テイラーのアルバムで聴くことのできた「マーティンのようでありながら、ギブソンのようでもある音」です。そして、あのジャリっとしたまとわりつくような独特の倍音感をうまく再現できているなと感じました。 この倍音感がとても面白くて、Martin D-45のように全音域に対して倍音バリバリだと、バンド演奏の中では逆にアコギの音が埋もれてしまったりするんですよね。アコギの音をバンドサウンドの中で引き立てるには、他の楽器と重ならない周波数帯域を強調する必要があるんですよね。 そこで、このRushモデルではあえて倍音の量感やレンジを狭めることで、バンドサウンドの中でもしっかり主張できるような音作りになっています。それでいて、弾き語りで使った場合では、ギブソンよりも硬質な倍音成分が多く含まれているため、十分な倍音を出...

カオルギター現る!『裏』ハンドクラフトギターフェス2023開催!

※画像左:Kaoru Guitar / Rush the Blood Deluxe  画像右:Kaoru Guitar / Rush the Blood OM Cutaway Deluxe 毎年恒例のハンドクラフトギターフェスが開催されましたね。コロナもひと段落ということで、かなり盛況だったそうですね。 私自身はフェスには行けなかったのですが、ちょうど同じ日に、仲間内で緊急招集がかかったんですよね。なんと、カオルギターの新作が二本もお茶の水のHobo'sに入荷したというのです。これは行かねばなりません。こちらも、完全にフェス状態です。 ネットなどで調べてみても、極めて情報が少ないカオルギターということもありますので、私の知りうる情報をまとめておきたいと思います。 製作者は中島 馨氏。中学生時代に雑誌で見たドク・ワトソンの記事で、ギターの個人製作家の存在を知り、アコースティックギター製作の道を志す。中学卒業後にHEADWAY社に就職したが、当時は空前のバンドブームと言うこともあり、エレキギターの製作が中心だったとのこと。 そのため、地元熊本に戻って職業訓練所で木工製作について学び、愛媛のシーガル弦楽器工房にて塩崎 雅亮氏の一番弟子として2年間師事。1997年に熊本県にてKaoru Acoustic Craftの立ち上げに至る。その後、ジャズギタリストの渡辺香津美氏に見出され、天才ルシアとして脚光を浴びることになります。 ここで興味深いのは、昨今の日本人ルシア達とくらべて、少し早い世代だということです。あえて分類するならば、塩崎氏やSUMI工房の鷲見 英一氏の次の世代というところでしょうか。 そのため、現在とは異なり、アコースティックギターの製作に関する情報も極めて少なかった時代ですし、ビジネスの観点からもギター製作家という職業は極めて厳しい状況だったはずです。それでもギター製作に挑戦するということは、並々ならぬ情熱と、素晴らしいものをつくることができるといった自信があったということなのでしょう。 また、塩崎氏に師事したということから、極めてベーシックなマーティンスタイルの設計・製造を学んだと思われます。また当時の状況としては、海外ルシアのギターを模倣することもできなかったと思われます。 ですので、自分独自の音を作ろうと思ったら、試行錯誤を重ね、様々な創意工夫を...

マホガニーの達人「ジョン・レンボーンとGibson J-50」

  「マホガニーの達人」第二弾はジョン・レンボーン(John Renbourn)です。 ペンタングルのギタリストであり、古楽、ケルト、ブルースなど幅広い音楽性を持ち、ギタリストとして唯一無二な存在感を誇る英国を代表するギタリストですね。 ジョン・レンボーンの使用ギターというと、Gibson J-50、Guild D-55、Franklin OMあたりが思い浮かびますが、やはり私はJ-50の頃に思い入れがありますね。 アルバムでいうと「Another Monday(1966年)」「鎧面の騎士(1968年)」「The Lady And The Unicorn(1970年)」や、ペンタングル時代全般とバート・ヤンシュとの共演「Bert And John(1966年)」あたりでしょうか。 「The Hermit(1976年)」の頃まではJ-50を使用していたと本人の発言も残されていますし、おそらくこれかな?と思う音色もありますが、既に音楽的にマホガニーサウンドの必要性を感じさせるアルバムではなくなっていると感じます。 この頃になると、変則チューニングを多用するようになっていますので、どうしてもロングスケール(全長の長い)のギターを求めるようになった背景もあるのかもしれませんね。 J-50はギブソンスケールなどとも言われる626mmのショートスケールのため、ダウンチューニングなどでは音程が合いにくくなりますし、弦のテンションも下がり、響きが弱まることを気にしたのではないかと。 ちなみに、彼が使用していたGuild D-55、Franklin OMの音色の共通点としては、どこか哀愁を感じさせる音色といったところでしょうか。 J-50というと、明るくて抜けの良いマホガニーサウンドの代表格という印象がありますが、名手ジョン・レンボーンが奏でると、マホガニーらしい抜けの良さはありつつも、どこか暗くて哀愁のある音色も引き出すことができるんですよね。 この明るさと暗さといった相反するニュアンスを同居させることができるという点が、他のギタリストとは一線を画している部分なのかなと。とにかく表情が豊かなんですよね。そして、このようにマホガニーのギターから様々な表情(魅力)を引き出せる奏者こそ、私がマホガニーの達人と考える所以なのです。 この音色を出したいと思った時には「鎧面の騎士」収録...

マホガニーの達人「ジェームス・テイラーとGibson J-50」

 新企画「マホガニーの達人」です。 私がこのブログでお薦めしているサイドバックにマホガニーが使われたギター。でも、一般的には、サイドバックにローズウッドが使われたギターと比べると、万能な楽器とは言えないかもしれませんね。 ただ、言いかえると、万能ではありませんが、とても「味」のある楽器だと思うんですよね。その「味」を抜群の演奏力や、考え抜かれたアレンジの中で音楽的な魅力に昇華することができる音楽家がいるのです。この企画では、そういった人たちを「マホガニーの達人」として、紹介していきたいなと考えています。 私が真っ先に取り上げたいのがJames Taylor(ジェームス・テイラー)です。 ワーナー時代の初期三部作「Sweet Baby James(1970)」「Mud Slide Slim And The Blue Horizon(1971)」「One Man Dog(1972)」では、サイドバックにマホガニーが使われたGibson J-50を使っていることで有名ですね。 これらの作品は、1970年代のシンガー・ソング・ライターのブームを代表する名盤であるとともに、演奏・アレンジ共に現代にも通じるアコースティックギターの教科書といっても過言ではないほどの素晴らしい作品だと考えています。 また、ここでポイントとなるのが、これらの作品で聴くことのできるジェームス・テイラーの奏でる音色は、大多数の人が思い描くであろう、理想的なJ-50の音色であるということです。 ということもあって、ジェームス・テイラーの音色に憧れて、楽器屋でJ-50を試奏してみた、といった方も多いのではないでしょうか、でも、どれだけの本数を試奏してみても「あれ、違うぞ」と感じられた方は多いのではないでしょうか。 これは「アコギあるある」の定番ですよね。 私なりに検討を重ねた結果、要は「弾き方」なのだろうと言う結論に達しました。もちろん、個体差ありまくりのギブソン・ヴィンテージですからね。ジェームス・テイラーがどんなJ-50を弾いてもあの音が出せるのかというと、そんなこともないと思うのですが、少なくとも「あのタッチ」を再現できなければ、あの音は出せないわけです。 彼の音色や演奏の特徴と言うと、、、 ①ソフトでウォームな彼の声質とマッチした、柔らかで広がりのある音色 ②倍音が少なく、まとまりの良いコー...

「オイルを塗るのか、塗らないのか」メンテナンスについて考える④

  今回は、前回の椿油に引き続き、オイル繋がりで、指板のメンテナンスで使われるレモンオイル、オレンジオイルを取り上げてみようと思います。たかがオイルの話なのですが、これもまた以前取り上げたことのある「 弦を緩めるのか、緩めないのか 」と並び、諸説のあるテーマで、取り扱うのが面倒なネタだったりします。 「弦を緩めるのか、緩めないのか」メンテナンスについて考える② そもそも、オイルを塗った方がいいのか、悪いのか、それすらはっきりしていません。効果についても、これといって目に見えるものでもないですし、数値で表すことも難しいので、判断できないのです。 また、個人的な見解ですが、そもそも指板をオイルで綺麗に掃除するような人であれば、きっと楽器そのものも丁寧に取り扱っているはずですからね。そもそも、トラブル自体が少ないのではないかと思うわけです。つまり、その方がオイル塗った方が良いですよと言ったところで、必ずしもオイル単体の効果とは言いきれないのではないかと。 オイルを塗った方が良い派の意見としては、指板の保湿効果をあげる人が多いと感じます。オイル自体も自然蒸発しますが、少なくとも水分よりは蒸発に時間がかかるので、短期的に見れば保湿効果はあるのでしょう。でも、みなさん考えてみてください。 例えば自分の手を例にあげてみます。細胞も生きていて、水分補給もされている人間の手でさえ、冬場には乾燥して肌が荒れてしまいます。ハンドクリームを塗ったところで効果は一時的で、肌は荒れてしまいますよね。 それにも関わらず、細胞が死んでいて、かつ、自分では水分補給もできない状態になっている指板が、オイルを塗るだけで保湿が可能なのでしょうか。しかも、塗ったとしても、年に1~2回とか、多くて弦交換の都度塗るだけです。それだけで、木を乾燥から守ることができるのでしょうか。 もちろん、オイルを塗らないよりは塗った方が短期的には保湿できます。でも、乾燥対策ということであれば、指板が乾燥して問題が発生する前に、その他の部分、例えばトップ材のスプルースなどが先に影響が出てしまうのではないでしょうか。 ですので、保湿を気にするのであれば、指板にオイルを塗るような局所的な対応ではなく、ギター全体の湿度管理を徹底した方が効果的ではないかと思うわけです。 でも、リペアマンやメーカーなどでもオイルを使っているじゃな...

ギタリストの爪の乾燥対策 その⑤(椿油のススメ!)

創業1927年の大島椿株式会社の椿油100% 1月になり、かなり空気が乾燥した日々が続いていますね。みなさんも肌荒れや、爪が乾燥して割れやすい状況になっていませんか。 爪の割れも気になりますが、爪のコンディションって間違いなく音にも影響があると思うんですよね。 カサカサで乾燥している爪と、しっとりした爪では、間違いなく弦を弾いた時のタッチ感も変わってきますからね。 それだけに、フィンガースタイルのギタリストとしては、爪のケアが重要になってくるわけです。 以前は、それなりに効果がありそうでいて安い「ニベア」をとりあえず塗っておけばいいんじゃないか、という記事を書いていましたが、今回はそのアップデート情報となります。 正直なところ、四十歳過ぎたオジサンの爪なんて、ニベアでも何でも、とりあえず何かを塗っておけばなんとかなるとは思います(笑) ただ、クリームならではのベタツキだったり、不純物が多く配合されていることが気になっていたんですよね。 特に、クリームを塗りたての手でギターを持つのもどうかなと思っていたわけです。 そこでベタツキもなく、ギターへの影響も少ないものってないかなと、探していたわけです。そこで見つけたのが今回ご紹介する「椿油」となります。 椿油はホホバオイル、オリーブオイルと並ぶ世界の三大オイルのひとつである「カメリアオイル」の一種です。 厳密に言うと「カメリアオイル=椿油」ではなく、椿属の種子からとられたものの総称をカメリアオイルと呼び、ヤブツバキの種子からとられたものを椿油と呼ぶそうです。 椿油は、肌に良いとされるオレイン酸やビタミンEという2つの成分が多く含まれていることが特徴です。 オレイン酸は、人間の皮脂にも含まれる成分のため、人肌との相性が良く、ビタミンEには保湿効果があるそうです。 日本でも、古くから髪や肌のケア(保湿・艶出し)のために用いられていたそうで、最近では髪の毛のトリートメントやネイルケアなどでも人気のオイルですね。 それ以外でも食用として用いられたり、日本の伝統的な製品、例えば、木刀や碁盤、将棋盤、将棋駒、木彫り、櫛などの木製品を磨く際にも使われてきました。 また、調べてみると、ギターやマンドリンなどのルシアの方が保湿目的などで使われることもあるそうです。 つまり、肌(爪)にも良く、木材とも相性が良い、ギタリストとしてはベストに近い...

マホガニー図鑑「Collings OM1T Traditional Series(2019)」

今回はマホガニー図鑑「Collings OM1T (Traditional Series)」となります。 以前、ご紹介した「Collings OM2HT」があまりにも気にいったため、サイドバックがマホガニーのコリングスが欲しい、という衝動に駆られ、思わず購入してしまったんですよね。この辺りは、以前のコリングス特集でも軽く触れていたかと思います。 個人的な感想ですが、このトラディショナル・シリーズの衝撃はかなりのもので、マーティンスタイルのギターということであれば、これさえあれば足りないものは自分の技術だけ、と思わせるほどのものでした。 どこが素晴らしいのかと言われると、具体的な言葉で表すのが難しかったりもするのですが、様々な要素がかなりのハイレベルな状態にまで高められたバランス型のギターと言えるのではないかと考えています。 言いかえると、弾き手の様々な要求に応えてくれるギターといったところですかね。本当にあとは技術を磨くだけで、いかようにも使える万能型のギターなのです。 ブログを初めてから、かれこれ8年ほど色々なギターを弾いてきましたが、ギターを弾けば弾くほど、こういったバランス型のギターを好むようになってきている気がします。 バランス型というと、近年モノのマーティンの名器と言われるローレンス・ジュバーモデル(OM-18LJC)を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、それとの違いがこのコリングスとの最大の違いかもしれません。 それは音の立ち上がりの早さです。粒立ちの良さ、分離の良さといった表現でも良いかもしれません。とにかく、一音一音が明確で、分離感、音程感が素晴らしいのです。 音の立ち上がりを良くしすぎると、ストローク時の音のまとまり感が出にくいのですが、この難しいバランスを精度の高い設計と製作技術で両立できているのがコリングスのOMと言うわけです。まさに、フィンガーでもストロークでも使えるギターと言うわけですね。 ジュバーモデルも、フィンガーでもストロークでも使いやすいギターとは言われていますが、全体的にコンプレッションをかけたような印象(振動を制御しているイメージ)で、どちらかというとストローク寄りに作られている印象なんですよね。 ただ、このOM1Tを購入して失敗したなと思う点もありまして…。 ローズウッドのOM2HTとマホガニーのOM1Tを揃えてしまったわけ...

キース・リチャーズ(Keith Richards)の使用ギター:「Gibson HummingbirdとCollings OM2H」

  昨年(2021年)、チャーリー・ワッツが亡くなってしまいましたね。遂にローリング・ストーンズが終わる日が来るのかと心配していましたが、名手ステーヴ・ジョーダンを代役としてツアーを継続していました。 それどころか、今年(2022年)に入ってからも「SIXTY TOUR」としてヨーロッパ各国で精力的にライブを行っていました。現時点で、ミック・ジャガー79歳、キース・リチャーズ78歳ですからね、もはや超人の域ですね。 今回は、そんなキースが使っているギターの話題となります。 キースのアコギいうと、やはり「Gibson Hummingbird」ですよね。 ネイティブ・アメリカンの中で「愛と美と幸せのシンボル」と言われるハチドリ(Humming Bird)をピックガードにあしらったこのハミングバード。当時のキースの風貌も合わせて、ロックギタリストが持つアコギとしては最高峰のカッコ良さですよね。 このハミングバードですが、それまでの「J-45」のようなラウンド・ショルダー型から、更なる音量を求めて開発されたスクエア・ショルダー型が採用されています。ボディ容積をより大きくすることで、より大きな音を目指したと言われていますね。 でも、実際にハミングバードを弾いてみると、「J-45」と比べて音量が大きいと言うよりは、ハミングバード特有のジャキジャキした癖の強さが感じられてしまうので、いまいちスクエア・ショルダーにした狙いがわからなかったりするんですよね。 ただ、このジャキジャキ感が、かき鳴らし系ギタリストにはぴったりはまる感じで、多くの愛好家のいる名器とされていたりもします。仕様はさておき、結果論としてこの狙ったのか、狙ってないのかわからない独特なサウンドというのがギブソンの魅力のひとつですかね。 「マホガニーのすすめ」ということでは、サイドバック材にマホガニーが使われているハミングバードの紹介で十分だとは思うのですが、今年のツアーではコリングスのOM2Hを使っていることで話題になっているんですよね。ちょうど前回の記事でOM2HTを紹介したこともあり、合わせて紹介しておきたいなと思います。 キースの使用しているギターは、トップ材がシトカスプルース、サイドバックがインディアン・ローズウッドのOM2Hをベースに、ネックからヘッド部分にかけてアイボロイド・バインディングが施され...