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ギタリストの爪の乾燥対策 その⑤(椿油のススメ!)

創業1927年の大島椿株式会社の椿油100%


1月になり、かなり空気が乾燥した日々が続いていますね。みなさんも肌荒れや、爪が乾燥して割れやすい状況になっていませんか。


爪の割れも気になりますが、爪のコンディションって間違いなく音にも影響があると思うんですよね。


カサカサで乾燥している爪と、しっとりした爪では、間違いなく弦を弾いた時のタッチ感も変わってきますからね。


それだけに、フィンガースタイルのギタリストとしては、爪のケアが重要になってくるわけです。


以前は、それなりに効果がありそうでいて安い「ニベア」をとりあえず塗っておけばいいんじゃないか、という記事を書いていましたが、今回はそのアップデート情報となります。


正直なところ、四十歳過ぎたオジサンの爪なんて、ニベアでも何でも、とりあえず何かを塗っておけばなんとかなるとは思います(笑)


ただ、クリームならではのベタツキだったり、不純物が多く配合されていることが気になっていたんですよね。


特に、クリームを塗りたての手でギターを持つのもどうかなと思っていたわけです。


そこでベタツキもなく、ギターへの影響も少ないものってないかなと、探していたわけです。そこで見つけたのが今回ご紹介する「椿油」となります。



椿油はホホバオイル、オリーブオイルと並ぶ世界の三大オイルのひとつである「カメリアオイル」の一種です。


厳密に言うと「カメリアオイル=椿油」ではなく、椿属の種子からとられたものの総称をカメリアオイルと呼び、ヤブツバキの種子からとられたものを椿油と呼ぶそうです。


椿油は、肌に良いとされるオレイン酸やビタミンEという2つの成分が多く含まれていることが特徴です。


オレイン酸は、人間の皮脂にも含まれる成分のため、人肌との相性が良く、ビタミンEには保湿効果があるそうです。


日本でも、古くから髪や肌のケア(保湿・艶出し)のために用いられていたそうで、最近では髪の毛のトリートメントやネイルケアなどでも人気のオイルですね。


それ以外でも食用として用いられたり、日本の伝統的な製品、例えば、木刀や碁盤、将棋盤、将棋駒、木彫り、櫛などの木製品を磨く際にも使われてきました。


また、調べてみると、ギターやマンドリンなどのルシアの方が保湿目的などで使われることもあるそうです。


つまり、肌(爪)にも良く、木材とも相性が良い、ギタリストとしてはベストに近いオイルなのではないかと考えたわけです。



私自身、いろいろな使い方を試してみましたが、今のところのオススメ方法をご紹介しておきますね。


まず、お風呂上がりに1~2滴を手のひらに取り、右手の親指から薬指までの爪の付け根あたりに塗っていきます。


その後で手のひら全体に広げ、髪の毛全体に馴染ませます。


やることは、これだけです。


椿油は髪のトリートメントや整髪料としても使えますので、これだけで爪も髪もコンディション良好な感じになります。


肌との相性がいいためか、塗った直後でもベタつかないのが良いところです。もちろん、塗りすぎは禁物ですよ。



ちなみに、爪が作られている部分は、爪の付け根にある爪母細胞(そうぼ細胞)という部分で、この細胞が分裂し、角質層が厚く固まることで爪が作られます。


そのため、この細胞のコンディションを整え、働きを活性化してあげることで、良質な爪が作られるようになるわけです。


この椿油を使いだしてからは、爪の付け根部分が乾燥しなくなり、やわらかく、弾力がでてきて、爪にも良い効果があるように感じています。


気のせいかもしれませんが、しっとりとした爪で弾く音色は、耳障りなノイズ(倍音)もなく、艶やかでしっとりとした音色のように感じています。


フィンガースタイルでギターを弾かれる方であれば、試してみる価値はあると思いますよ。


メーカー推奨の使い方はこちらですね。

https://ost.oshimatsubaki.co.jp/feature/2017_01_handcare/



余談ですが、実は椿油以外でもホホバオイルというものも候補に挙がっていました。こちらも肌との相性が良いオイルとして有名ですよね。


特に無印良品のホホバオイルは、お値段もお手軽なこともあり、Youtubeなどでも様々な活用方法がアップされていますよね。


ただ、食用には適さないとされるホホバオイルを指先に塗るのはどうかなと考えました。


その点、椿油は食用として使われることもありますので、安心して使うことができますよね。


是非、皆さんも一度お試しください!



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