昨年(2021年)、チャーリー・ワッツが亡くなってしまいましたね。遂にローリング・ストーンズが終わる日が来るのかと心配していましたが、名手ステーヴ・ジョーダンを代役としてツアーを継続していました。
それどころか、今年(2022年)に入ってからも「SIXTY TOUR」としてヨーロッパ各国で精力的にライブを行っていました。現時点で、ミック・ジャガー79歳、キース・リチャーズ78歳ですからね、もはや超人の域ですね。
今回は、そんなキースが使っているギターの話題となります。
キースのアコギいうと、やはり「Gibson Hummingbird」ですよね。
ネイティブ・アメリカンの中で「愛と美と幸せのシンボル」と言われるハチドリ(Humming Bird)をピックガードにあしらったこのハミングバード。当時のキースの風貌も合わせて、ロックギタリストが持つアコギとしては最高峰のカッコ良さですよね。
このハミングバードですが、それまでの「J-45」のようなラウンド・ショルダー型から、更なる音量を求めて開発されたスクエア・ショルダー型が採用されています。ボディ容積をより大きくすることで、より大きな音を目指したと言われていますね。
でも、実際にハミングバードを弾いてみると、「J-45」と比べて音量が大きいと言うよりは、ハミングバード特有のジャキジャキした癖の強さが感じられてしまうので、いまいちスクエア・ショルダーにした狙いがわからなかったりするんですよね。
ただ、このジャキジャキ感が、かき鳴らし系ギタリストにはぴったりはまる感じで、多くの愛好家のいる名器とされていたりもします。仕様はさておき、結果論としてこの狙ったのか、狙ってないのかわからない独特なサウンドというのがギブソンの魅力のひとつですかね。
「マホガニーのすすめ」ということでは、サイドバック材にマホガニーが使われているハミングバードの紹介で十分だとは思うのですが、今年のツアーではコリングスのOM2Hを使っていることで話題になっているんですよね。ちょうど前回の記事でOM2HTを紹介したこともあり、合わせて紹介しておきたいなと思います。
キースの使用しているギターは、トップ材がシトカスプルース、サイドバックがインディアン・ローズウッドのOM2Hをベースに、ネックからヘッド部分にかけてアイボロイド・バインディングが施された特別仕様のようです。このバインディングはコリングスのStyle-3の仕様ですね。
キース自身に何かしらの思いがあってコリングスを選んでいるのかさっぱりわかりませんが、少なくとも、キースが求める瞬発力とか、レスポンスを満たしていそうな気はしますよね。
それが伝わりやすいかなと思うのがこの動画です。こちらでもコリングスの「O-1」でSatisfactionをブルージーに弾いています。キースがギターを爪弾いた時の瞬発力にうまく応じている感じが伝わりますかね。
キースのエレキギターでのプレイスタイルにも通じるところがありますが、曲の中の弾き手が求めるその瞬間、瞬間で確実にレスポンスしてくれる楽器、これこそがキースの求める楽器なのかなと、思ったりしています。そして、まさにそれこそがコリングスの強みでもありますよね。