先日ご紹介した「カオルギター」ですが、この画像の方がご購入されたそうで。
なななんと、The Alfeeの坂崎幸之助さんでした。
アルフィーの坂崎さんが購入されたってことは、やはり凄いギターだったんだなと、日々、後悔しております。やはり、無理してでも買っておけばよかったなと(まぁ、金銭的理由で買えないんですけどね)
今回のカオルギターは、マークホワイトブックを再現したと言われるRushと呼ばれるモデルで、ドレッドノートタイプとOM(オーケストラモデル)の2種類が入荷していましたが、画像を見る限り、坂崎さんは「Kaoru Guitar / Rush the Blood OM Cutaway Deluxe」を選んだようですね。
このRushですが、製作家の中島馨氏がオリジナルのマークホワイトブック(ドレッドノート)を借り受け、実物を手に取りながら研究に研究を重ねて製作されたとのことなので、基本的にはドレッドノートが標準系なんですよね。
このOMは、そのドレッドノートの音色や特徴を中島氏が独自の感性でOMスタイルに落とし込んだものとなります。それだけに、中島氏のセンスや設計思想がより強く反映されたモデルといえるのではないでしょうか。
実際に試奏した際も、ドレッドノートとOMで共通するフィーリングを持ちながらも、楽器としての用途を意図した作り分け(音作り)が明確になされていて、これまた凄いことだなと感じていました。
この共通するフィーリングですが、簡単に言ってしまうとジェームス・テイラーのアルバムで聴くことのできた「マーティンのようでありながら、ギブソンのようでもある音」です。そして、あのジャリっとしたまとわりつくような独特の倍音感をうまく再現できているなと感じました。
この倍音感がとても面白くて、Martin D-45のように全音域に対して倍音バリバリだと、バンド演奏の中では逆にアコギの音が埋もれてしまったりするんですよね。アコギの音をバンドサウンドの中で引き立てるには、他の楽器と重ならない周波数帯域を強調する必要があるんですよね。
そこで、このRushモデルではあえて倍音の量感やレンジを狭めることで、バンドサウンドの中でもしっかり主張できるような音作りになっています。それでいて、弾き語りで使った場合では、ギブソンよりも硬質な倍音成分が多く含まれているため、十分な倍音を出すことができるんですよね。この辺りが、絶妙なさじ加減だなと思いました。
このさじ加減に加えて、弾き手によって様々な音色を引き出すことのできる引き出しの多さ(表現の幅)を伴っていることが、カオルギターの魅力なのではないかと考えています。これこそが、トッププロが選ぶ理由なのではないかと。
またトップ材がシダーであることの影響か、音の立ち上がりがとても速くて明瞭ですね。ドレッドノートらしい音の広がりや量感は十分に感じられるのですが、大きいボディサイズのギターとは思えないようなレスポンスの良さがあり、弾き手の思い通りにコントロールしやすく、弾いていてとても気持ちがいいです。
坂崎さんの購入されたOMに関しては、ドレッドノートよりもさらに中音域を分厚くした音作りで、バンドでのリードギターやフィンガースタイルでの演奏に向いている印象を受けました。坂崎さんがOMを選んだのもなんとなくわかる気がしました。
というわけで、一番理想的な人の元に嫁いだのだと考えて、あきらめることにします(笑)