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「鼈甲サムピック」39歳からの本格アコースティックギター

音色が魅力の「べっ甲サムピック」 最後に音色の観点から。 アコギ好き、ヴィンテージ好き、生音好きな私としては、やはり音色にはこだわりたいわけで。 というわけで、まだ使いこなせてはいないのですが、素晴らしい音色を奏でるサムピックを最後に紹介したいと思います。 それは、鼈甲サムピックです。 鼈甲もヒトの爪と同じタンパク質でできていますが、爪よりも艶やかで、鮮やかな音色を出せるんですよね。 というわけで、とても魅力的な鼈甲ピックの特徴をまとめてみました。 ・きめ細かく、美しい高音域 ・ふくよかな倍音感 ・ダイナミックレンジが広い ・手に吸い付くような手触り(フィット感ではない) などなど、値段はさておき、よいところだらけなのです。 残念ながら、、、 フィット感だけはイマイチなのですが、ドライヤー等で熱すると形を調整できるそうです。 ただ、加熱すると鼈甲の光沢がなくなってしまうらしく、怖くて試せていませんが。 しっとりして、艶やかな音色を出すことができるのですが、厚さがあり、しなりも少ないので、弾きこなすにはまだまだ修行が必要ですね。 この音色で、優しいタッチで弾きこなせるようになると文句無しなんですけどね。 また、虫に食われたり、反りがでたり、取り扱いは難しそうですが、なんとかして使いこなせるようになりたい、そう思わせる魅力的な音色の鼈甲ピックでした。 <関連記事> 「サムピックはじめました」39歳からの本格アコースティックギター 「サムピックに求めるもの」39歳からの本格アコースティックギター 「TABスペシャル」39歳からの本格アコースティックギター 「フレッドケリーのスリムピック」39歳からの本格アコースティックギター 「鼈甲サムピック」39歳からの本格アコースティックギター

「TABスペシャル」39歳からの本格アコースティックギター

これぞ理想のサムピック!「TABスペシャル」 形、フィット感という観点では、もうこれしかない! と言えるのが、このTABスペシャルです。 打田十紀夫さん監修のゴムバンド型のサムピックです。 打田さんのブログでは、開発秘話も載っていたりするので、興味のある方は、そちらも是非。 「 サムピック物語 」 このピックが優れている点は、やはりフィット感を調整できるゴムバンドでしょう。 この仕様であれば、演奏中にずれたり、落とすリスクを抑えられます。 そして実は私、昔からサムピックが苦手だったんですよね。 でも、このTABスペシャルを使うようになってからは、すっかりサムピックに慣れ、他の形のものでもそれなりに弾きこなせるようになりました。 そういう意味で、ちょっと値段は高いですが、サムピックの練習用としてもベストかもしれません。 また、見落としがちなポイントですが、サムピックの中では比較的、ストロークに向いた作りなんです。 これは弦の当たる部分に切り込みが入っている効果と思われます。 まるで、薄いフラットピックで弾いているかのようなタッチで使うことができるんですよね。 ちなみに打田さんも、このピックを開発する前は、前回紹介したフレッドケリーのスリムピックを使っていた時期があったそうで。 それだけに、弦を弾いた時の感覚(滑らかさ)が、とても近く感じます。 そういったこともあって、課題点としては、硬さにバリエーションがないことくらいだったのですが、、、 なんと今年、TABスペシャルIIとしてバージョンアップ! シン、ミディアム、ハードの三種類が発売されました。 あとはフレッドケリーの5倍の価格差をどう考えるかですね。 <関連記事> 「サムピックはじめました」39歳からの本格アコースティックギター 「サムピックに求めるもの」39歳からの本格アコースティックギター 「TABスペシャル」39歳からの本格アコースティックギター 「フレッドケリーのスリムピック」39歳からの本格アコースティックギター 「鼈甲サムピック」39歳からの本格アコースティックギター

「フレッドケリーのスリムピック」39歳からの本格アコースティックギター

オススメ第一弾、フレッドケリーのスリムピック まずは、硬さ、しなり具合の観点から。 私がオススメしたいのは「Fred KellyのDelrin Slim Pick」です。 日本では「フレッドケリーのスリムピック」という製品名で売られています。 使われているのはデルリンという素材。 耐久性に優れ、軽量かつ滑らかな特性を持った樹脂です。 木で作られていたアイリッシュ・フルートの代替材として使われているそうで、木に近い音色が出せることから使われるようになったとのこと。 こういった特性・質感が、ピックの素材としても相性がいいのかもしれませんね。 このピックの最大のポイントは、ライト、ミディアム、ヘヴィの三種類の硬さが選べるということ。 やはり、硬さを使い分けられるのは便利ですよね。 そしてこのピックの凄いところは、弦を弾いた時のタッチ感です。 独特な滑らかさと柔らかさ。 そして、適度なしなり具合が素晴らしい。 爪よりもソフトで、強く弾いても音が暴れず、ナチュラルでしっとりとした音色が特徴です。 ストロークでも使えますが、フィンガースタイルとの相性が抜群です。 ミディアムまたはヘヴィを使えば早弾きにも対応できますが、専用のスピードピックというものも販売されています。 安くてバリエーションの多い、フレッドケリーのサムピック。 オススメです。 <関連記事> 「サムピックはじめました」39歳からの本格アコースティックギター 「サムピックに求めるもの」39歳からの本格アコースティックギター 「TABスペシャル」39歳からの本格アコースティックギター 「フレッドケリーのスリムピック」39歳からの本格アコースティックギター 「鼈甲サムピック」39歳からの本格アコースティックギター

「サムピックに求めるもの」39歳からの本格アコースティックギター

前回の記事から半年ほど。 あれこれ、サムピックを試してきました。 ようやくですが、その研究結果をご報告したいと思います。 レポートするにあたって、サムピックに求められるものって何なのかなと整理してみました。 自分的には、以下の3点かなと。 硬さ、しなり具合 形、フィット感 音色 まずは、硬さとしなり感です。 ピックですので、やはり、弦を弾いた時のフィーリングが重要ですよね。 というわけで、いろいろなサムピックを試してみたいとところですが、、、 残念なことに、サムピックは需要が少ないので、バリエーションが少ないんですよね。 そのため、当然のことながら、硬さのバリエーションも少ないわけで。 優しい音で鳴らしたいなら柔らかい素材がいいですし、早弾きにはある程度の硬さが必要です。 そこにしなり感はどの程度欲しいのかとか、ストロークでも使うのかなどなど。 検討すべき要素がたくさんあるので、なかなか、難しいですね。 続いて形です。 ここでいう形とは、親指とのフィット感をさしています。 サムピックは平らなフラットピックとは違って、親指に装着する必要がありますからね。 親指との相性が重要になります。 演奏中にピックがずれてしまっては、元も子もないですからね。 また、弦とピックの当たる部分の形や厚さも重要ですが、バリエーションが少ないこともあってか、自分で削って調整するのが一般的なようですね。 そのため、今回のレポートではフィット感のみを取り上げます。、 そして、肝心の音色ですね。 ただ、音色に表現をつけるには、やはり爪にかなうものはないわけで。 その爪に近い音色を出せればいいのですが、サムピックの定番はプラスティックか金属ですからね。 また、ソロギターで使う場合には、メロディーでラインを弾く人差し指や中指との音色の違いが目立ってしまうかもしれません。 音色の差を抑え、色彩豊かに表現するにはどうすべきか。 現時点での研究結果をご報告したいと思います。

「乾燥対策としてのオイル塗布」アコースティックギターのメンテナンスについて考える③

今回は、もうひとつメンテナンスで話題になりやすいオイル塗布について。 よく言われるのは、、、 ブリッジや指板は塗装されていないから、オイルを塗って、乾燥を避けるべきという考え方です。 なんとなく理解はできるものの、オイルの効果を実感するのは難しいですよね。 ちなみに、この本を監修している小倉よしおさんは、オイル塗る派ですね。 また、楽器屋さんもオイル塗る派が多いように感じています。 この両者に共通しているのは、奏者や顧客に綺麗な状態で楽器を渡す必要があるということです。 つまり、楽器を綺麗にできて、、、 なおかつ、木材の割れ防止に効果がある可能性があるのであれば、塗る方が合理的なわけです。 では、我々一般人はどうすべきなのか。 簡単なのは、面倒だし、オイル代もかかるので、オイルなんて不用と割り切ってしまうことです。 実際のところ、塗らなくても問題ない人もいるし、塗っても割れちゃう人もいますからね。 ただ、指板を綺麗にしておきたいと、少しでも思うのであれば、手垢で汚れた夏の終わりや、冬の乾燥期にオイルで掃除をするのが良いと思います。 ギターは綺麗な方が良いですし、都市伝説かもしれない割れ防止に効果があるかもしれませんからね。 ただ、極論をいうと、、、 乾燥対策としてオイルを塗るくらいなら、何よりもまず、部屋の湿度をコントロールすべきです。 オイルを塗ったところで、室内が乾燥していれば割れやすくなりますし、それ以前に、ネックやトップなど、他の箇所にも影響が出るはずです。 そのため、湿度が難しいのであれば、塗装されていない部分にはオイルを塗り、サウンドホールには黒澤楽器のGuitar Breathのような調湿グッズを付ける。 これが、望ましい対応方法になります。 つまり、保管する環境によって、望ましい対応方法が異なるわけです。 このオイルの記事は、良い例だと思って取り上げてみたのですが、大切なのは、人によって答えはひとつではないということなのです。 自分の環境にあったメンテナンス方法を見つけるためにも、この本をベースにすることが有意義なのではないかと。 そう言った意味で、とても使える本...

「弦を緩めるか、緩めないか」アコースティックギターのメンテナンスについて考える②

前回に引き続き、メンテナンスについて考えます。 その中でも、よく議論になる「弦を緩めるか、緩めないか」を取り上げてみたいなと。 昨年お邪魔した鷲見工房でのこと。 色々お話をさせていただいたのですが、、、 なんと、日本を代表するルシアの鷲見さんは、弦を緩めない派だということを知ったのです。 「むしろ緩めないで下さい!」とまで言われたので、正直、驚いてしまいました。 でも、色々話しているうちに、その理由がわかってきました。 というのも、あくまでも「鷲見ギターの場合は」ということなんですよね。 ではなぜ、鷲見ギターは、弦を緩めてはいけないのか。 それを知るためには、鷲見ギターの設計思想を理解する必要があります。 鷲見ギターの設計思想は以下の通り。 木(ネック)は動くものである 弦を緩めなければネックは純反り方向に動く 純反りしたら、トラストロッドを回して、戻してやればいい 弦の張力でブリッジ付近が膨らむことを避けるため、力木で補強する 実にシンプルで合理的な考え方ですよね。 つまり、鷲見さんは緩めない派ではありますが、、、 ネックは曲がるし、弦を張りっぱなしの状態では、ブリッジ付近が膨らんでしまうことを前提にして、設計しているわけです。 てば、マーティンの場合はどうなのか。 ネックのロッド材の歴史から紐解いてみましょう。 エボニーロッド(~1934) スティールTバーロッド(1934-1967) スクエアロッド(1967-1987) アジャスタブルロッド(1987) つまり、マーティンの歴史から学べることとしては、 木製のエボニーロッドよりも、頑丈な鉄製のTバーロッドが求められた 同じ鉄製でも、さらに強固なスクエアロッド(SQ)が求められた それでもネックは反るので、調整可能なアジャスタブルロッド(AJ)を採用した と言った、ネックトラブルに対応してきた歴史がわかるわけです。 AJロッドの採用には、ネック材として使われているマホガニーの材質が低下してしまったことも一因とされていますね。 そして、AJロッドにして、調整できるようになったからといって、弦を緩めなくていいの...

「点検方法&セッティング」アコースティックギターのメンテナンスについて考える①

ありそうでなかったアコギのメンテナンス本 アコギのメンテナンス方法って本当に十人十色、千差万別です。 その中でも「弦を緩めるか、緩めないか」は、よく議論になるテーマのひとつですよね。 ギターの設計や作りによって違いがあるはずなのに、ずーっと平行線の議論が続いています。 今回はそんな混迷極めるアコースティックギターのメンテナンスに、一定の指針となるであろう本をご紹介したいと思います。 それは「アコースティック・ギター・メインテナンス・ガイド プロの現場の調整術」です。 結論から言うと「良い本」だと思います。 ただ、目新しい情報を期待すると、ちょっと裏切られるかもしれません。 書かれていることは極めてオーソドックスで、常識的なことばかりですからね。 しかも、ネットにこれだけ情報が溢れている時代です。 探そうと思えば、同じ情報はいくらでも手に入れることができます。 でも、メンテナンスについて、これだけ体系だってまとまっているものってなかなかないんですよね。 しかも、日本語版は初めてではないでしょうか。 というわけで、ありそうでなかったメンテ本を紹介しておきたいなと。 この本ですが、3つのテーマに分かれています。 点検方法 セッティング(弦交換含む) メンテナンス(保管と運搬) 点検方法については、かなり詳しく載っています。 どれくらい詳しいかというと、無精者の私では、絶対にやらないレベルの細かさです(笑) しかも、いくら点検したところで、異常に気付いた時には「時既に遅し」ですからね。 だったら、点検よりも、日々のメンテナンスに力を入れた方がいいと、個人的には考えます。 ということもあって、どちらかというと、楽器を購入する時に使える知識かなと思いました。 ヴィンテージや中古を買う時はもちろんのこと。 個人的には、むしろ、新品のギターでも確認することをお勧めします。 新しいギターの方が木が、木が動きやすかったりしますからね。 続いて、セッティングです。 この章を読むにあたって、注意した方が良いと思うことがあります。 それは、この本を監修された小倉よし...

伊藤賢一「ギター・リサイタル」に行ってきました(2015年)

左から、小川さんのLowden、Larrivee、伊藤さんのKen Oya、Hermann Hauser II 遅くなりましたが、伊藤賢一さんのライブに行ってきました。 会場は、新宿の東京オペラシティにある「近江楽堂」。 普段はクラシックの室内楽で使われるようなホールです。 とても音響が良く、拍手をするだけでも、会場全体に音が響き渡ります。 伊藤さん曰く、、、 「 過去にガット弦での演奏会はあったが、スチール弦での独奏は初めてではないか 」とのことです。 いやが上にも期待が高まります。 会場も100人ほどのキャパでしたが、満員御礼でした。 結論から言うと、 完全に好みな内容 でした。 もちろん、伊藤さんの演奏や楽曲の良さもあります。 でも、それ以上に 「生音」に対するこだわりに感銘を受けた んですよね。 今は、エレアコ全盛ですからね。 こういった音響の良い会場での生音ライブは堪らないものがあります。 そして、、、 クラシックギターを学ばれていた伊藤さんだからからこそ出せる、 表現力豊かな色鮮やかな音色 。 深く、美しく、どこまでも澄んだ音色の 大屋ギターと、ハウザー二世。 独特な世界観のある素晴らしい音色でした 。 また、音楽を聴く、観ることの意味も考えさせられました。 伊藤さん曰く「 音楽は耳で聞くだけではなく、体でも感じるものだと 」 よくよく考えてみると、アコースティックな楽器ってそういうものですよね。 特に、自分でもギターを弾かれる方であれば、普段からその音を全身で感じているわけですからね。 私もギタリストのはしくれとして、 スピーカーやヘッドホンでは再現できない「アコースティックギターの音色」の素晴らしさをもっと伝えていきたい と思いました。 そして、奏者の緊張感や息遣い、手の筋肉の動きから表情の変化まで、鮮明に伝わるこの小規模なホールならではの距離感。 こういった視覚的なものも、ライブでは欠かせない要素のひとつだなと再認識させられました。 また、小川倫生さんもゲスト出演されました。 二人の馴れ初めや、先日発売された伊藤さんとのデュオL...

マホガニー図鑑「Martin 000-18(1941&1963年製)」④

左が1941年製、右が1963年製。ブレーシングの違いがよくわかります。 もうひとつの大きな違いはブレーシングです。 '41年製はスキャロップブレーシング、'63年製はノンスキャロップです。 画像で比較すると、違いがわかりやすいですね。 スキャロップは、トップを支える力木を削ることで、トップを振動しやすくしてあります。 そのため、軽く爪弾いただけでもよく鳴るし、響くのですね。 Style 45のようなダイナミックレンジの広い「鈴鳴り」の倍音感とは違いますが、スキャロップとアディロン・マホの組み合わせが生み出す、この濃厚な倍音感は極上です。 と、一見良いところばかりに見えるスキャロップですが、'44年になると廃止されてしまいます。 なぜかと言うと、、、 この頃になると、演奏する環境や音楽のスタイルが変わってきて、より大きな音量が求められるようになっていたんですね。 それによって、ギターが大型化してきたという歴史があるわけですが、それと同時に、弦もより太いものが求められるようになっていきました。 そして、弦が太くなることで、テンションが強くなり、ギターの故障の原因になってしまったのです。 そこで、スキャロップを廃止し、ギターの強度を高めようと考えたわけです。 また、'38年以前のものと比較すると、Xブレーシングのクロス位置がブリッジ側にシフトしています。 そのため、'38年以前をフォワードシフト、'39年以降をリアシフトと呼んでいます。 この仕様は、近年のゴールデンエラや、オーセンティックシリーズなどで再現されていますね。 このリアシフトですが、強度を高めるための仕様変更ということもあって、鳴りは弱まっています。 それでも、スキャロップ特有の響きは、十分に感じることができると思います。 一方、ノンスキャロップですが、音の「芯」が特徴になります。 「芯」というのはわかりにくい表現かもしれませんが、スキャロップのように音が広がるのではなく、基音がしっかりとしていて、まっすぐに伸びるようなイメージです。 ただ、PAシステムが発達した今となっては、...

マホガニー図鑑「Martin 000-18(1941&1963年製)」③

左が1941年製、右が1963年製。驚異的な'41年製の美しさ! 1941年製と1963年製の最大の違いはトップ材です。 '41年製はアディロンダックスプルース、'63年製はシトカスプルースが使われています。 なんとなくですが、、、 「アディロントップのプリウォー最高!シトカトップの'60年代普通!」 といった予想をしていたのですが、意外や意外。 実際に弾き比べてみると、、、 やはり、プリウォーは素晴らしかったです(笑) でも、トップ材やスキャロップの有無による音色の違いというものも感じられますが、不思議とこの二本の共通点というものが見えてきたんですよね。 それは、バランスの良さです。 ヴィンテージの魅力というと、材の乾燥や、弾きこまれたことによって熟成された音色というのが一般的ですよね。 特に、プリウォーともなると「激鳴り!爆鳴り!極太!」なんて音量に関する表現が多い気がします。 幸運なことに私は、それなりの本数のプリウォーを試奏させて頂いたことがありますが、個人的には、そういった音量的なことよりも、バランスの良さに惹かれることが多いんですよね。 6本の弦の音が全て繋がっているというか、単音だけでも十分に個性的で魅力的な音色が、和音になっても、とてつもなく高度にバランシングできているというか。 文章だけではうまく表現できない、不思議な体験です。 そういった、プリウォーの魅力の秘密について、あらためて考えてみたいなと。 今では手に入れることのできない、素晴らしい材もひとつの理由ですよね。 でも、同等の材が使われているはずの'40年代のヴィンテージと比較しても、明らかに音色に違いがあるんですよね。 しかも、'40年代であれば、弾きこまれた年月もそれほど大きな差はないはずですからね。 もちろん、仕様の違いがあるので、単純に比較することはできませんよ。 でも、スキャロップの有無やロッド材の違い(エボニーロッドとスチールTバー)といった違いを差し引いたとしても、大きな差を感じるんですよね。 となると、残されているのは「作りの違い」ではないかと。 これは近年のルシアもののブームとも一致していますね。 つまり、行きつ...