画像は2004年にクリスティーズのオークションでエリック・クラプトンのギターが出品された時に作られたカタログです。当時、このカタログがどうしても欲しくて、海外から取り寄せたんですよねー。
そしてカタログの表紙を飾っている「ブラッキー」ですが、95万9,500ドル(当時の為替レートで約1億円)で落札されたんですよね。当時は凄いなと思いましたが、今思えば相当安かったのかもしれませんね。もちろん、買えるわけはないのですが笑
この「ブラッキー」ですが、クラプトンがデレク・アンド・ザ・ドミノスの米国ツアー中に入手したものです。1970年のお話です。
当時、テネシー州ナッシュビルの楽器屋ショー・バッドで、中古の1950年代のストラトキャスターを6本購入したと言われています。その中の3本からパーツを選りすぐって組み上げられたのが通称「ブラッキー(Blackie)」と呼ばれているギターなんですよね。
個人的に面白いなと思ったのは1970年の時点で新品のギターを買うのではなく、1950年代の中古を選んでいるということです。
クラプトンほどの知名度があれば、スペシャルなギターをオーダーできたであろうに、あえて中古を選んだわけですよね。
クラプトンは既にこの時点でヴィンテージの魅力というものを理解していたのかもしれませんね。もしくは、この1950年代の仕様に特別なマジックを感じていたのか。
で、この「ブラッキー」ですが、1973年1月にロンドンで行われたレインボーコンサートにてお披露目され、1985年5月のコネチカット州ハートフォード公演まで使われました。
ということもあり、「ブラッキー」と言うとなんとなく1970年代のクラプトンというイメージがあるのですが、実は1974年のツアーではメインギターとしてギブソンのエクスプローラが使われてたりするんですよね。歪み成分が多く、太い音色が特徴です。
そして1975年のツアーからは「ブラッキー」の使用頻度は増えるものの、それでもサンバーストのストラトや日本公演で使われたテレキャスターなど、この時期はあまりブラッキーにこだわりがなかったのかな?なんて思ったりしています。
その後、完全に「ブラッキー」に一本化されたのは1976年頃と思われます。個人的には、この頃からよりクリーンなストラトの音色を目指すようになったと感じています。ようやく自分の欲しい音が見つかったんですかね。
ちなみに「ブラッキー」そのものも、劣化や故障等により部品を交換し続けていたと言われていますね。ですので「ブラッキーの音色」とは、クラプトンが70年代に使っていたヴィンテージ仕様のストラトキャスターの音色の総称と捉えるのがいいのかなと考えています。
「ブラッキー」の音色が聞ける代表的な作品としてはアルバムでは「Slowhand」、ライブでは1977年のハマースミス・オデオン公演や1979年の武道館公演「Just One Night」と言ったところでしょうか。まさに王道のフェンダーのクリーントーンですよね(この時期、アンプはミュージックマンだったと思いますが)
ちなみに「ブラッキー」は56年製のアルダーボディに57年製のメイプル指板のワンピースネックを組み合わせたものと言われています。
私の友人が購入したのものも全く同じ仕様になっていて、黒澤楽器さんがこだわってオーダーしたものとのことです。そしてレリック加工が施されています。
で、話は長くなりましたが、この音がフェンダーカスタムショップのギターをアンプに繋ぐだけで簡単に出せてしまうわけです。もはや、感動しかありません。
マーティンの音色と並び、フェンダーのクリーントーンの音色が堪らなく好きな私としてはこの音が出せるとわかってしまった以上、買わずにはいられなかったわけです。
ただ、エレキギターは音が変化する要素(パラメータ)があまりにも多すぎるので、アコースティックギターのように深追いするつもりはないのですが、材の影響もありそうですね。
今でもエレキの音はピックアップとアンプで決まるという考えに変わりはないものの、クリーントーンで鳴らす場合には、材や塗装の影響は多いんじゃないかという考えに現時点では至っています。
次回はついに私のエレキを紹介する予定です!