ついに巡り合えました。
1938年製のMartin 000-18です。
今まで色々なギターを弾いてきましたが、
まさに別格と言える一本です。
一般的に1930年代は
マーティンのゴールデンエラ期と呼ばれ、
歴史あるマーティンのギターの中でも
特別なものとされています。
世界中のコレクター、プレイヤーが
探し求めているのもこの時期のギターですね。
ゴールデンエラと言っても
実は様々な仕様が存在していて、
簡単に分類するだけでも、
(1934年以前)
・エボニーロッド
・バーフレット
(指がひっかかって微妙に弾き難い・・・)
(1934年以降)
・スチール製のTバーロッド
・現在と同じフレットに変更(演奏性向上)
(1938~1939年以降)
・ブレーシング位置が変更(リアシフト)
・ナット幅が44.5mmから42mm幅に変更
(1942年以降)
・エボニーロッドに変更
(第二次大戦により鉄が入手制限かかる)
人それぞれの好みはあると思いますが、
やはり1934〜1941年が人気が高いですね。
(お値段も)
この個体が作られた1938年頃は過渡期にあたり、
様々な仕様のものが混在しているのですが、
この個体は移行前のフォワードシフト、
ワイドネックと呼ばれるナット幅44.5mmの
仕様のものです。
主にフィンガースタイルで演奏する
私にとっては、このは仕様が理想ですね。
本家マーティンの
オーセンティックシリーズ
(000-18 Authentic 1937)でも、
このギターと全く同じ仕様が
採用されていますからね。
マーティン社としても、
それだけ理想的な仕様と
考えているのかもしれません。
オーセンティックシリーズとしても
かなり初期段階で製作されていますしね。
このナット幅の変化ですが、
弾き語りなどの歌ものに合わせやすいように
変更されたのだと思っています。
ブレーシング位置の変更(リアシフト)
とともに、和音の響きに大きく
影響しますからね。
肝心の音色ですが、、、
私は今まで、アディロン・マホのプリウォーは、
このブログでも紹介した
・1937年製のD-18
・1938年製の00-18
と所有していましたし、
その他でもプリウォーのギターは
それなりの本数を試奏してきましたが、
独特のプリウォーサウンドというものがある
と感じてます。
アディロンとかマホガニーといった材だけでは
語りつくせない個性を感じるんですよね。
存在感のある極太の単音、
和音となるとそれが見事に調和して響き、
ピッキングした際のエッジ感は残しつつ、
ウッディーで優しい感触があります。
さらに高音から低音までの絶妙なバランス。
本当に素晴らしいものがあります。
マーティンのアコースティックギターとして
ひとつの完成形と言えるでしょう。
で、また微妙なニュアンスの違いなのですが、
巷で話題のプリウォーギター(ブランド名)
とも異なるんですよね。
あれはあれで、驚きの再現度ですし、
実際、あのような音のプリウォーも
存在しているのですが、、、
私が求めていたのは、もっと艶のある
ウエットな音色のギターなんですよね。
※プリウォーギターは枯れたサウンドを
徹底的に再現していますね。
これもまたヴィンテージギターの
不思議ではあるのですが、
弾きこまれ、楽器として熟成される過程の中で、
音が枯れる方向に変化するものと、
艶やかな方向に変化するものがあるんですよね。
こればかりは実際に弾いてみるしか
確認する方法がないのですが・・・。
※一般的には枯れている音色の方が
良いとされるかもしれません。
もちろん、ヴィンテージならば
全てがいいわけでもなく、
ゴールデンエラ期であれば
何でも最強というわけではありません。
音色の良し悪しは当然のことながら
個体差があります。
でも、これだけは言えるかなと思うのは、
ゴールデンエラ期のギターは
間違いなく作りが良いということであり、
当時のマーティンの職人たちの技術は
最高峰のものだったということです。
そしてこの楽器を80年以上にわたり、
弾き続け、メンテナンスをし続け、
大切にしてきた持ち主たちがいたからこそ、
私はこのギターと出会うことができたわけです。
この出会いに、本当に感謝しかありません。