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三大名工の特集が組まれたアコースティックギターブック |
有名な海外ルシアーはたくさんいますが、私の好みのマーティンタイプとなると、、、
ジュリアス・ボージャス、ジム・メリル、ランディ・ルーカスが三大名工として知られていますね。
いずれも、マーティンのゴールデンエラ期の再現を目指し、ギターを製作しています。
ただ、弾き比べてみると、当然のことながらそれぞれのギターに個性が感じられます。
また、オリジナルのゴールデンエラ期とはまた違った音作りをしていることもわかります。
そんな魅力的な、海外ルシアの作るギターについて少し考えてみたいと思います。
まずは、ジュリアス・ボージャス。
ボージャスは、1990年代後期のショーンバーグギターを製作したことで有名ですね。
独立前も、ソロイストなど数々の名器を残しています。
また、マーティン社にニカワの技法を教えたことでも有名ですね。
これによって、オーセンティックシリーズが誕生したわけです。
技術に関しては、マーティンに技術提供をするほどなので、やはり素晴らしいの一言。
私の感覚では、マホガニーよりもローズの方が得意な印象。
特にOMスタイルのギターに関しては、他を寄せ付けない、素晴らしい音作りだと思います。
プリウォーサウンドを感じさせつつも、どこか主張があるサウンド。
言葉ではうまく表現できませんが、どこかゴージャス感があるんですよね。
それは、Style 45のような装飾されたゴージャス感ではなく、、、
素材の持つ魅力を最大限に引き出したかのようなゴージャス感といったら良いのでしょうか。
そのため、近年のルシアものと比べると、少し地味な印象を受けてしまうかもしれませんね。
それでも、材選びや、木工技術など、わかる人にはわかる玄人好みなギターと言えると思います。
残念ながら、現在は、ギターを作っていないようですね。
続いてジム・メリル。
プリウォーの再現性という意味では、現役のルシアの中ではトップではないでしょうか。
(ランディ・ルーカスは、もうマーティンタイプは製作していないとのこと)
私の感覚では、ローズよりもマホガニーの方が上手。
レスポンスに優れ、フィンガーでもピックでも、弾き手の思い通りに反応してくれます。
軽く、薄く作られていますが、その作りからは信じられないくらいの太い低音を出せるから驚きです。
ただ、メリルの場合は、作られた年代によって、音作りの傾向が異なるので注意が必要です。
2000年代は、とにかく野太く、荒々しい、オールドテイスト溢れるサウンド。
これは、ゴールデンエラ期の低音を追求していた時期なのかもしれませんね。
ちょっとブルーグラスなどのフラットピッカー向けな印象です。
それが2010年代になると、、、
そこにナチュラルさ、柔らかさが加わり、フィンガーでもピックでも使いやすいサウンドに進化していきます。
さらに2012年頃からニカワが使われるようになると、今まで以上に音が抜けてきて、プレーン弦の音色にも更なる魅力が加わってきます。
ニカワメリルには、誰からも良いと思わせるわかりやすさがあると思います!
そしてランディ・ルーカスですが、、、
日本へ入荷された本数も少なく、試奏したことのある本数が少ないので、もう少し経験値がついてきたらご紹介したいと思います。
ボージャス、メリル、ルーカスと、日本国内でも、なかなか出回らないギターではありますが、機会があれば、このワールドクラスの感性を味わって頂きたいなと思います。
そして次回は、マホガニー図鑑の・・・