※画像左:Kaoru Guitar / Rush the Blood Deluxe 画像右:Kaoru Guitar / Rush the Blood OM Cutaway Deluxe 毎年恒例のハンドクラフトギターフェスが開催されましたね。コロナもひと段落ということで、かなり盛況だったそうですね。 私自身はフェスには行けなかったのですが、ちょうど同じ日に、仲間内で緊急招集がかかったんですよね。なんと、カオルギターの新作が二本もお茶の水のHobo'sに入荷したというのです。これは行かねばなりません。こちらも、完全にフェス状態です。 ネットなどで調べてみても、極めて情報が少ないカオルギターということもありますので、私の知りうる情報をまとめておきたいと思います。 製作者は中島 馨氏。中学生時代に雑誌で見たドク・ワトソンの記事で、ギターの個人製作家の存在を知り、アコースティックギター製作の道を志す。中学卒業後にHEADWAY社に就職したが、当時は空前のバンドブームと言うこともあり、エレキギターの製作が中心だったとのこと。 そのため、地元熊本に戻って職業訓練所で木工製作について学び、愛媛のシーガル弦楽器工房にて塩崎 雅亮氏の一番弟子として2年間師事。1997年に熊本県にてKaoru Acoustic Craftの立ち上げに至る。その後、ジャズギタリストの渡辺香津美氏に見出され、天才ルシアとして脚光を浴びることになります。 ここで興味深いのは、昨今の日本人ルシア達とくらべて、少し早い世代だということです。あえて分類するならば、塩崎氏やSUMI工房の鷲見 英一氏の次の世代というところでしょうか。 そのため、現在とは異なり、アコースティックギターの製作に関する情報も極めて少なかった時代ですし、ビジネスの観点からもギター製作家という職業は極めて厳しい状況だったはずです。それでもギター製作に挑戦するということは、並々ならぬ情熱と、素晴らしいものをつくることができるといった自信があったということなのでしょう。 また、塩崎氏に師事したということから、極めてベーシックなマーティンスタイルの設計・製造を学んだと思われます。また当時の状況としては、海外ルシアのギターを模倣することもできなかったと思われます。 ですので、自分独自の音を作ろうと思ったら、試行錯誤を重ね、様々な創意工夫を...
マーティンのアコースティックギターの話題を中心に、マホガニーの魅力について語るブログです。