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【Martin 000-28EC①】過去30本の所有ギターを振り返る。クラプトンモデルがマーティン入門機に最適と考える理由について

  言わずと知れたエリック・クラプトンのシグネイチャー・モデル。 当時、マーティンの財政難を救ったと言われるほど、売れに売れたモデルですね。 私にとっても、初めてのマーティンということもあり、今なお思い入れの強い一本です。 購入して自宅に持ち帰り「Tears In Heaven」を爪弾いた時の感動は今でも鮮明に覚えています。 「すげー、CDと同じ音がする」と。 まぁ、残念ながらアンプラグドでクラプトンはナイロン弦のギターを弾いているのですが。 人間の耳とか感覚なんてそんな程度のものなのでしょう笑 材としては、スタンダードなシトカスプルースとインディアンローズウッドの組み合わせですが、マーティンとは何なのかを私に理解させるには十分すぎるほどの楽器でした。 マーティンならではの艶やかな音色と、豊かな倍音。これがマーティンの実力なのかと、当時、感動したことを覚えています。 そのため、マーティンの音を知りたいという方には今でもお勧めできる最適な一本ではないかと考えています。   でも、このギター特有のVネックの形状が苦手という人もいたりしますよね。 これについては思うところがあるので、次回にでも記事にしたいと思っています。 あの形状にはちゃんと理由があるのだと。 基本的にクラプトンモデルに対して、私は好印象ではあるのですが、評価の理由はこの一点に尽きるのではないかと考えています。 それは「ショートスケールとスモールボディが生みだすアコースティックギターとしてのバランスの良さ」です。 アコースティックギターといえばドレッドノートという時代にトリプルオーサイズが生みだすバランス良さが多くの人を魅了したのではないかと思うんですよね。 低音の多いドレッドとは異なり、中域にフォーカスした密度感のある音色は、フィンガースタイルやリードプレイでは圧倒的な存在感を示したはずです。 また、時代を追うごとにどんどん小難しくなっていく演奏スタイルの変化も、このトリプルオーがマッチしていたとも考えています。 もちろん使いにくい部分も当然あって、各弦の音の分離感が強いので、コードストロークではまとまりが悪く使いにくい面もあったりするんですよね。 でも、柔らかめのピックを使ったり、弦に当てる角度を少し斜めにしてやることで対応できますので、これでも十分に万能型のギターと言えると思います...

そろそろギブソンでも語りますか。(最終回:プロはなぜ1960年代のギブソンを使うのか)

  アコースティックギターマガジンで「やっぱり、ギブソン」と言う特集が組まれていましたね。 1926年にギブソン初のフラットトップ・ギターであるL-1が発売されてから100周年にちなんだ特集だそうです。 主だった内容としては、ギブソンを愛用した伝説的なアーティストの記事や、国内愛用者とっておきの一本、6名の楽器店員が綴る"忘れ得ぬ、あのギブソン"といったところでした。 ただ、、、この特集を読むことで前々から感じていた違和感がまた大きくなってしまったんですよね。 その違和感とは何か。それは、、、 「プロのギタリストは、意外と60年代のギブソンを使っている人が多い」ということです。 正しいかどうかは別として、アコギマニアの世界では、古ければ古いほど音が良く、ヴィンテージギターとしての価値も高いとする風潮があると思います。 それだけにプロの世界ではなぜ、60年代の利用者が多いのかなと疑問に思っていたわけです。 もちろん、そういったプロの方々がリアルタイムでその年代のギターを購入し、そのまま使い続けているケースもあるとは思いますが、その後、いくらでも買い替えるチャンスはあったわけで。 やはり使い続けるには、使い続けるなりの理由があると思うんですよね。 それが私なりにギブソンについて検討に検討を重ね、至った結論と繋がるんじゃないかと思ったんですよね。 私が思うギブソンらしさとは、、、 ①弾いていて「これがギブソンだぁー」という高揚感が感じられること→これは完全な主観なので無視します ②バンドの中で音が埋もれない(アコギとして一番魅力的な周波数に音がフォーカスされている) ③弾き語りにおけるヴォーカルとの相性(ボーカルと周波数がぶつからない、打ち消し合わない) だと思うんですよね。 なので、プロの方が60年代のギブソンに求めているものも②③だったりするんじゃないかなと。 例えば戦前や40年代のモノは、確かに素晴らしいギターではあるけど、いわゆるギブソンらしさ以外の部分にも魅力が多く、逆にギブソンらしさが際立たないのではないか(特にマイク録りした場合)、とか。 50年代もアコースティックギター単体としてはとても魅力的だけど、低音も豊かで鳴りが良い分マイク録りが難しかったり、バンドの中での利用としてはオーバースペック(音が被る、打ち消しあう)な部分もあるのかなと...

まだまだ続くのか、弦を緩めるのか、緩めないのか論争(夏の高湿度対策)

  エ、エフ? これは弦を緩めずに張ったまま放置していたギターを久しぶりに弾いた時の6弦開放の音程です。 私は基本的に「弦を緩める派」ですが、実は所有するYamahaの赤ラベルFG180だけは緩めずに張りっぱなしにしているんです。 これは単純に面倒だからという理由と、いつでもすぐに弾けることを目的として、弦を緩めない用のギターとして赤ラベルを所有しているためです。 たしか、この前チューニングしたのが4月だったと思うので、2ヶ月くらい放置したら6弦の音がEからFに上がったわけです。 これが何を意味するかというと、夏を迎え、湿度が上がってくることでネックが逆反りしてきたということなんですよね。 逆反りは弦を張っている側を上とした場合、ヘッド部分が裏側に反っていく動きになります。 ※島村楽器さんのサイトが丁寧でわかりやすかったので こちら を参照してみてください。 逆反りの場合、押弦した時のビビりや音詰まりを問題にされる方が多いですが、この弦の張力の変動こそが一番気にすべきポイントだと考えています。 弦を張ると約60kgの力がギターにかかると言われますが、逆反りすることでさらに張力が増すわけです。 これは明らかにギターに悪い影響を与えますよね。 というのも、アコースティックギターの場合、構造上、トップ板に接着剤でブリッジが付けられているだけなので、接着剤が弱ければブリッジが剥がれ、強ければトップ板を変形させる可能性があるわけです。 ネックの動きを気にされる方が多いですが、ネックは季節や湿度で動くものなので気にしても仕方がなく、むしろ、ギター本体へのダメージを気にした方がいいのではないかと私は考えています。 また、ネックの反りは直せても、トップ板の歪みは直せません。これが弦を緩めるべき大きな理由と考えています。 逆に、夏から冬にかけての変化、すなわち乾燥してネックが順反りしていく場合には、弦の張力は弱くなるので問題は出にくいとも考えられますね。 だから、弦を緩めなくてもいい、もしくは影響が小さい季節という考え方もある意味正しいとも考えられます。 とはいえ、何もしなくても60kgの力でギターを引っ張り続けているわけですからね。緩める方が安全だと考えますが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。 ◾️関連記事 「弦を緩めるか、緩めないか」アコースティックギターのメンテナン...

そろそろギブソンでも語りますか。(その④:理想的なギブソンサウンド、1950年代後半)

  今回は1950年代後半のギブソンのお話になります。 上記は動画は私が理想とするフラットピッキングでのギブソンサウンド、Gillian Welch(ギリアン・ウェルチ)の演奏です。1958年製のJ-45を使用しています。 結論から言うと、世間一般的には、この時期こそが最もギブソンらしい音色だと考えられているのではないでしょうか。 かく言う私自身もそう感じていたので、片っ端から試奏をしていた時期もあったりします。 この時期のギブソンですが、1950年代前半と比較すると、ピックガードが大きなものに変更されていることから、ラージガード期と呼ばれています。 その他の変更点としては、ギター内部を支える力木(ブレーシング)がノンスキャロップに変更されたこと、そしてアジャスタブルサドルの登場があげられます。 ノンスキャロップによる仕様変更は、音色の芯の強さや響きの直進性に影響があるように感じています。 これもいわゆるギブソンらしさを形成する大きな要素かもしれませんね。 ただ、ノンスキャロップなんて他にいくらでもありますから、これがギブソンらしさを決定づける要素ではないと考えられます。 ではギブソンが発明したアジャスタブル・サドルこそがギブソンらしさの肝なのか?と言われると、そうとも言えますし、そうでないとも言えます。 アジャスタブル・サドルの効果として、ピッキング時のジャキジャキしたアタック感を強調してくれるので、ギブソンらしさを強調してはくれるものの、、、 驚くことに、アジャスタブル・サドルではない同じ年式のギブソンを弾いても、これに近いニュアンスを感じられる個体が結構あるんですよね。 つまり、アジャスタブルサドルは音色を変化させる一因ではあるものの、この年代のギブソンらしい音色を決定付ける絶対的な要素とまでは言えないということなんですよね。 ましてや、録音した音を聞いてみると、そこまでの明確な違いを見つけることは難しかったりしますからね。 そしてぶっちゃけ、録音してしまえばどれもギブソンの音がします笑 特に1950年代前半と後半をブラインドテストで確実に聞き分けるなんてかなりの難易度なのではないでしょうか。 もちろん自分で弾けば違いはわかると思いますが、あくまでもブラインドテストで録音したものを聴き比べした場合に判断できるのかという話です。 ここまで散々、ギブソン感...

「オイルを塗るのか、塗らないのか」メンテナンスについて考える④

  今回は、前回の椿油に引き続き、オイル繋がりで、指板のメンテナンスで使われるレモンオイル、オレンジオイルを取り上げてみようと思います。たかがオイルの話なのですが、これもまた以前取り上げたことのある「 弦を緩めるのか、緩めないのか 」と並び、諸説のあるテーマで、取り扱うのが面倒なネタだったりします。 「弦を緩めるのか、緩めないのか」メンテナンスについて考える② そもそも、オイルを塗った方がいいのか、悪いのか、それすらはっきりしていません。効果についても、これといって目に見えるものでもないですし、数値で表すことも難しいので、判断できないのです。 また、個人的な見解ですが、そもそも指板をオイルで綺麗に掃除するような人であれば、きっと楽器そのものも丁寧に取り扱っているはずですからね。そもそも、トラブル自体が少ないのではないかと思うわけです。つまり、その方がオイル塗った方が良いですよと言ったところで、必ずしもオイル単体の効果とは言いきれないのではないかと。 オイルを塗った方が良い派の意見としては、指板の保湿効果をあげる人が多いと感じます。オイル自体も自然蒸発しますが、少なくとも水分よりは蒸発に時間がかかるので、短期的に見れば保湿効果はあるのでしょう。でも、みなさん考えてみてください。 例えば自分の手を例にあげてみます。細胞も生きていて、水分補給もされている人間の手でさえ、冬場には乾燥して肌が荒れてしまいます。ハンドクリームを塗ったところで効果は一時的で、肌は荒れてしまいますよね。 それにも関わらず、細胞が死んでいて、かつ、自分では水分補給もできない状態になっている指板が、オイルを塗るだけで保湿が可能なのでしょうか。しかも、塗ったとしても、年に1~2回とか、多くて弦交換の都度塗るだけです。それだけで、木を乾燥から守ることができるのでしょうか。 もちろん、オイルを塗らないよりは塗った方が短期的には保湿できます。でも、乾燥対策ということであれば、指板が乾燥して問題が発生する前に、その他の部分、例えばトップ材のスプルースなどが先に影響が出てしまうのではないでしょうか。 ですので、保湿を気にするのであれば、指板にオイルを塗るような局所的な対応ではなく、ギター全体の湿度管理を徹底した方が効果的ではないかと思うわけです。 でも、リペアマンやメーカーなどでもオイルを使っているじゃな...

はじめてのネックリセット(サドル&弦高調整)④

ネックリセット後の「Martin 00-18(1953年)」のサドル ネックリセットしてから、半年ほど経過しましたので、現在の状況をご報告したいと思います。 リセット直後の感想は、、、 音の粒立ちやエッジ感が向上 若干甘かったピッチ(音程)が正確になったような・・・ 6本の弦のバランスが明らかによくなった 箱鳴り感は減少、、、 といった感じでした。 それが、半年ほど弾き込むことでどう変わったのか。 箱鳴り感が復活どころか、アップしてきました!!! 音の遠達性が向上したようなしないような・・・ アディロントップらしい、太さ濃さがより前面に!!! といったところでしょうか。 個人的に一番うれしかったのは、箱鳴り感が強まったことで、よりトップの材質の特性が出てきたのかなという点です。 苦労して見つけたレアな50年代のアディロントップの個性がより強調されてきたので、とても満足しています。 音の遠達性は、弾き込んだことで音量が増えてますので、気のせいかもしれませんが、感覚的には遠くまで届いている気がします。 ネックリセットのお値段の高さはなんとも言えませんが、かなりの効果があると感じました。 逆を言うと、ネックリセットされたヴィンテージっていうのは、かなり狙い目だということを学んだとも言えます。 それと、これから先のことを考えても、ニカワでのネックリセットができる技術力の高いリペアマンを見つけておくのも良いかもしれませんね。 ニカワを取り扱えるということは、技術力や経験が十分にあるという証でもありますので、他の部分のリペアも安心してまかせられますからね。 いずれにせよ、セットアップの重要性をあらためて再認識させられました。

はじめてのネックリセット(サドル&弦高調整)③

そういえば、、、 ネックリセットに出していた「Martin 00-18(1953年製)」が帰ってきていました。 既に手元にはあるのですが、リセット中の画像があるので、せっかくなので、ご紹介しておきたいと思います。、 マーティンはボルト等は使っておらず、ダブテイルジョイントと言われる鳩の尻尾のような形の木を組み合わせて、接着して固定しています。 そのため、湿度・温度をあげて、接着剤を柔らかくし、はずしていくんですね。 1950年代のマーティンはニカワ接着が行われていたこともあり、一般的なタイトボンドに比べて、 ギターへのダメージを与えることなく、簡単に外せるそうです(逆にニカワで性格に固定するには高い技術力が必要)。 もちろん、今回のネックリセットでもニカワ接着でお願いしています。 そして、これが鉄製のTバーロッドですね。 近年のオーセンティックシリーズなどで復刻されましたが、これがそのオリジナルですね。 言われなければ気になりませんが、たしかに、T字型しているのがわかります。 そして肝心の音質の変化ですが、、、 音の粒立ちやエッジ感が向上 若干甘かったピッチ(音程)が正確に!!! 6本の弦のバランスが明らかに良くなった 箱鳴り感は減少・・・ 「箱鳴り感は減少」とは書いていますが、これはネックリセット後は音が大人しくなるといわれているやつですかね。 これから弾き込んでいくことで、以前以上の箱鳴りが戻ってくるはずです。 それ以外は、完全に満足のいくセッティングになって戻ってきた感じです。 この辺はまた後日にでも。