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そろそろギブソンでも語りますか。(最終回:プロはなぜ1960年代のギブソンを使うのか)

  アコースティックギターマガジンで「やっぱり、ギブソン」と言う特集が組まれていましたね。 1926年にギブソン初のフラットトップ・ギターであるL-1が発売されてから100周年にちなんだ特集だそうです。 主だった内容としては、ギブソンを愛用した伝説的なアーティストの記事や、国内愛用者とっておきの一本、6名の楽器店員が綴る"忘れ得ぬ、あのギブソン"といったところでした。 ただ、、、この特集を読むことで前々から感じていた違和感がまた大きくなってしまったんですよね。 その違和感とは何か。それは、、、 「プロのギタリストは、意外と60年代のギブソンを使っている人が多い」ということです。 正しいかどうかは別として、アコギマニアの世界では、古ければ古いほど音が良く、ヴィンテージギターとしての価値も高いとする風潮があると思います。 それだけにプロの世界ではなぜ、60年代の利用者が多いのかなと疑問に思っていたわけです。 もちろん、そういったプロの方々がリアルタイムでその年代のギターを購入し、そのまま使い続けているケースもあるとは思いますが、その後、いくらでも買い替えるチャンスはあったわけで。 やはり使い続けるには、使い続けるなりの理由があると思うんですよね。 それが私なりにギブソンについて検討に検討を重ね、至った結論と繋がるんじゃないかと思ったんですよね。 私が思うギブソンらしさとは、、、 ①弾いていて「これがギブソンだぁー」という高揚感が感じられること→これは完全な主観なので無視します ②バンドの中で音が埋もれない(アコギとして一番魅力的な周波数に音がフォーカスされている) ③弾き語りにおけるヴォーカルとの相性(ボーカルと周波数がぶつからない、打ち消し合わない) だと思うんですよね。 なので、プロの方が60年代のギブソンに求めているものも②③だったりするんじゃないかなと。 例えば戦前や40年代のモノは、確かに素晴らしいギターではあるけど、いわゆるギブソンらしさ以外の部分にも魅力が多く、逆にギブソンらしさが際立たないのではないか(特にマイク録りした場合)、とか。 50年代もアコースティックギター単体としてはとても魅力的だけど、低音も豊かで鳴りが良い分マイク録りが難しかったり、バンドの中での利用としてはオーバースペック(音が被る、打ち消しあう)な部分もあるのかなと...

そろそろギブソンでも語りますか。(その⑩:標準搭載されたゴトー製ペグの質量がもたらす音色への影響)

  最後に少しだけ1960年代後半のギブソンに触れておきたいと思います。 生音で弾くと鳴りが弱く感じられる1960年代後半のナローネック仕様のギブソンではありますが、むしろそれが逆に録音に向いていて、実用的ではないかと私は考えています。 とは言え、戦前モノや1950年代モノと比べると、アコースティックギターの性能としてどうしても見劣りしてしまう感は否めませんよね(勝ち負けではないのですが) 1960年代後半であれば金額的にもギブソンヴィンテージの中では安く済ませられると思いつつも、もうちょい推しポイントがあればいいのになと思う方もいるはず。 そこで、私からの提案です。日本が世界に誇るゴトーのペグが標準搭載されたギブソンはいかがでしょうか。 ギブソンというとビジュアル的にも三連のクルーソンペグに限るという人もいらっしゃるとは思いますが、最初から信頼のゴトーのペグがついているなんて、プレイヤー視点では魅力的だと思いませんか? 1967年前後のJ-45やスモールボディのギターなどで見られる仕様ですが、個人的にはなかなかレアな印象です。 肝心の音色ですが、軽いクルーソン三連と比べて質量があることからか、ギブソン的な音の暴れは減り、多少お行儀が良くなる印象です。 画像は友人のJ-45(1967年製)ですが、この時期は塗装も変わっていて、チェリーサンバーストが退色せずに綺麗に残っているのも魅力と考えています。 ギブソンは音が大きければ良い、鳴れば鳴るほどいい、というだけでもないと思うので、いつかギブソンを持ちたいと思っている方は1960年代後半のギブソンもちゃんと個性があるので視野に入れていいんじゃないかなと思っています。

そろそろギブソンでも語りますか。(その⑨:秦基博さんの1966年製Jー45の魅力)

  ギブソン話もいよいよ終盤戦、1960年代後半のギブソンです。 今回は1965年以降のいわゆるナローネック期について考えていきます。 ナローネックとはナット幅がエレキ並みの39ミリの形状を指します(通常は42〜45ミリ程度)。 使用アーティストで言うと吉田拓郎さん、山下達郎さんなど錚々たる顔ぶれだったりします。 このナローネックですが、箱鳴りよりも弦鳴りが強く、ストロークやカッティングに向いたジャキジャキした音色をイメージしますよね。 ネックが極細なため、エレキギターからの持ち替えでも違和感が少ないなど、演奏性でもメリットがあると感じる人もいて、音色が合うのであればまさに唯一無二の存在となりうるギブソンと言えます。 ただ今回取り上げたいのは、そんなジャキジャキではない1960年代後半のギブソンのお話でして、、、 それは、画像でも使用している秦基博さんの1966年製の J-45 となります。 デビュー直前に購入され、それからずっと使い続けているので、もはやトレードマーク的な存在ですね。 そして、つい最近、国内5人目のギブソン・シグネチャーアーティスト認定とのニュースが。 シグネチャーアーティストとしては、B'zの松本孝弘さん、斉藤和義さん、生形真一さんに続く認定なので、かなり凄いことだと思います。 で、この秦基博さんのJ-45ですが、昔からやけに音がいいと感じていたんですよね。特にライブ。 個人的には弱音時の表現が本当に美しいと思うんですよね。 温もりと澄んだ高音域を併せ持つ理想的なマホガニーサウンド。 ただ、長年、ギブソンをいろいろ試奏して来た身からすると、その年代のギターからその音は出ないはずなんですけどね笑 よく、 J-50 を何本弾いてもジェームス・テイラーの音は出ないというあるあるネタがありますが、秦基博さんの音はそれ以上の難易度と感じています。 これ、いろいろ考えていたのですが、本質的には、、、 ・秦基博さんのダイナミクスの表現及び、ピッキングがとんでもなくうまい ・ギターのセットアップがとんでもなく優秀(ピックアップの取り付けと音作り) かなと考えています。 きっと生音はそこまで大きくないと想像しますが、鳴りにくく余計な倍音の出ない1966年製だからこそ、マイクやピックアップで音を拾いやすく、録音時やPAを通した後のダイナミクスを表現・加工しや...

そろそろギブソンでも語りますか。(その⑧:1960〜1962年製ギブソンの総まとめ)

  少し間が空いてしまいましたが、1960〜1962年のギブソンサウンドについてまとめたいと思います。 おさらいしておくと、ポイントは三つ。 ネックが1950年代までの太い形状とは異なり、細身に作られている 細身ではあるが、1965年以降のエレキギターのようなナローネックほどではない(私流で例えるならば、最もマーティンに違い形状) このネックの影響か、50年代的な音色を持ちつつも適度に低音が抑制され、ギブソンならではの中音域のまとまりの良さと、マホガニーならではの澄んだ高音域が楽しむことができる で、今回、サンプルとしてあげさせてもらったのが上記の 1961年のJ-45 のYouTube。 ブルージーさんの試奏動画から、お馴染み遠山哲郎さんの演奏ですね。 まず動画で音色を聞いていただきたいのですが、ギブソン感がありつつも、やけにクリーンな音色だと思いませんか? 特に5:48頃からのカポをつけて指弾きをはじめるあたりがいいですね。 試奏後の7:24頃には「弾きやすいし、音の繊細さが出ているし、変にゴツゴツしていない、スッキリしている、全部の仕様の良いところが出ている」などと感想を述べられてますね。 ピックでガンガン弾きたい人には、もう少しガツガツしたアタック感やカリッと感が欲しいかもしれませんが、指弾きやアルペジオなどではかなり使いやすい音色だと思うんですよね。 そして音色もそうなんですが、実際に弾いてみるとさらに違いがあることに気が付きます。 それは「指弾きでも鳴らしやすいギター」だということです。 1950年代のものはピックで弾くと信じられないくらいいい音がする個体でも、指弾きでは鳴らしにくいものが多かったりもしますが、、、 この1960〜62年モノは弱いタッチでも反応が良いものが多く、弱音から強音までのスイートスポットが広く感じられます(逆に強音の上限は狭いかも) また、私はフィンガースタイルのマーティン愛好家というポジションなので、使いやすいギブソン(=マーティンっぽく弾けるギター)という意味では L-00 が最適解だとは思いますが、、、 実際にマーティンを所有している立場から言うと、この年代の J-45 、 J-50 というのが、音色的にマーティンと重なる部分が少なく、差別化が図りやすいギブソンと考えるに至っています。 マーティンと同じで、どうしても...