今回はD-18GEの最大の魅力でもあり、当時の私が欠点と考えた鳴り(音量&低音)について深掘りしたいと思います。
ますは音量について。
アコースティックギターという楽器は、兎にも角にも『鳴り』というものを重視する傾向が強いように感じています。
「この個体は激鳴り」みたいな表現が最大の褒め言葉になったり、お店のセールストークとして使われているようにも感じます。
※似た表現として「倍音が多い」というのも近いものがありますが、それはまた別の機会にでも。
もちろん、鳴らないギターよりは鳴るギターの方がいいのはわかりますよ。
でも、音楽を演奏する、表現するための楽器を選ぶのであれば、用途や目的に合った鳴り方が求められるのではないでしょうか。
そういった時にこの激鳴りのD-18GEをどう使いこなしていくのか、これが最初の判断基準になります。
ここでのポイントとしては、良く鳴ることが全ての人が求めているものとは限らないという点です。この激鳴りを使う局面があるのか、過剰ではないのかということです。
続いて低音について。
アコースティックギターは音色の構成要素として一般的に思われているよりも低音域が重要な楽器だったりします。
だから低音がしっかりしているギターを弾くと満足度が高いんですよね。ローズウッドとマホガニー、ドレッドノートとトリプルオーサイズなどを引き比べると体感しやすいかと。
そういったこともあり、高音域の単音だけではとても非力な音に感じられてしまうのもギターの宿命といえます。
例えるならば、ドラムもベースもない状態で単音だけでリードギターを弾き続けることをイメージしてもらえばいいかと。ちょっと音的に寂しいですよね。
だからソロギターやブルーグラスでは、低音から高音までを満遍なく使うことで、音楽を成立させているんですよね。
そのせいで、とんでもなく演奏の難易度が上がってしまうのですが。。。
大きすぎる低音は迫力や弾き手の満足度を高める一方で、録音したりバンド全体のバランスとして見た場合にはマイナスの影響が出る場合もあります。
大きすぎる低音によって高音域や倍音が埋もれてしまったり、ベースと帯域が被ることでスカスカな音(具体的にはピッキングした時のアタック音)しか聞こえなくなってしまったり。
この辺りのバランスがとても難しいのがギターという楽器なんですよね。単体としていいことと、全体としていいことはイコールではないのです。
また、どうしても試奏した時の低音や音量のインパクトに左右されてしまうのが、我々人間のサガというやつですからね。
ここでぐっと堪えて俯瞰的に、そして客観的に音色を捉え、評価する必要があると思います。実際には家に持ち帰って冷静になって音を出すまでは気付けないかもしれませんが。
そして最後にもう一つ大切なことを。
それは忘れてはいけないのは、このギターはサイドバックがマホガニーであるということです。
多くの人がD-18GEを評価する通り、時にはサイドバックにローズウッドが使われたD-28を上回る音量や低音を得ることができるギターだとは思います。
でも、低音の質感はどこまでいってもマホガニーの質感なんですよね。
ちょっとルーズで甘い音。
「いなたい」なんて表現をする人もいますが、まさにそんな感じ。ローズウッドのような硬質な響きとは質感が異なるのです。
これがあればもうD-28なんていらないっていう人の意見にも共感できる部分もありますが、決して全てにおいて上位互換のギターというわけではないのです。
最後にまとめです。
このD-18GEは近年もののマーティンとしては最強クラスの鳴りのギターだと思います。
それを求めるのでれば間違いなくおすすめできるギターです。ただし、そういった特性の音を求めるのであればという話です。
私も購入した時点では理想的なギターだったんですよね。
でも、ちょうど私自身がフィンガースタイルの演奏を始めた頃と重なっていたこともり、D-18GEの低音が過剰に感じてしまったんですよね。
ギターの良し悪しではなく、私の使いたい目的と用途に合わなくなってしまった。
私にとってこのD-18GEは、そんなことを学ばせてくれた素晴らしいギターでした。
